『ゆびさきと恋々』は、森下suuが描くコミックを原作にしたテレビアニメ。聴覚障がいのある女子大生・糸瀬雪と同じ大学の先輩・波岐逸臣のリアルでピュアな二人の恋模様が丁寧に描かれており、多くの注目を集めている。雪役を演じる諸星すみれさん、そして逸臣役を演じる宮崎遊さんに、眩しいラブストーリーにどのように向かい、そして演じているのか、お話をうかがった。▲(左より)波岐逸臣役を演じる宮崎遊さん、糸瀬雪役を演じる諸星すみれさん
――まずはオーディション時のお話からお聞かせください。諸星 まずテープオーディションの時に自分なりに雪のキャラクター像……筋がちゃんと通っていて、 生まれ持ったエネルギーの強さみたいなイメージを持って演じたのですが、続くスタジオオーディションに行った時に「キャラクターの雰囲気は良いんだけれど “大学生の恋愛” にしたい」と言われたんです。
私としてはその時、雪を等身大で演じたつもりだったんですけれど、今まで割と幼い感じの役が多かったので、もうちょっとだけ大人にステップアップしてみてもいいんじゃないか、と。声のトーンやキャラクターの感じを大幅に変えるのではなく、大人とも言えないけど高校生ほど子供ではない、そういう絶妙な空気感 やニュアンスをちょっと意識しました。
宮崎 僕の時は、1次審査からアイドルのオーディションみたいな雰囲気でした。スタッフさんや音響監督さん、 監督さんが揃って座っているところに3~4人ぐらいで入って、カメラが回っているところでセリフを言いました。
――ちょっと雰囲気が違ったわけですね。宮崎 逸臣はトリリンガルなので英語が喋れて、合格したらドイツ語スクールに通える人、というのが条件だったんです。英語のセリフもその場でやらなきゃいけなくて、緊張したのを覚えています。英語は言うほどできなかったんですけれど、その時「あれ、何かこれ(自分に)決まるな」という不思議な感覚があったのをよく覚えています。
その後、2次のスタジオオーディションがあって、そこで本格的に逸臣のセリフをたくさん喋ったのですが、最後にドイツ語のセリフだけ渡されて、ドイツ語の先生がいるところで、その場のディレクションがあって、それにどれだけ応えられるか、みたいな形で進行しました。普段とは全然違うオーディションでした。
――合格した後もドイツ語スクールに通うというのはなかなかに大変ですよね。宮崎 勉強できるなんてそんなありがたいことはないな、みたいな感じで(笑)。すごくワクワクしました。
――諸星さんは合格が決まった時、どんな心境でしたか。諸星 不思議と私も何か受かりそうな気がしていました(笑)。
宮崎 そうだったんですか?
諸星 自分的にハマった感じはあったので、合格の知らせがあった時も「あ、来た」みたいな(笑)。原作を読んでいて「雪を演じられたら、きっと今まで見られなかった 世界を、雪を通して知ることができるんだろうな」ってやっぱりワクワクしました。
――先ほどのお話だと、宮﨑さんは英語がある程度できるんですね。宮崎 学生の時にちょっとだけバックパックをやっていて。初めて行ったのがタイだったんですけれど、その時はもう本当何にも喋れなくて……「英語がちゃんと喋れたらもっと楽しめたのに」と思ったので、帰ってから帰国子女の友達にちょっとだけ発音の仕方とか教えてもらったんですが、ちゃんと訓練みたいなのは受けたことはなかったです。
実際に演じられる方が参考にするときのガイド音声なんかはお仕事としてやらせてもらったことがあるんですけれど、 ちゃんとお芝居で、という形は今回が初めてです。
――ドイツ語って、英語とはまた全然違って難しいですよね。宮崎 男性と女性で名詞や動詞が変わったりするので、気が遠くなりましたね(笑)。
諸星 全体が録り終わってから、宮崎さんだけ居残りで外国語のパートを録っているんです。ドイツ語の先生が入ってきて2人でやっているんですけれど、台本に書いてあるドイツ語のカタカナって本当に見たことがない表記で(笑)。自分もそれを見ながら、実際に話されているのを聞いて「あ、こういう発音になるんだ」って一緒に勉強している気分になって、それが楽しみのポイントでもあります。
宮崎 一緒に録る外国人役のキャストの方たちにアドリブの部分なども助けていただいていて、その人たちがいないともう無理です(笑)。
――では、お互いのキャラクターをどう思われているかをお伺いしたいのですが。諸星 逸臣は、カッコいいですね。人間力の高い、本当に魅力的な男性で、しかもその魅力に本人は無自覚というのがもう、罪です!(笑) 生まれ持った天性の魅力がある男性だなと思います。
宮崎 雪は「守ってあげたい」……という言葉にすると、すごく安っぽくなっちゃうかもしれないんですけれど、この子に嫌な思いや辛い思いをさせちゃダメだって 心の底から思えるような女性だと思います。あと、個人的には笑顔がすごく可愛いんです。あんなに屈託のない笑顔を見せられたら、もうキュンと来るに決まっていますよね(笑)。
(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会