現実逃避に首ったけ⁉ (4)手塚治虫没後30年、ゼロ年代から20年‼ 1989年は平成元年ですが、昭和64年と言ったほうが年寄りにはシックリきます。
なぜかといえばその年が、手塚治虫が亡くなった年であるからで、そこに私個人としては「平成感」を見いだせないからです。
あれから30年、「巨星墜つ」の後に生まれた人間もいまや三十路、同年に誕生した漫画家の、代表的なひとりが
大今良時、あの
『聲の形』の作者となります。長く「差別」の物語をテーマに描き続けた手塚治虫。その死後しばらくして生まれた漫画家が、『聲の形』を描いて、2015年に第19回の手塚治虫大賞の新生賞を受賞し、現在はメタモルフォーゼを続ける不死身の主人公の物語
『不滅のあなたへ』を描いていることには、意味があると思いたいところです。リアルタイム『火の鳥』として、どこまで行くか期待しています。
さて、前回から続くかたちになりますが、
「このマンガがすごい!2020」は回収されて入手できませんでしたが、ネットで順位の確認はできます。そこで、もう一つの年間マンガベスト本
「フリースタイル/THE BEST MANGA 2020 このマンガを読め!」を現在住んでいる別の駅まで買いに行ってきました(一番近い書店では扱っていないと店員さんに言われたので)。
この二つは、ゼロ年代半ばから並走するように刊行されてきましたが、同じ年のことなのかと思うくらい 、例年ベスト作品が違っていて、興味深く比べていました。
「このマンガがすごい!」のベストはずっと、高校生から大学生でアニメ&ゲームが好きで、コミケの列に並ぶ体力が残っている人向けで、「このマンガを読め!」は大学漫研の部室ノートに書かれたセレクトのようで、そのふたつの水と油感は大変興味深いものだったのですが、なんだか今年のラインナップはお互い混ざり合っていて、「?」でした。
そうかゼロ年代からも、もう20年なのだ。手塚没後30年よりもびっくりしてしまいます。
今年は昨年末に脳味噌がつまって倒れてから、春先の退院まで、当然のごとく本屋に出向けず、たぶんこんなに本屋に行かなかったのは小学校に上がってから初めてな状況だったので、前年のベスト本はチェックもできなかったし、今年の新刊も退院まで読めていないものが多かったのですが、意外と読めていたのでほっとしました。
昔から、こういった年間ベスト系の情報は、自分が知らない(読んでいなくても知っていれば取りあえず納得できるのですが)作品があがっていると、編集魂がうずいたのですが、今年のうずきは「このマンガがすごい!2020」オンナ篇1位の
『さよならミニスカート』くらいでした。しかし、この機に読んでみたら「今」の問題を描いた青春ものとして大変面白かったです。唐突な言い方かもしれませんが「令和の
ホットロード」としても読めるなと思いました。気になったのは、キーマンとなる男子(堀内光)が2巻までではまだ弱いことかもしれませんが、こちらが強くなってしまうと作品中の恋愛度数があがって、ジェンダー問題が後退してしまいそうなので、個人的には『ホットロード』化を望んでいるわけではありません。
とりあえずこのふたつのベストから気になった作品についてコメントをさせていただきます。
まずは「このマンガがすごい!2020」のほうから。