• 【ゆびさきと恋々】諸星すみれ・宮崎遊が演じながら圧倒された「丁寧で温かな恋愛描写」
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2024.02.10

【ゆびさきと恋々】諸星すみれ・宮崎遊が演じながら圧倒された「丁寧で温かな恋愛描写」

(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会


――非常に繊細な感情を描いている物語だと思うのですが、原作や台本を読まれた時の感想はいかがでしたか。

諸星 本当に温かいお話だなと思いました。勿論恋愛漫画っていうことで、キュンキュンするポイントもたくさんあるんですけれど、その「キュン」の質がすごく高くて奥深いんです。何か言葉に表せないぐらいの高まる感情がすごくあって、その気持ちのやり取りがとても繊細で緻密なんです。
雪は全編通してモノローグですけれど、そのモノローグの言葉もすごく綺麗だし、 普段こんな言い回ししないなっていう言葉にうっとりしながら「演じる時はどうしよう?」と考えたりして。新しい世界を見せてもらっている感覚でワクワクしながら読ませていただきました。
恋愛だけじゃなくて、1人の女の子としての雪の成長だったり、 友達や家族との関係とか、いろんな愛が詰まっている、とっても心温まる作品だなと思います。

――モノローグに関しても、本当に心の動きを1歩ずつ追いかけていて、実に丁寧な印象が強いです。

諸星 どうしてそういう言葉を発するに至ったのか、ということを、 ちゃんと私が噛み砕だかないと、単に聞こえがいいだけのものになってしまうんです。雪が何を見てどういう気持ちの変化があったのか、そういう細かいところをちゃんと理解しないと、この作品の良さは伝えられないと思うんです。

宮崎 人が普通に生きている中で感じる、ちょっとモヤっとする瞬間とか、何かすごくキュンと来たみたいな、そういう日常で起きている些細な心の変化みたいなものを淡い感じで、ふわっと暖かい、足湯ぐらいの温度感でひとつひとつ丁寧に描かれているんです。僕はこういう女性向けの恋愛漫画をあまり読んだことがなかったんですが、実際に読んでみるとすごく面白くて、多分理由はそこにあるんじゃないでしょうか。
だから諸星さんがおっしゃっているみたいに、それがこの作品の1番の魅力であり、何よりも大切にしなきゃいけないと思って演じています。

――先ほど諸星さんから「大学生の恋愛」という言葉がありましたが、具体的にはどのようなアプローチで?

諸星 高校生の恋愛って頭で考えるよりも体が先に動く、みたいなストレートなイメージがあるんですが、今回は相手の言葉や気持ちを受け止めて、ラリーは緩やかですけれども、それを自分の中でちゃんと噛み砕いてから相手に伝えて、みたいな密度の高い気持ちの出し方というんでしょうか、それを意識しました。

――モノローグの部分に、それは強く感じられますね。

諸星 そうですね。葛藤したりすることもありますけれど、それをただぶつけるのではなくて、それぞれが相手の気持ちも汲み取ったり、いかに相手を傷つけずに伝えられるかということを考えられたり……でも、その中に純粋さや素直さも混じっていて、 まさに大人と子供の間っぽい感じで。その辺りのバランスが絶妙ですよね。

――本作を観ていると、明らかに雪のセリフが多いわけですが、収録で苦労されているところなどはあるのでしょうか。

諸星 他の方に比べると圧倒的に多いんですけれど、大変なことはないんです。喋ってはいるんですが、それはモノローグで、自分の中で色々考えていることをポロポロと音にしているみたいな、自然にやっている感じなので、そこまで苦ではないんです。
ただ普通に喋っている時とは意識が違うんです。普通は相手の声を聞いてそれを受け止めて声を出しているんですけれど、雪には音がないわけです。そういう「聞こえていない世界」を常に自分の中で持続させることには結構エネルギーを使いますので、そういう部分では結構大変かなと思います。

――逆に逸臣はセリフがそんなに多くないキャラなのですが、その短い言葉の中に、いろんな感情が込められているように感じられます。やはり宮崎さんは、演じられながらそこを意識されている部分はありますでしょうか。

宮崎 おっしゃる通りで口数は多い方じゃないんですが、原作で逸臣が雪とLINEをしている時に返事を考えるのに3コマぐらい使っているところがあって、おそらく雪の今の心境とか「何でこれを書いたんだろう」みたいなことをすごく考えて返事の言葉を選んでいるだろうな、と。そういう物語の中で描かれない部分をちゃんと自分の中に埋めこんて、逸臣を演じなければいけないな、 と考えています。

――雪とかけ合う時、例えば他のキャラクターとテンポ感が違ってくるみたいな部分もあるんでしょうか。

宮崎 逸臣の雪に対して抱いている気持ちはやっぱり特別なものなので、それを踏まえれば、出てくる言葉や喋り方も違ってくる部分はあると思います。あと 話が進んでいくにつれて、逸臣がどんどん手話など、ろう者の方とのコミュニケーションに慣れていくグラデーションをちゃんと表現したい、という演出側の意図があって、そこは結構大変でした。幼い時からずっと手話を勉強している桜志とはちゃんと違ったコミュニケーションの雰囲気にしたいので、そこらはすごく繊細にやっています。

――本作の肝である「音のない世界」というものを、2人はどういう風に想像されながら演じられていらっしゃいますか。

諸星 想像はつかないですけれど、やっぱり見えるものや触れるものへの感度がすごく高くなるんだろうな、と考えました。私たちが普段何気なく見たりスルーしたりするものでも、雪はちゃんと一つひとつ、集中しているような感覚があると思うんです。モノローグもとても素敵な言葉で表現しているところからもそこがわかると思いますし、自分的には新しい発見でした。
また完成した本編を観ると、聞こえない世界の表現がすごく面白くて、観てくださっている方にもこんな世界なんだ、と感じてもらえるんじゃないでしょうか。

宮崎 逸臣が雪に「音が聞こえないってどんな感じなの?」って聞いた時、「いろんな音が混ざり合っているような感じです」みたいに答えていたので、ぼんやりと区別もつかないような鈍い音がなっていたりするのかなって勝手に想像していたんですが、諸星さんと同じく完成したアニメでの表現に触れて「ああ、こういう感じなのか」と観ているこちらにスッと入ってくる見事な演出をされていて、これも本作の大きな見どころになっているんじゃないでしょうか。

――では最後に、お二人から今後の展開含めての個人的な推しポイントをお伺いできればと思います。

諸星 逸臣との関係を通しての、雪の変化ですね。表情もさらに可愛らしいものを見せてくれるようにもなりますし、モノローグのレベルがガンガン上がっていくんです。
「すごい、こんな言葉遣いやこんな言葉の選び方ができるの?」と本当にビックリで、私もそれに追いつくのに必死なんですけども、その言葉の1つひとつが素敵で、毎回の収録で感激しています。そんな雪の感情を皆さんにも感じてほしいと思います。

宮崎 僕も毎回の収録で雪のモノローグには本当に感動していて、「こんな『てにをは』の使い方をするんだ?」って驚かされて……もうこれ、大学の授業の題材にしてもいいんじゃない? と思うくらいのレベルなんです。そういうところも含めて作品を観てもらえると、雪の心境や彼女を取り巻く世界が より鮮明になると思います。
あと、今の男性は桜志に共感すると思いますので、彼の頑張りと成長を追ってもらえると嬉しいです。

諸星すみれ&宮崎遊 撮影/大山雅夫

>>>雪と逸臣の心の交流が尊い!キュンとくる「ゆびさきと恋々」場面カットを見る(写真28点)

(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会

アニメージュプラス編集部

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