【個性豊かなキャラクターたちの印象】――幸人の周りにいる個性的なキャラクターも、大きな見どころのひとつですね。上村 彼らはそれぞれの信念をしっかり持っていて、しかも各エピソードでそれぞれの抱えているものが垣間見える瞬間もあるので、全員に感情移入できて応援したくなりました。
――まず、幸人の師匠となる沙川尽義にはどんな印象をお持ちですか。上村 尽義は幸人と対照的な存在ですね、いつも陽気でお酒を飲んでばかりいるんです。尽義役の寺島(拓篤)さんも「実はこの場面、何杯か飲んで今ここに来ているので」みたいなディレクションを受けていたことがありました。
そんなだらしなくて隙のある雰囲気だからこそ、心を閉ざしている幸人も強く当たったり、感情を素直にぶつけることができるんですね。そこはやっぱり、尽義の人柄あってのことだと思います。
あと話が進んでいくと、尽義の本当の胸の内だとか、幸人を島に連れてきた理由が分かってきて、印象も変わってきます。
僕としてはそういうキャラのバランスがカッコイイなと思うのですが、幸人本人はおそらくそこまで考えていないんでしょうね(笑)。
――幸人の父である八凪真人の一番弟子・鞍馬春秋、二番弟子・伊吹朱も、また違った魅力がありますね。上村 鞍馬は柔らかく神聖な空気感を持っている大人の男性で、幸人が「この人、すごいんだな」と純粋に憧れ、敬う人物です。なので演じる時は尽義とは違って、心の距離感を大事にしたいなと思いました。
鞍馬と対の関係にある伊吹は、銃でアラミタマと戦うような攻撃的な一面があり、幸人も「少し怖いな」と思ってしまう人物なのですが、伊吹は彼なりに幸人のことをちゃんと気にかけてくれていて、実に複雑な関係なんですよね。だからこそ幸人は「それぞれ目指すことは同じはずなのに、どうしてこうも手段が違うんだろう?」という疑問を持つことになります。
相容れない鞍馬と伊吹の関係は、今後も色々な問題を引き起こしていくと思います。
――他に、個人的に気になっているキャラクターがいたら教えていただけますか。上村 一条いばら、ですかね。今触れた3人は年上の先輩ばかりなのですが、同世代のいばら相手には幸人はすごく年頃の男の子らしい振る舞いをするんですよね。一方で、いばらは幸人が恐れている伊吹の下にいるわけで、そんな二人の関係は、今後何らかの鍵になってくるんじゃないかな、と気になっています。