■スマートブレインがあれば何でも上手くいく?――それぞれのキャラクターのことも伺います。草加と北崎はTVシリーズで死亡したので、どういった形で登場するのか気になりました。村上 僕も映画がTVシリーズの続きと聞いて「無理でしょ、首折られましたよ」「完全に灰になりましたよね」と思いました。「どうやって出るのさ」と台本を読んでみたら、アンドロイドという手があった。これには驚きました。
藤田 ビックリした! しかも、草加さんは最初からしれっといるから。
芳賀 私(真理)たちもどう受け入れたんだろう。
村上 そうだよ。タッくん(巧)なんて俺の灰で「おい見ろよ、草加の血だ」って言っていたのに。でも、真理なら。
芳賀 そう。真理は見ていないんだよね、草加くんの死は。まぁ、真理は自分もスマートブレインの技術で生き返ったりしているし。
半田 アンドロイドは作れるし、巧もスマートブレインの技術によって延命できる。スマートブレイン最強説ですよ。
芳賀 人間も生き返っちゃうし。
半田 『555』で辻褄が合わないことが出てきたら、全部スマートブレインが解決してくれる。
芳賀 さすが大企業(笑)。
村上 スマートブレインってやつの仕業なんだと(笑)。
藤田 便利ですよね。
半田 そういう会社がひとつあると便利なんだよ(笑)。
――巧もTVシリーズのラストでは、生死が曖昧な描写がされていました。半田 僕自身は巧の厳密な生死について、そこまで考えていませんでした。結果として今作では灰になる前兆があった巧が、スマートブレインで何らかの処置を受けて生き延びていた。ある意味、北崎に救われたところがあるんです。巧本人も俺は死んだと言っていたけど、要は拾った命くらいの感じで、相変わらず死ぬことを恐れず、命を粗末にして生きているんです。
――内面的にはあまり変わっていないと。半田 ええ。昔から巧は生き急いでいるところがあって、序盤では当時と同様、生きることに執着していない様子を意識していました。そこから真理がオルフェノクになり、彼女の力を借りることで、巧も生きることに対し、初めて希望を掴むことができた。それが今作のドラマだったと思います。前に「夢を守ることはできる」と言っていましたが、やっぱり巧は自分のためじゃなく、真理が生きる動機になるというか。
芳賀 田﨑(竜太)監督が「巧にとって真理は生きる希望スイッチだ」と言っていたんですよね。
半田 すごくしっくりきた、それ。
芳賀 真理が元気に生きていれば巧はそれで満足で、だからこそ自ら命を絶とうとした真理を見ていられなかったのかなと。そこで巧が初めて弱さを見せているのが、20年前じゃ描けなかったことだと思います。
半田 TVシリーズ当時に今回の台本の巧を演じていたら、説得力がなかったかもしれない。
――北崎はアクションシーンが多く描かれていましたね。藤田 そうですね。皆さんは変身されて、僕を残して現場から帰っていくという。
芳賀 当時の私と同じ(笑)。
藤田 そうね(笑)。今回のアクション監督は、長年別の作品で一緒にやっている和田(三四郎)さんで、僕がどんな動きができるのかわかっていらっしゃるから、とてもやりやすかった。昔の北崎ならしない、ちょっとパワータイプなアクションをしつつ、機敏さは残してと、ひとつひとつ和田さんと話しながら作っていけて、すごく楽しかったです。
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