• 『ウルトラマンブレーザー』ワンカット空中戦はこうして生まれた! 田口清隆&小柳啓伍が語る裏話
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2023.10.21

『ウルトラマンブレーザー』ワンカット空中戦はこうして生まれた! 田口清隆&小柳啓伍が語る裏話

小柳啓伍さん(左)と田口清隆監督(右) (C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京


◆成功の計はOPにあり?◆

――個人的に田口さんがメイン監督を務める作品は、OP・EDがどれも作品にマッチしていて、素晴らしい印象があります。

小柳 頭に残るというか、つい口ずさんじゃう曲ですよね。

田口 特撮ヒーローやロボットアニメの主題歌は小難しいものよりも、高らかに名前を叫ぶような曲がいいと思っているんです。やっぱり子どもたちに合唱してほしいじゃないですか。特に『ブレーザー』は少し大人向けな内容だから、OPは子どもたちを引っ張ってくれる熱い曲にしたいと思っていて。あと個人的な好みなんですが、特撮のOPはおじさんが熱唱している感じがいい。おじさんの熱いシャウトが聞きたいな、と。そうしたら、アッツアツのおじさんがやってきた。

一同 (笑)

田口 きただにひろしさんに唄っていただけることになって、「やった!」と思いました。音楽担当のみんなに感謝です。それに、今回はあまり言葉で丁寧に説明しないようにしているんですが、現状、主題歌の歌詞が最も説明しているという(笑)。

小柳 そう、まだ描いていないところまで(笑)。

――OPといえば、映像も大きな話題となりました。

田口 初メインの『ウルトラマンX』の頃からずっと、OP映像はカッコよくしたいと思っているんです。カイル・クーパーさんが作った映像みたいに、OPがカッコいい映画って憧れるんですよね。『Z』はOP映像の前半を、flapper3という会社に作ってもらっていて。「『Z』が上手くいったのはOPがカッコよかったからだ」「今回もそうあるべきだ」と、北浦嗣巳さん(チーフプロデューサー)にプレゼンして、『ブレーザー』にも参加していただきました。メインキャスト紹介パートとさまざまな媒体で報道されている怪獣たちのパートは、flapper3にお願いしています。

――ウルトラマンシリーズのOP映像でサビが怪獣ばかり映っているのは、なかなか衝撃的でした。

田口 あそこは初代の怪獣の影絵のオマージュなんです。要はあれの現代版なんですよね。ウルトラマンシリーズのOP映像って、怪獣の影絵か防衛隊の兵器を映すのが鉄板じゃないですか。僕の中には常に初代があるので、現在の技術で初代をやればこうなるというのを突き詰めれば、その都度新しいウルトラマンになるんじゃないかなと。こだわりという意味だと、文字のフォントもいつもかなり気を遣っているところで、今回も登場人物のフォントは面白くしたいと思ったんです。そうしたら、円谷プロのデザイナー・井野元大輔さんが、名前がギリギリ読めるレベルで切り刻まれている文字を書いてきてくださって。大丈夫かなとも思ったんですが、「カッコいいからよし!」と(笑)。個人的にもお気に入りのOPです。


(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

――EDは前期・後期ともにウルトラマンシリーズ初参加のMindaRynさんが歌唱を担当されています。

田口 MindaRynさんは、OP歌手の候補でも挙げていただいたんです。OPはおじさんシャウトにしたいと言っていたので、「では、EDでどうか」という話になったんですが、これがすごくいい曲になって。アゲアゲな男性ボーカルのOP、カッコいい女性ボーカルのEDというのが、今回ガッチリとハマった気がします。

小柳 後半のEDも素敵な曲でしたね。

田口 劇伴を担当されているTECHNOBOYS(PULCRAFT GREEN-FUND)さんが作っているんですが、よく聞くとブレーザーの戦闘曲のアレンジになっているんです。レコーディングを見学させてもらったとき、「いい曲ができていくぞ!」と感じていました。

――後期EDもファンの方に愛されるとうれしいですね。最後に後半戦の見どころをお願いします。

小柳 ここまでのお話で、SKaRDのメンバーやレツに愛着を持ってくださったと思うんですが、後半は彼らが大変なことに巻き込まれていきます。でも、「この人たちなら大丈夫だ」と、ここまで見た中で感じていただけていると思うし、そういう安心感を抱いてもらえるように作ってきました。そして、ドバシ ユウさんなどの新キャラも登場していきます。

田口 アースガロンにも変化がありますし。

小柳 そうですね。最終話なんかは「こんな名だたる方たちが一堂に?」と思うくらい、凄まじい画面になっているので、期待していただきたいなと。ドラマでは、エミがよりヒロインとして活躍するようになっていきます。ぜひSKaRDと一緒に、ハラハラドキドキしていただきたいです。

田口 ファンの皆さんの感想を見ていると、登場人物それぞれに思い入れを持ってくださっているのがうれしいです。後半戦は、SKaRDのみんなが大きな状況に呑まれていきます。皆さんもそこへついてきてほしいですし、彼らと一緒に考えてほしいなと。とはいえ、今回は“SF短編として面白く”ということが一番のテーマです。単純に一本一本楽しんでほしいですし、話数を積み重ねるうちに、いつの間にかすごいところに連れていかれている……という構成にしているつもりです。ストーリー自体も、世界が非常に不安定な今、それに対して何か一つ投げかけるような物語にしようとしています。今後SKaRDがどうなっていくのか、楽しみにしてください。

<Profile>
たぐち・きよたか
1980年5月7日生まれ/北海道出身/代表作に『ウルトラマンZ』(メイン監督・シリーズ構成)、『ゆうべはお楽しみでしたね』(監督)など

こやなぎ・けいご
1983年9月25日生まれ/富山県出身/代表作に『盾の勇者の成り上がり』(シリーズ構成・脚本)、『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』(脚本協力・軍事考証)など

アニメージュプラス編集部

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