• ダークポップダンスアイドルユニット・クロスノエシス、最後のアルバムと現在の想いを語る
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2023.04.30

ダークポップダンスアイドルユニット・クロスノエシス、最後のアルバムと現在の想いを語る

ダークポックダンスアイドルユニット・クロスノエシス。左から、AMEBA、MAI、FLAME、RISA、LAKE。



◆『devotion』『stable』『insane』三部作◆

LAKE 『devotion』は最初に聴いたデモ音源と、完成形が一番違っている曲ですね。

FLAME レコーディングも、まだ完成していない曲でやることが多いんですよ。編曲がすべて終わって完成したものを聴いたら、全然印象が違いました。

sayshine クロノスあるあるですね(笑)。僕は、ギリギリまでイジりたい人なので…。

RISA 「どうせ、音全部変わるんだろうな」とはいつも思っています(笑)。

LAKE その中でも『devotion』は、ずっとデモ音源で振り入れもしましたし、スタジオライブ『entity』も収録しました。長い間デモを聴いていたので、ガラッと変わったと感じました。

AMEBA 曲を作った時期から、提出期限が長ければ長いほど変わるということですね。

全員 (笑)

ーーAMEBAさんは作詞をされています。

AMEBA 作詞する時はいつも曲が来て、それを聴いてイメージして詞を書くんですけど、今回は3曲あることは決まっていたので、テーマを決めるのに時間がかかりましたね。ちゃんと考えておかないと、あとの2曲がたいへんになるので。『幻光』の時も、『光芒』と『幻日』という3曲でテーマを一貫させるというのが難しかったんです。だから『devotion』には時間をかけて、すごく考えて作りました。

ーー曲をもらう時に、sayshineさんから指示はあるんですか?

AMEBA 曲によってはテーマを伝えられることもあるのですが、基本は無いです。自分のイメージで書いて、sayshineさんに提出して、そこであっているか確認してもらうという感じですね。

sayshine 音の響きに合わせて言い回しとか変えて欲しい、くらいですね。

ーーAMEBAさんは、三部作の歌詞のテーマを、どのように考えたんですか?

AMEBA 私はまずクロスノエシスの曲である、といった前提からイメージを広げたり詞を考えることが多いんですね。今回はグループの "名前" という要素から連想して、精神や思考に及ぼす作用をテーマに考えました。精神に及ぼす作用とはつまり自律神経だと思うんですけど、その自律神経には、交感神経が優位な状態、副交感神経が優位な状態、2つのバランスが取れた安定状態があって、その3つをCMYの3色と3曲に当てはめて考えました。
黄色の『insane』が興奮状態の交感神経優位、青の『devotion』が抑圧された副交感神経優位、ピンクの『stable』が拮抗し安定した状態...それで曲名から決めて行きました。
(注:それぞれの英語タイトルは、insane/狂おしい・非常識、devotion/献身・没頭、stable/安定・永続性のあるというような意味がある)

RISA 初めて知った…。

LAKE そうなんだ、すごい…。

AMEBA そういう話は恥ずかしいので、メンバーにもいつもしないんです…。振り付けの先生に聞かれたら、説明するくらいです。

ーー話してくれて、ありがとうございます! 曲名から先に決めたのは意外でした。

AMEBA 『devotion』は歌詞を先に書いていたんですけど、あとの2曲は先にタイトルを決めました。これまで、曲名はあとから決めるのがほとんどだったので、この3部作は特殊ですね。『devotion』の歌詞に関しては、スタジオライブ『entity』で歌うことが決まっていたので、それにも合わせたかったんですよ。entityは実体・存在といった意味を持つ言葉なのでその要素を取り入れたのと、演出会議に参加した際に、ライブは煙の中にいて何も見えないようなところから始めることが決まったので「光彩は煙のようにゆれて」という出だしに決めました。事務所の名前であるekomsから煙のイメージを歌詞に取り入れた、というのも理由のひとつです。

ーーいろいろなものが絡みあって、歌詞ができているんですね!

AMEBA クロスノエシスというグループ名の意味、entityというタイトルと演出、そういうものがすべて重なり合う地点が『devotion』だったという感じです。

FLAME 多分時系列で、順番にいろいろなことを書いていくと、その辺はわかりやすいのかなと思います。

LAKE すごく、興味深い話を聞けました。

AMEBA れーちゃん(LAKE)は、いつも歌詞について質問してくれるんですよ。

LAKE 歌詞について聞くの、楽しいです。『stable』は?

AMEBA 『stable』は、穏やかな曲調と激しい曲調が交互に来る曲なので拮抗するふたつのものをそこに感じました。あとは自然と私たちに根付いている死生感をテーマに、クロスノエシスもその命と “変わらないもの” だという意味を込めて書きました。

sayshine 難しい歌詞が多そうだけど、実はクロノスの曲は自分達のことを歌っていることが多いです。

RISA 最後の「訪れる 終わりは 変わらないもの」というのは、珍しくわかりやすい歌詞だよね。

AMEBA 歌詞の部分が短いのもあって、抽象的になってしまったので、最後はわかりやすくテーマである言葉で終わらせました。ループから抜け出す、というのもクロノス初期からのテーマとしてあったので、流転の中で終わりが来るけど、それは自然の原理で、変わらないもの...と。

sayshine さっき言った、アイドルは終わりがあるからこそいいというのもあって、とてもいい歌詞だなと思っています。

ーー3曲目の『insane』は「輝いてみたい」「輝いていたい」という歌詞が印象的ですね。

AMEBA この曲はそのサビから完成しました。わたしはいつも、難解な単語を歌詞に入れがちなので、サビではちゃんと聞き取れて感覚的に伝わる歌詞にしたいと思っているんです。そこで決まっていた要素である黄色という色、insaneという言葉、交感神経の作用、それに「ステージで輝く存在でありたい」という気持ちからサビを決めました。クロスノエシスのコンセプトに「日常に苦しみを抱える「あなた」の暗闇を、一粒の光のように照らします」というのがあるので。そして、サビという最高潮で輝くためにはどう持っていくか、というのを考えた結果、感情の起伏や葛藤などを部屋から空へ、と情景と思考を混ぜるように表現しました。

ーーありがとうございます! では、sayshineさんはどのように考えてこの三部作を作られたんですか?

sayshine 僕としては、『devotion』はJ-POPから逃げないというルールの曲です。アイドルとして定期的にそういう曲を入れるようにしているんです。Aメロ Bメロ サビ Aメロ Bメロ 落ちサビ ラスサビ、ケチャもできます、みたいなのを。そういう曲です。『insane』はいつものクロノスの曲ですね。『stable』はこれからのクロノスと考えて作りました。

LAKE そうなんですね。初めて聞きました(笑)。

RISA sayshineさんも、AMEBAも、いつもなにも説明してくれないんですよ。

◆特殊な企画から生まれた『atmosphere』◆

ーー『atmosphere』はRAY、代代代というアイドルグループと、同じタイトルの曲を作るスプリットシングルから生まれた曲ですが、制作は三部作と同時期ですか?

sayshine 『devotion』『stable』『atmosphere』『insane』の順番ですね。

【クロスノエシス / atmosphere / Music Video】


ーーAMEBAさんはどのように考えて、『atmosphere』を作詞したのですか?

AMEBA 三部作はタイトルから歌詞からかなり意味を持たせたので、『atmosphere』は浮かんだ情景から描くことに重きを置きました。最初に曲を聴いた時に、霧がかかった森の中のイメージが浮かんだんです。『atmosphere』は “大気”、"雰囲気"、"空気" というような意味を持つのと、大気が存在するのは重力があるからだなと思ったので、重力の要素も入れました。そんな浮かんだ情景と言葉が持つ意味たちを掛け合わせた壮大な世界観のなかで、最後には光の下で2人だけになる、という物語に仕上げました。人間が歌う曲には愛という要素は必要だなと思っています。

ーーsayshineさんは最初、『atmosphere』はインスト曲にしたかったとツイートしていましたね。

sayshine タイトルが送られてきて「これしかないでしょう」という曲を作った…のですが、最初はインスト曲にしたかったんですよ! 3グループの中でどれだけ尖るか勝負だと思って、でもあの2組に負けないためにはインストしかないかなと。でも「ダメ」って言われたので(笑)。

メンバー全員 (笑)

RISA “どれだけ尖るか勝負” というのは、3グループでツアーを回った時に感じましたね。各プロデューサーさんがうちのグループはこんなに尖れるぜというステージでしたね。

アニメージュプラス編集部

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