青崎有吾による小説『アンデッドガール・マーダーファルス』(講談社タイガ刊)がアニメ化され、ついに本日、7月5日より開幕! 首から下のない不老不死の美少女探偵・輪堂鴉夜(りんどうあや)が、“鬼殺し” の異名を持つ半人半鬼の青年・真打津軽とメイドの馳井静句とともに難事件を解決しながら、奪われた身体を探す旅を続けていく――。本作で、輪堂鴉夜を演じる黒沢ともよさんに、キャラクターや作品の魅力をたっぷり語っていただきました!──まずは、原作小説を読んだ時の感想からお聞かせください。黒沢 軽快な文体で読みやすいんですが、その一方ですごく生々しく表現されている猟奇的な描写を映像で思い浮かべて高揚と背徳を楽しんでいる自分に罪悪感を覚えたり……いろんな思いを行ったり来たりさせられて、逃れられないところで弄ばれている感覚を味わいました。
ページをめくる手が止まらず、「エンタメの源流って、きっとこういうものなのだろうな」と思いながら一気に読み切ってしまいました。
──黒沢さんが演じるヒロイン・輪堂鴉夜はどんなキャラクターでしょうか。黒沢 900年以上生きてきた不死の少女なのですが、諸事情あって今は生首だけになってしまっています。怪物専門の探偵をしていて、生首姿で鳥籠に入っています。生首になってからはまだ半年ぐらいなのですが、奪われた身体を取り返すためにヨーロッパを巡る旅を続けているんです。
死ねない上に自分の意志で動けないという、枷の多いキャラクターではあるのですが、物語の中での余白も多く、声を当てる側にとってはとても魅力的な存在だなと感じました。
──まさに異色のキャラクターですが、オーディションにはどのように臨まれましたか。黒沢 オーディション時の資料に「生首」と書いてあったのに驚きましたし、すごく難しそうな役だからこんな若造には振られないんじゃないかと思って、オーディションは「記念受験」の気分で受けさせてもらったんです。
あと「考えることと喋ることしかできない」と資料に書かれていましたので、その時は「よく口が立つ子なんだろうな」と想像しながら演じさせていただきました。
──鴉夜は長台詞が多いので、そこも大変だったと思うのですが。黒沢 普通のオーディションだと、喜怒哀楽が分かる台詞が一個ずつ、それとキャラクターの性格を表す台詞のセレクトが何個かあって、というパターンが多いのですが、鴉夜の時は長台詞、そして長台詞みたいな感じで……オーディション原稿がまるで「外郎売り(編集部注:歌舞伎の劇中に登場する長台詞。発声練習や滑舌の練習に使われている)」みたいに、すごくみっちり詰まっていたんです(笑)。
「きっとこの長い尺の台詞を喋るシーンがあるんだろうな」とは思っていたら、実際にアフレコをしてみたら、だいたいの台詞をその長さで喋ることになりまして(笑)。今までいろいろなキャラクターを演じてきましたが、鴉夜はかなり特殊ですね。
──となると、本番のアフレコ作業も……。黒沢 本当に大変でした(笑)。この取材のために改めて台本を読み返しましたが、本当に台詞が多くて、改めて「私、こんなに喋ってたんだ!」と驚きました。
ただ、ほとんどの台詞がとても軽快でリズムがいい原作そのままのものだったので、読むこと自体の苦労はありませんでした。
(C)青崎有吾・講談社/鳥籠使い一行