• 中村悠一が『ツンリゼ』で感じた「ザ・王子様キャラ」を演じる難しさ
  • 中村悠一が『ツンリゼ』で感じた「ザ・王子様キャラ」を演じる難しさ
2022.12.28

中村悠一が『ツンリゼ』で感じた「ザ・王子様キャラ」を演じる難しさ

(C)恵ノ島すず・えいひ/KADOKAWA/ツンリゼ製作委員会2023

突然神の声が聞こえるようになった王太子・ジークヴァルト。神曰く、ジークヴァルトの婚約者・リーゼロッテは “ツンデレ” で、“破滅” の未来を迎えるらしい……? しかしジークヴァルトは、知る由もなかった。実は神の正体が乙女ゲーム「まじこい」をプレイしている高校生・遠藤くんと小林さんだということを!
どのルートを選んでもバッドエンドを迎えるリーゼロッテを救うべく、遠藤くんと小林さんはジークヴァルトに実況と解説という「神託」を届けていく――。

2023年1月6日(金)より放送開始するTVアニメ『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』は、リアルとゲーム世界が交差するファンタジー・ラブストーリー。ジークヴァルトを演じる中村悠一さんに、作品の魅力や共演者の印象、恋愛ゲームにまつわるエピソードなど、たっぷりと語っていただきました!

【ゲーム実況という文化がある「今ならでは」の設定がポイント】

――本作の魅力はどんなところにあると思いますか?

中村 物語がセオリー通りに進んでいく安心感、ですかね。最近はいろいろと手の込んだ作品が多いと思うのですが、本作は話の展開が想像を大きく超えない “ストレートさ” が魅力かと思います。

たとえば、僕が演じさせていただいたジークで言うと、終始 “王子様” なんですよね。「実は裏で悪いことをしていました」なんてことは当然無いし、そういった伏線が存在しないので、安心して観ることができるんです。

もちろん、最終回に向けて繋がっていくもの、隠されているものはあるのですが、大枠からは外れない安心感がありました。いい意味でベタに進んでいくので、僕もシナリオで話を追っていて面白かったですし、1クール分すごく楽しく演じ切ることができました。

――では、ゲームのプレイヤーが、中のキャラクターとやり取りできるようになるという設定については、どう感じましたか?

中村 昔僕が遊んでいたゲームに『ファミコンジャンプ 英雄列伝』というのがありまして、それは週刊少年ジャンプを読んでいた主人公が、ある日突然雑誌の中に吸い込まれるという内容だったんですね。なので僕的には、フィクションのものに介入できるようになる設定には馴染みがありました。

ただ、本作はプレイヤーがゲーム内に入って直接運命を変えていくんじゃなくて、実況と解説をしていくという部分が、“この作品ならでは” だと思います。
この実況の遠藤くんと解説の小林さんは、中のキャラクターへのアドバイザー役だけでなく、視聴者に向けての説明役というメタ的な役割も担っていて、第三者に向けてゲーム実況をする文化がある “今の” ニュアンスを感じましたね。

【ずっとブレずに「王子様」でいる難しさがあった】

――「ザ・王子様」なジークですが、演じる上で意識したことはありますか?

中村 王太子という立場が抜けた口調にならないように意識しました。「ら抜き言葉」は使わないといった基本的なところから言葉の組み立て方、相手への伝え方に品が出るように気をつけました。

――品の良さを出すために、声の出し方を変えることもあるんですか?

中村 この作品ではやっていませんが、そうすることもあります。たとえば、王宮でずっと過ごしている高貴な身分の人って、声を張らないと思うんです。というのも、基本的に配下やお付きの人たちは常に自分を気にかけているので、「おい」とつぶやいただけで「はい」と寄ってくるし、慣れれば目が合っただけで来るようになる。そうすると声を張ったり大きい動きをする必要はないと思うんです。

小説や漫画と違って、アニメは決まった尺内でいろいろと説明しないといけない。僕たち声優の仕事って、そういう文章で説明できないものを音に落とし込んで気付いてもらうことだと思うので、そういった「生き方」や「所作」というものをパーツとして探し出して、声で匂わせていかなければなと考えています。

――なるほど。ジークはゲームの攻略対象キャラという立ち位置でもありますが、その点はいかがでしたか?

中村 これはメタ的な話になるのですが、ジークをはじめ、ゲーム内のキャラクターたちは、“ゲームのキャラクター” という与えられた枠から出られないということは考えていました。

当然ですが、彼らがゲームと関係のないところで「あー、何か疲れたなあ……」とか急に言い出すことはないですよね。それは、彼らがゲームの世界の住人で、キャラクターとしてのオン/オフという概念が存在していないという前提があるからです。

もちろん、作品の設定がちょっと違っていて、ゲーム内のキャラクターたちがユーザーに向けてサービスしていたという体だったら、裏で「俺、いつまでも王子とか言ってられないよね」とか「去年もこれやってたよ」とか、人間臭いことを言っている可能性もありますが、この作品においては、ゲームの世界が徹底してあります。

なので、ジークはみんながゲームをするときに会えるキャラクターとして、常にみんながイメージしている王子様でいなければいけないんですよね。ずっとブレずに「ザ・王子様」なキャラクターでいることを、今まであまりやってこなかったので、そこは難しいなと感じました。

(C)恵ノ島すず・えいひ/KADOKAWA/ツンリゼ製作委員会2023

寺林 沙樹

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