• 『ウルトラマンブレーザー』ワンカット空中戦はこうして生まれた! 田口清隆&小柳啓伍が語る裏話
  • 『ウルトラマンブレーザー』ワンカット空中戦はこうして生まれた! 田口清隆&小柳啓伍が語る裏話
2023.10.21

『ウルトラマンブレーザー』ワンカット空中戦はこうして生まれた! 田口清隆&小柳啓伍が語る裏話

小柳啓伍さん(左)と田口清隆監督(右) (C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

物語の折り返し地点を迎えた『ウルトラマンブレーザー』。物語の根幹に関わる謎が提示された第14話、約58年ぶりにガヴァドンが登場した第15話は、第1~3話ぶりにメイン監督の田口清隆さんが登板した。

第14話はメイン脚本で、田口さんとともにシリーズ構成も務める小柳啓伍さんが脚本を手がけ、SKaRDの諜報員的存在であるアオベ エミを中心としたシリアスなエピソードが展開。ワンカット風の演出で描写されたウルトラマンブレーザー&アースガロンVSデルタンダルの空中戦に驚愕したファンも多いはず。

第15話の脚本は、田口さんと何度もコンビを組んだ中野貴雄さんが担当。第14話から一転し、SKaRD隊長のヒルマ ゲントの息子・ジュンにフォーカスした、ハートウォーミングなストーリーが描かれた。

今回は田口清隆さん、小柳啓伍さんの対談が実現。第14・15話を中心に、『ブレーザー』制作の裏話と今後の見どころを伺った!

>>>対談時のお二人や作品場面カットを見る(写真12点)

◆念願かなってのガヴァドン回◆

――第15話は、田口監督肝いりのガヴァドン登場回でした。

田口 えぇ、念願のガヴァドンでした(笑)。僕のほうで暖めていた話があったんですけど、それがすごく暗い話だったんですよ。ガヴァドンが出るのに。ガヴァドンなら中野貴雄さんに脚本を書いてもらいたいと思って。お願いしたときには気にしなくていいですと言いつつ、「一応僕もこんな話を考えている」と伝えました。それで中野さんが書いてきたプロットが、ほぼ皆さんがご覧になった内容で。「こっちのほうがいい」と、当初考えていた話は全部捨てました(笑)。

――ガヴァドンがだんだん大きくなっていくところが印象的でした。小さいガヴァドンがまたかわいくて。

田口 そうですね。今回の話のベースは初代『ウルトラマン』のガヴァドン回(第15話「恐怖の宇宙線」)と同じですが、子どもたちがガヴァドンAのデザインにこだわりを持っている、というところが違うんです。中野さんが、描いたガヴァドンの絵の大きさに応じて、だんだんサイズも大きくなるというアイデアを出してくださり、「これは面白い!」と思いまして。着ぐるみを特撮だけでなく本編でも使えば、2メートルと50メートルの二段階で出せるなってところで「イケる!」となりました。ただ、時間的な制約などで、個人的にやりきれなかった部分もあるんです。「やっとガヴァドンが撮れる!」と意気込んで、理想が大きすぎたからこそ、思い残すことも多いのが正直なところで……。まぁでも、ガヴァドンかわいかったです。

一同 (笑)

田口 いやー、かわいかった(笑)。

小柳 オブラートというか、ガヴァドンで包み込んだというか(笑)。

田口 ガヴァドンが全てを包み込んでくれました(笑)。


(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

──小柳さんは、第15話の脚本や映像をご覧になっていかがでしたか?

小柳 まず脚本を読んで、あのセリフ回しは自分では書けないと感じました。田口さんもそれを求めて、中野さんにお願いしたとおっしゃっていましたし。今回シリーズ構成として、キャラクターの整合性を取ることにはかなり気を遣っていましたが、第15話の脚本は「こんなに変わってもいいんだ」と驚きました(笑)。

田口 「第15話はいいんです」「中野さんの脚本なんで」みたいな感じで(笑)。

小柳 田口さんから前フリを受けていたんですが、初稿が上がってきて「あ、こういうことか」と(笑)。実際に完成した第15話は、僕としてはすごく良いお話だったと思っていて。観たときにはちょっとホロっときました。第14話もゲントとエミのシーンで涙したんですが、第15話は自分に2歳になったばかりの子どもがいるからか、ジュンの涙にもらい泣きしてしまいました。

田口 それが中野さんテイストなんだよね。セリフが昭和風味だったりするんだけど、そこを変に直すとテイストが崩れちゃう。味付けが繊細というか、世界観が完成されているというか。中野さんの味は、中野さんにしか出せないんです。僕は脚本に対して「もっとこうしたい」と意見を結構たくさん言うほうだと思うんですけど、それが一番少なくなるのが中野さんの脚本。演出する側も、中野さんのテイストをちゃんと映像にするのは多分大変だと思うんですが、僕は結構好きだったりします。結果的に第15話は、僕の担当話では唯一、小柳さんが脚本を書いていない話数になりました。

小柳 いま中野さんの脚本のお話をしましたが、僕も田口さんからは「小柳さんも結構クセあるからね」「なかなか扱える監督はいないと思いますよ」と言われました(笑)。

田口 小柳さんが書いた脚本をちゃんと映像にするのは、まあまあテクニックが必要です(笑)。

――『ブレーザー』は同じ監督と脚本家のコンビで担当されることが多いですよね。何か狙いがあったのでしょうか?

田口 各監督には基本的に一緒にやりたい、コミュニケーションが取りやすい脚本家さんと組んでもらうように、自身で決めてもらっていました。僕が小柳さんにお願いしたみたいに、ほかの監督陣もやりたいことをやるなら脚本はこの人、というのがあるはずで。各監督には自分が思う一番いい話を作ってもらいたいし、そのための脚本づくりで変にモタついたらもったいないと思い、今回はこういうやり方をお願いしました。

小柳 ほかの脚本家の方では、縦軸に近い話数を担当してくださった継田淳さんの脚本は印象的です。読んでいて素で面白いと思うところや、感動するところもあって。嫉妬ではなく純粋に、「いいなぁ」と感じていました。僕たちが手の届かない部分をフォローしてくださった辻本貴則監督(※「辻」は一点しんにょうが正しい表記。)と継田さんには、とても感謝しています。


(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事