• 野島伸司が新ドラマ『何曜日に生まれたの』をアニメファンに勧める理由
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2023.08.04

野島伸司が新ドラマ『何曜日に生まれたの』をアニメファンに勧める理由

ドラマ『何曜日に生まれたの』の脚本を手掛けた野島伸司さん


──主人公・黒目すいのキャラクターは、どのように生み出されたのでしょうか。

野島 ひきこもりで父親と宅配の人ぐらいにしか会っていないため、人と仲良く話すようなことから遮断された子、というイメージを入口に考えていきました。キャラクターを作るというよりは、背景的にそうならざるを得なかった女の子をプレーンに書いていった感覚ですね。

──すい役を演じる飯豊まりえさんとは、6年ぶりのタッグとなります。

野島 瑞々しいキャストを主役にしたい、という話はプロデューサーの松原(浩)としていました。飯豊さんは、彼女が高校生ぐらいの時に『アルジャーノンに花束を』や『パパ活』で一緒に仕事をしたことがあるのですが、自身の芝居を押しつけてくるタイプでもなく、かといってドキュメンタリックすぎることもない、とてもバランスのいい演技をする子だなという印象があります。多分僕だけじゃなく脚本家や映像監督からも好かれるタイプの女優さんなんじゃないでしょうか。

──登場人物の中で印象的なキャラクターといえば、誰になりますか。

野島 やっぱり溝端(淳平)君が演じる公文竜炎ですかね。いろいろ隠している部分があったり、興味深いことがあるとデリカシー無く相手を質問攻めにしてしまうみたいな、同じ物書きとして似ているところがけっこうあったりしますので。

──野島さんはこのドラマについて「普段ドラマを観ない、マンガやアニメ派の視聴者にも観てもらいたい」と話されていましたが、それはどういう意図なのでしょうか。

野島 僕はコロナ禍になったのを機会にマンガやアニメの方向に行ってみようと思って、ここ数年は二次元系の仕事(TVアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』の原案・脚本など)をしていたのですが、そこで自分自身もそういった嗜好性が強いのではないか、ということに気づいたのです。

例えば実写ドラマだと不倫ものが人気ですけれど、アニメではそれは完全にNGですし、ましてや性的な裏切り行為をするキャラクターはヒロインや主役たり得ないわけです。そういった潔癖さで形作られた「二次元の精神性」というものが自分の感覚にすごくフィットして、居心地の良さを感じたんですね。

今回のドラマの脚本は、そんな気分を引きずりながら書いていた感覚があります。設定的にも主人公の父親がマンガ家だったり、人気ラノベ作家が出てきたりと、アニメやマンガのファンが入りやすい内容になっていると思いますし、何より一番大事なのは本作のスピリットがアニメ・漫画ファンの持つそれとリンクするものになっているんじゃないか、という思いがあるからです。

──それは一体どういうことでしょうか。

野島 実写ドラマって「こういうこと、あるよね」「分かる!」という共感を味わうために観る部分が多いと思うんです。でもアニメや漫画のファンの皆さんが作品に追求するのは、どこまでいっても「面白いか、面白くないか」だけなんですよ。しかも、一度作品を好きになったら、一生愛してくれますよね。
僕みたいな作り手は、少数でも作品をメチャメチャ好きになってもらう方が嬉しかったりするんですね。しかもこのドラマで、僕なりの「中二病感」を最後まで貫いてみたつもりです。だからこそ、そういうアニメ・漫画ファンの人たちにこそ観てほしいし、楽しんでもらいたい、という思いがあります。

──最後に、作品を楽しみに待っている皆さんにメッセージをお願いします。

野島 皆が楽しめる月9ドラマの真逆、と言ってしまうとおかしいかもしれませんが、先ほど話したとおり「一番素晴らしい青春時代をコロナで奪われた若い世代」という非常にパーソナルな人たちに向けて書いた一種の「ラブレター」という気持ちで書いた作品です。
狭い層に向けた内容ではありますが、この強い思いを多くの人たちに受け取ってもらえるドラマになればいいな、と思っています。

>>>ドラマ『何曜日に生まれたの』第1話場面カット&制作発表会見の様子を見る(写真19点)

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アニメージュプラス編集部

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