• アニメ『大奥』阿部記之監督が大切にした原作の世界観とキャストの熱量
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2023.07.08

アニメ『大奥』阿部記之監督が大切にした原作の世界観とキャストの熱量

Netflixシリーズ「大奥」独占配信中


――本作はシリーズ構成のバランスも面白いですね。原作単行本1巻の「吉宗編」を80分近い第1話で一気に紹介して、以後2~3巻の「家光編」を2話~10話で丁寧に描いていきます。

阿部 原作の1巻目はプロローグ的なニュアンスが含まれていて、これをわざわざエピソードを分けて描いていくのはちょっと違うかな、と思ったので、多少詰めても1話で一気に見せようと考えまして、今回Netflixさんでの配信ということもあって実現できました。あとは1クールでどのくらいのエピソードまで入れられるか……ということを考えると、「家光編」までが妥当であろう、と。

――特に「家光編」はじっくりとした描写が印象的で、原作の数コマの出来事でもひとつのドラマとしてしっかり立っているのが印象的でした。

阿部 やはりそこは原作の強さですよね。何といってもキャラクターが一辺倒ではないということ……例えば有功にしても基本は清廉潔白な男ですが、立場が変わっていくことで弱く醜い部分が現れてくるわけで、そういう部分はしっかり掬い上げていきました。

――史実とは逆転した有功と家光の関係から、男女という性のあり方がより強く印象付けられるような気がしますが……。

阿部 有功が家光に「他の男に抱かれてください」とお願いするのは残酷な話ではあるのですが、実際の歴史の中で女性たちは家のため、もしくは国のために利用され、それでも逞しく生きてきたと思うんです。確かに男女逆転というフックはインパクトがありますが、それ以上に男女の本質を浮き彫りにしているように思います。

――本作はキャスティングのハマりぶりも見事で、中でも家光役・松井恵理子さんと有功役・宮野真守さんの演技には圧倒されました。

阿部 これだけのビッグタイトルなので、オーディションに集まった候補者は素晴らしい声優の方々ばかりでした。贅沢にもそこから選ばせて頂いたのですが……松井さんとは初めてご一緒しましたけれど、実に直球な方でしたね。

――直球、というのは?

阿部 テストから本気100%の演技なんですよ(笑)。僕らからしたら「そのテンションで本番まで持ちます?」と心配になったんですが、それだけ家光という役に入れ込んでくれたのだろうし、こちらとしてもやりやすかったので、実にありがたかったです。

宮野さんも百戦錬磨の方ですし、僕らが原作を読んだ時に感じた以上のものを演技で見せてくれるんですね。実際に映像を観た時にそれは感じてもらえるでしょうし、僕の立場でこう言うのも何だけれど「プロだなぁ……」と(笑)。

――まずは10話が完成しました。作品の手応えはいかがですか。

阿部 先ほどお話した着物や背景の作り込みもこだわりましたし、川井(憲次)さんの音楽も良いですよね。あとはメインテーマをEDで流すという構成も含めて、自分のやりたいことを形にすることができましたし、全体としては観応えのある内容にできたのはないかと考えています。贅沢を言うなら、自分の仕事はアクション系の作品が多いものですから、これに派手な戦闘シーンがあればさらに良し、とも思うのですが(笑)。

――全話観終えた感想としては、やはりドラマの続きが気になってしまいます。

阿部 そうですよね。ここからさらにストーリーは加速していきますから、この続きもぜひ作ってみたいですね。

――では最後に、ファンの皆さんへ監督から本作の注目ポイントをアピールしていただけますか。

阿部 まず「芝居」ですね。原作を読んで理解できることにさらに上乗せされた、手練れのキャストが演じて伝えるものの熱量は圧倒的だと思いますので。
あとはディーンさんが頑張ってくれた映像の美しさにも、ぜひ注目してみてください。

>>>豪華絢爛たる “男女逆転大奥” へようこそ! アニメ『大奥』名場面を見る(写真21点)

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アニメージュプラス編集部

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