• 『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』が映す現代日本の鏡像【日曜アニメ劇場】
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2023.02.04

『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』が映す現代日本の鏡像【日曜アニメ劇場】

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

2月5、12日の2週連続でBS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉にて、TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974)をベースとした2作品、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』と『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が放送される。
日本アニメ史に残る不朽の名作を現代に蘇らせた両作を通して、時代を超えて宇宙を翔るロマンの世界を堪能したい。

2月5日に放送される『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』は2021年に公開。旧作シリーズ諸作品のストーリーやキャラクターを現代的にリブートした新生『ヤマト』シリーズの第1・2作『宇宙戦艦ヤマト2199』(2012)と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(2017)のストーリーを新作カット・新録ナレーションを織り交ぜて再構成した作品だ。
〈2199年イスカンダルへの大航海〉と〈2202年ガトランティス戦役〉をドキュメンタリー形式で振り返るというユニークな構成で、新生『ヤマト』シリーズの世界がわかりやすく整理されており、旧作しか知らないファンや『ヤマト』そのものに馴染みのない若い視聴者でも馴染みやすい作りになっている。

本作の構成を担当した福井晴敏は公開時のインタビューで、ドキュメンタリーというスタイルを選んだ理由を、次のように語っている。

「タイトルでもある『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』とはどんな「時代」なのだろうと考えると、身も蓋もない言い方をすると「毎年のように宇宙人が攻めてくる時代」ですよね。【中略】ある時期には、そこが「いくらなんでもマンガ的すぎる」と批判されることもありました。でも現在の、2020年(注:取材時)の視点で見ると、“毎年のように新しい災害が起こる時代” とはすなわち、まさに今のこの現代でしょう、と。【中略】何が起こってもおかしくないという苦難を、10数年間も生き抜いてこなければならなかった時代。そういう意味で、“宇宙戦艦ヤマトという時代” を現代日本の鏡像として描ける時代がきてしまった。そこを真正面から捉え、ご覧になるみなさんに肌身で感じていただくために、あえて少し引いた目線でドキュメンタリーにしよう。そんな意図でした」(「【山寺宏一+福井晴敏インタビュー】「宇宙戦艦ヤマト」という時代とデスラーという男」)

地球とガミラスの関係の描かれ方にはリアルな政治劇的雰囲気が導入されたほか、イスカンダルの謎やガトランティスの存在、超古代文明アーケリアスなどのSF的な設定も加味され、世界観も奥行きを増している。
主人公の古代進やヒロインの森雪、そして古代の永遠のライバルであるデスラーといったキャラクターたちの内面もより深く掘り下げられ、それぞれの関係性のドラマも重厚に。また技師長兼副長としてヤマトに搭乗する真田志郎という人気キャラクターの視点を通して古代進の姿が描かれることで、彼の葛藤や苦悩にも共感がしやくなっているのも、重要なポイントだ。

そして福井の語るとおり、ヤマトの航海の過程や古代進の選択は、現代を生きる我々にとっても決して他人事ではない、生々しさをともなって響いてくる。
今回の放送を入口に、新生『ヤマト』シリーズの魅力的な世界を探求してみてはいかがだろうか。

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

アニメージュプラス編集部

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