• 片渕須直最新作『つるばみ色のなぎ子たち』ここまでわかった作品世界
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2023.05.22

片渕須直最新作『つるばみ色のなぎ子たち』ここまでわかった作品世界

(C)つるばみ⾊のなぎ⼦たち製作委員会/ クロブルエ

5月21日(日)に開催されたアニメーションスタジオMAPPA主催のイベント「MAPPA STAGE 2023」に片渕須直監督がプロデューサーの大塚学とともに登壇、新作アニメーション『つるばみ色のなぎ子たち』の情報が公開された。
タイトル、ティザービジュアル、メイキング映像、ステージで語られた言葉……わずかな情報から伝わるのは、〈アニメーションで描く〉ことを追求する片渕監督の “こだわり” だ。

劇場作品の『アリーテ姫』(2001年)や『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年)、またTVシリーズ『BLACK LAGOON』(2006年)などでアニメファンにその名を知られていた片渕監督。2016年公開の監督作『この世界の片隅に』が口コミやSNSでの評判をきっかけに異例のロングランヒットを記録したことでより広い層に認知され、国内外から新作が待ち望まれるアニメーション作家のひとりとなった。

今回のイベントで正式に発表となった待望の新作『つるばみ色のなぎ子たち』は、片渕監督によれば「平安時代の物語」。
“つるばみ”とはクヌギのどんぐりのことで、そのどんぐりの帽子の部分からは黒い染料(黒つるばみ)が作られる。つるばみ色とは黒――つまり喪服の色。ティザービジュアルに描かれた少女も、華やかな色の十二単ではなく、グレ一の装束を身に纏っている。
また、海外での展開を想定した本作の英語のタイトルは『Mourning Children』で、そこに『Nagiko And the Girls Wearing Tsurubami Black』という副題が添えられているが、「Mourning」とは「喪に服す」という意味だ。

「『なぎ子』というのは、以前作った『マイマイ新子と千年の魔法』という映画があるんですが、その映画には “千年前の少女なぎ子ちゃん” という子が出てきます。彼女と関係があるかもしれません」
「なぎ子と少女たち、そして喪に服す子どもたち。そういう色んな内容についての片鱗を散りばめました。今日はここまでに留めたいなと思います」

作品タイトルについてこう説明した片渕監督は、物語についてもほんの少しだけ紹介をしてくれた。

「平安時代というのは、色とりどりの十二単を来て、歌を詠んでのどかに暮らしていたのではないかと思われるかと思いますが、今ご覧頂いたように喪服を常に着ていて、その喪服を脱げないような時代でもありました。つまり常に人が次々と亡くなっているから喪服が脱げない時代でした。そういうことを我々はひとつひとつ当時の時代ってこうだったんだなと解き明かして、じゃあその中にいる人たちってこんな風だったんじゃないかな、というところから物語を起こしています」

和歌を詠じ、蹴鞠に興じるーーそんな、教科書に書かれていたような煌びやかで優雅な平安時代ではなく、“死” が現在よりも遙かに身近に存在していた “つるばみ色” の平安時代。
片渕監督は膨大な量の資料と調査を元に、そんな世界をアニメーションに落とし込もうとしている。


制作は、本作をきっかけに新たに設立されたスタジオ「コントレール」。
副監督はこれまでの片渕監督作品でも重要な役割を務めてきた浦谷千恵が務め、作画監督を『もののけ姫』(1997年、宮崎駿監督)や『君の名は。』(2016年、新海誠監督)の仕事で知られる安藤雅司、そして音楽は千住明が手がける(今回公開された「題名公開映像」の音楽も千住が担当)。
集結した実力派スタッフが片渕監督の強烈なこだわりを支え、アニメーションとして形にしていく。
▲片渕須直監督

(C)つるばみ⾊のなぎ⼦たち製作委員会/ クロブルエ

アニメージュプラス編集部

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