『推し武道』『壁こじ』実写化記念！平尾アウリ＆ミナモトカズキ対談

◆お互いに聞いてみたいことは◆

――せっかくなのでお互いに聞いてみたいことはありますか。

ミナモト　目の前にすると緊張しますけど、聞いちゃいます。『推し武道』ってキャラがその場その場で「生きてる感」を感じるんですね。だから読んでいると、どういう風に向かっていくのか読めない感じがすごく強くて。作品の先の展開は、決めて描いているんですか。

平尾　先、いやそんなに決めてはいないですね。

ミナモト　そうなんですね。実は自分もそうなんですよ。

平尾　そうなんですか。

ミナモト　はい。１話先も決めてないです。これ言い訳ですが、編集担当の猪飼（幹太）さんにそうしてほしいと言われたので。昔はわりと考えるタイプだったんですけれど、ある程度先の展開を決めちゃうと、そこに直進しちゃって人間っぽいエピソードを端折っちゃう癖があったんです。猪飼さんに出会った頃にそれを見抜かれちゃって、「ミナモトさんは１話先も考えないで」って言われました。そこから確かに描きやすくなったんですが。平尾先生の作品はその場その場でキャラが動いてる感がすごいので、あまり先の展開をきめていないのかと思っていたんです。

平尾　そうですね。でもそうなのかもしれないです。

ミナモト　言わせてしまっていたらすみません（笑）。でもすごく気になっていたので。

平尾　最終的な構造などは、その時々で変わりますね。メンタルによるところも大きいかも。ネームを描くときに読み返してみて、これ使えるなとか、組み立てていく感じです。
ミナモト先生はアナログで描かれていますよね。

ミナモト　そうです。平尾先生もアナログですよね。デジタルの方増えたからすごく心強いんですよね。平尾先生がやってなかったら、もしかしたらデジタルにしてくれって言われていたかもしれないですよ。

――漫画を見てデジタルかアナログかわかるんですね。

ミナモト　読んでいてさすがに同じアナログだとなんとなくわかるっていうか。使っているトーンとかでも、なんとなくアナログだと思っていました。

平尾　ミナモト先生の画面はすごくお綺麗なのでわからなかったのですが、原稿の写真をSNSに載せてらっしゃるじゃないですか。あれでアナログだったんだってびっくりしました。

ミナモト　光栄です。平尾先生はアナログのすごさがすごくあるから、正直一瞬でわかりました。

平尾　汚いから（笑）。

ミナモト　ちーがーう！！　あの味のある線はデジタルでは早々出せないですよ。やめてくださいよ。めちゃくちゃ綺麗じゃないですか。
（C）平尾アウリ／徳間書店　（C）ミナモトカズキ／徳間書店

◆最後にメッセージ◆

――最後に、それぞれのドラマ作品の注目ポイントや楽しみ方をお願いします。

平尾　ChamJamの子たちがね、みんな若いんですよ。今しか見れられない儚さがあるので、見ることができてよかったって思ってほしいです。文役の和田さんとか14歳なんですよ！　女の子の14歳の一瞬を見られるってなかなか貴重じゃないですか。

ミナモト　ヲタ全開でステキです（笑）。

平尾　本当、注目してほしいです。

ミナモト　『壁こじ』は、原作でもわりと意識していたのですが、メインの二人以外のいろいろなキャラクターに物語があるお話なんです。実写でもどのキャラにもすごくキャラクターをつけてやってくれていたので、BLとしてももちろん楽しんでもらいたいんですけれど、それぞれのキャラクターの生き様みたいなものを一緒に楽しんでもらえたら嬉しいなって言う風に思います。


【平尾アウリ先生 プロフィール】
8月30日生まれ。岡山県倉敷市出身。2007年に第2回龍神賞＜銀龍賞＞を受賞。受賞作『まんがの作り方』がそのまま「COMICリュウ」で連載化され、コミックス全8巻の人気作品となる。2015年～同誌で『推しが武道館いってくれたら死ぬ』連載開始。2020年にテレビアニメ化され、大好評を博す。2022年10月～実写ドラマ放送開始。現在は【COMICリュウWEB】にて大人気連載中。他のコミックスに短編集『4月1日』（徳間書店）『夏空に、きみと見た夢』全2巻（フレックスコミックス 原作・飯田雪子）『OとKのあいだ』『センセイと僕』（幻冬舎）『今日も渋谷のはじっこで』（祥伝社）『わびさび』（KADOKAWA）『青春の光となんか』（竹書房）がある。

【ミナモトカズキ先生 プロフィール】
男女、男男、女女、恋愛ならなんでも美味しいですし、なんでも描いてます。
ペンネームの苗字は、某国民的漫画のツインテールヒロインが大好きすぎて頂戴しました。
別名義でゲイ雑誌にてデビュー後、秋田書店『恋愛チェリーピンク』にて女性誌デビュー。
代表作は『メルヘン課長とノンケ後輩くん』全4巻『メルヘン課長とノンケ後輩くんSeason２』既刊1巻（徳間書店リュウコミックス）
ほか『少女漫画家のミナモトさんがカミングアウトします。』(宙出版)『怪獣になったゲイ』（KADOKAWA）など多数。
『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』は【COMICリュウWEB】にて2020年2月に連載開始。
2022年10月に実写ドラマ化。現在も好評連載中。
9月17日生まれ。O型。