ジブリパークで名作アニメの世界に迷い込む「ジブリの大倉庫」の歩き方

ジブリの大倉庫のもうひとつの目玉は、広大な企画展示エリア。施設内には３ヶ所の企画展示エリアがあり、今後は時期によってさまざまな企画展が楽しむことができると思われます。現在は「ジブリなりきり名場面展」、「食べるを描く。（増補改訂版）」、「ジブリがいっぱい展」の３つが開催中です。

「ジブリなりきり名場面展」は、まさにタイトルそのまま。実物大に作り込まれたジブリ作品の名場面の中に入り込んで写真を撮ることができる体験型展示です。ジブリ映画から13作品、14のコーナーが設置されています。

どうしても名シーンの中で写真が撮れることに気持ちが行きがちですが、この展示のポイントは主人公と同じ目線で劇中シーンの一部を体験できることにあります。『千と千尋の神隠し』の電車でカオナシの隣に腰掛けるシチュエーションでは、カオナシのサイズ感や車内でのちょっと寂しげな空気を感じることもできますし、『天空の城ラピュタ』の空から降りてきたシータを受け止めるシーン、フラップターの後部からロボット兵に抱えられたシータに手を伸ばすシーンで、パズーがどんな視点でその状況を見ていたのかがわかります。
立体的にシチュエーションを体験すれば、劇中で描かれたキャラクターたちの大きさや特殊な状況などをより現実感がある形で知ることができ、今まで見慣れた映画から一歩踏み込む形で主人公の心情に思いを馳せることができるはずです。

「食べるを描く。（増補改訂版）」は、以前三鷹の森ジブリ美術館で開催されていた企画展に新たな要素を加えたもの。
リアルに作り込まれた食品サンプルの展示は劇中の食事の大きさや色などを「本物」のように実感でき、映画を観て感じる以上に「実際に食べてみたい」と思わせてくれます。食品サンプルだけでなく、食事を食べたシチュエーションや食事が作られた場所も実物大で再現されていて、「ジブリなりきり名場面展」とは違う形で、ジブリ作品の「食」の世界に没入することができる演出も素晴らしい。

また、ジブリ作品ではどのようにしてあんなに美味しそうに食事が楽しめるのかを感じさせる「作画」の秘密が、絵コンテや原画、動画といった貴重な資料類によって明らかにされる。演出意図や細かい動きなどまさにコマ単位で知ることができ、そのこだわりの結果が美味しそうな「食事」に繋がっていると感じられるので、そうした部分にもぜひ注目してほしいです。

もうひとつの企画展「ジブリがいっぱい展」は、世界中から集められたジブリ作品の書籍、映像ソフト、音楽ソフト、ポスターが一堂に展示されています。展示会場に入ると、目の前に飛び込んでくるのは、ジブリ作品冒頭に登場するトトロのイラスト。そこを抜けると東京・小金井市にある実際のスタジオジブリのカフェスペースを再現したエリアがあり、スタジオに入った雰囲気を味わうことができます。

そして、さらに奥には各国のジブリ作品の展示スペースがあり、その奥には、実物大のネコバスと共に関連書籍が並べられたスペースが現れます。ネコバスは実際に中に入って座席に座ることができるので、展示資料を見るだけでなく、ここでも劇中気分を味わうことができるのもポイントが高いです。


そして、最後にもうひとつ推しておきたいのが、施設の名前の元になっている場所ともいえる「公開倉庫」。かつて、三鷹の森ジブリ美術館で開催された企画展示をはじめ、国内外で行われた展覧会などで使われた造形物が制作物が保管されたエリアです。

ほかの場所に比べると、「倉庫」の名前のとおり暗く、シンプルな場所に大小さまざまな造形物が解説などがなされずに置かれていますが、今後何らかの企画展示で日の目を見るかもしれない展示物たちが静かに眠る公開倉庫は、まさにバックヤードとも言える場所。置かれている造形物が何に使われたものか想像してみるも良し、かつて三鷹の森ジブリ美術館やジブリ関連の展覧会に行った人なら、記憶に残るものを探すも良し。ある意味、「普段は見せないところに、特別に案内しますよ」という雰囲気でワクワクさせてくれる場所となっているので、どうぞお見逃しなく。

今回紹介した以外にもジブリの短編映画を上映する映像展示室「オリオン座」やカフェ「大陸横断飛行」、各種グッズを取り揃えたショップ「冒険飛行団」、子どもだけが入ることができる「ネコバスルーム」や「子どもの街」など見どころは満載。
さらに、「青春の丘」や「ドンドコの森」などのエリアも合わせるとジブリパーク内での移動距離はかなり長くなるので、ぜひ１日中歩き回るつもりで楽しんでみてください。

＞＞＞どこに行っても楽しい「ジブリの大倉庫」お薦めの見どころをチェック！（写真32点）

（C）Studio Ghibli