◆まさかの共演! アーリーベリアルとベリアロク◆――『大いなる陰謀』から登場した並行同位体のアーリーベリアルについても、お話を伺えればと思います。アーリーベリアルを演じるうえで、意識されていることはありますか?小野 「ウルトラマンらしい、ヒーローらしい演技をしなくてもいいですよね?」と最初に擦り合わせをしました。光の国にいた頃でも、後の彼につながる悪の性格は持っていたので、ダミは少し取りましたが声のトーンは変わらず低く演じました。
――作品によってさまざまな表情を見せるベリアルですが、その中でも変わっていないと感じるところはありますか?小野 自分にとっての敵を排除すること、強者を探して宇宙を彷徨うことは変化していないと思います。特にレイブラッド星人の遺伝子を与えられた本来の歴史のベリアルは、他者の体に憑依する力を持っていて、強い存在を探すことは行動の軸としてあったなと。
――『ウルトラマンZ』では、ウルトラマンゼットが使う剣としてベリアロクが登場しました。ベリアロク役のお話を最初に聞いたときの心境は?小野 正直なことを言えば、ベリアルが精神的な意味で“おもちゃ”にされてしまわないかと真剣に考えました。これまで描かれてきた悪役としてのベリアル像が崩れてしまうんじゃないかと思い、最初の収録のときに相談しましたね。
――ベリアルに思い入れがあるからこそ、最初は不安を感じていたんですね。小野 はい。だから、僕からも単なるゼットの相棒に成り下がらないよう「ベリアルが持っていた悪の面影を残したい」とお話をして。「コイツと組めば面白い相手が斬れる」と思ったから一緒にいる、ヤンチャ感があるイメージで演じています。ただ、最初の収録が玩具の音声を録るタイミングで、玩具音声収録の現場で「おもちゃにされないでしょうか?」と相談する不思議な状況になりました(笑)。
――今作ではアーリーベリアル、ベリアロクが登場し、アーリーベリアルがベリアロクを使う場面も描かれました。両者の演じ分けで意識されたことはありますか?小野 それぞれ別の意志を持つ独立した存在なので、演じ分けるというよりは異なるキャラクターを演じる意識で収録しました。それは今作でハッキリ実感したところでもあって。特にベリアロクは面白いやつに使われたいと願い敵を求める、剣としての本能のままに生きる“純粋斬りたいマン”だなと(笑)。
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