• 『機動戦士ガンダムNT』が挑んだ「一歩踏み込んだニュータイプ像」
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2023.03.24

『機動戦士ガンダムNT』が挑んだ「一歩踏み込んだニュータイプ像」

(C)創通・サンライズ

2018年に劇場公開された『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が、吉沢俊一監督の手によって全4話のTVエディションに再構成され、「GUNDAM NEXT FUTURE ×日5」枠で3月5日より地上波放送中。クライマックスの放送に合わせて、改めて本作がどのような立ち位置の作品であったのかを解説していこう。

『ガンダムNT』は、その誕生の経緯を含めて、かなり特殊な立ち位置にある作品と言える。本作の原作は、福井晴敏が手掛けた小説『機動戦士ガンダムUC』の外伝である「不死鳥狩り」という1編だ。
『機動戦士ガンダムUC』はOVA化の際に福井自らがスタッフとして監修を務め、小説と映像という媒体の違いもあってか、物語の流れや設定などに大きく手が加えられている。最も大きな注目点はラストバトルで、小説版ではフル・フロンタルがサイコ・フレームの共鳴によって生じた膨大なサイコ・フィールドをまとったシナンジュに搭乗したが、OVAではより強い映像のインパクト、そしてラスボスとしての圧倒的な存在感を持つ機体が求められたことから、シナンジュをコアユニットとする超巨大モビルアーマー「ネオ・ジオング」に搭乗することとなった。
この変更を踏まえ、福井が「ラストバトルに間に合わなかったネオ・ジオング」という裏設定の下、当時東京・お台場にあった「ガンダムフロント東京」の巨大ドーム映像の上映用に設定が作られた「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」を取り入れる形で、外伝「不死鳥狩り」が書かれ、これをベースとしてOVA版『ガンダムUC』の続編的な立ち位置の作品として『機動戦士ガンダムNT』が制作されることとなった。

『ガンダムNT』の舞台は『UC』での「ラプラス事変」から1年後。世界の枠組みは大きく変わるには至らず、ジオン残党軍である「袖付き」は崩壊。2機のユニコーンガンダムは、人智を越える力を持つモビルスーツとして封印されてしまっていた。
そんな状況の中、2年前に行方不明となっていたフェネクスがたびたび地球圏で目撃される。地球連邦軍、ルオ商会、そして軍事力を保持するジオン共和国の過激派がその捕獲に乗り出していく。

そしてストーリーを牽引していくのは、一年戦争開戦時にジオン軍の「コロニー落とし」を予見し、生き残ることができた3人の “奇蹟の子供たち” ヨナ・バシュタ、ミシェル・ルオ、リタ・ベルナルだ。
彼らはニュータイプと目され、オーガスタ研究所に検体として送られて、肉体精神ともに疲弊する実験を受け続ける。ヨナとミシェルは脱走の道を選び、唯一残ったリタはフェネクスのテストパイロットとなるも実験中に暴走事故が発生、機体と共に行方不明となっていた。
再び姿を現したフェネクス、そしてリタの現在を追う形で、本作は「ニュータイプ」であるがゆえに人生を変えられてしまった3人の運命の交錯を描いていく。
▲ヨナ・バシュタ
▲ミシェル・ルオ
▲リタ・ベルナル

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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