【中村さんは、ツンデレが好きじゃない!?】――演じているジークに対して、共感できる部分はありましたか?中村 そうですね……そんなにないかな(笑) でも、共感できないキャラクターのほうが、僕は演じていて楽しいですね。全部共感していくと、その人物として考えているのか、僕として考えているのかが、あやふやになってしまうので。
キャラクターの目線で見たときに「彼だったらこう考えるよなあ」と考察しながら役作りしていくことが多いので、そもそも自分と同じ部分を探すことがあまりないんですよね。逆に、演じるキャラクターが自分に似ていると言われると、演じにくくなってしまうかもしれません。「じゃあ、このキャラクターしか持っていない部分はどこだろう?」と考え始めてしまうので。
――ちなみに、中村さんはリーゼロッテのような “ツンデレ” はお好きですか?中村 作品を否定するようで申し訳ないのですが、僕個人はあまりツンデレをいいとは思わないんですよね(笑)。
――では、今回リーゼロッテを見ても、あまり心境の変化は無かった?中村 ジークとしては動いたんですけれど、僕自身の心は動かされなかったですね。ドライに見える人が、実はそうじゃなかった、くらいなら良いんですけれど、あまりきつく来られるのは……「あんたのためじゃないんだから!」みたいなことを言われると、「なんでそんなことまで言われなきゃいけないんだろう」と思ってしまうタイプなので。今回ツンデレに関しては、特に新しい発見はなかったです(笑)。
――完成した映像をご覧になった感想を教えてください。中村 キャラクターに注目が集まるような画面作りが印象的でした。
当たり前の話ですが、アニメは実写と違って、映ってほしくないものは省略することができます。たとえば、キャラクターをしっかり見せたいときは、背景の情報を減らすという方法も、その一つですよね。言い換えると、アニメの画面の中には、必要なものだけが存在しているということになります。この作品はそこがとても徹底されているな、と。
「今はこのキャラクターを見てください!」という場面では、背景の情報量を最小限にして、余計な小物も出さないようにされていました。本作のようなキャラクターを見てほしい作品には、とても効果的だと思えました。
(C)恵ノ島すず・えいひ/KADOKAWA/ツンリゼ製作委員会2023