2017年「このマンガがすごい!」1位(オンナ編)を獲得した岩本ナオの名作コミック『金の国 水の国』が待望の劇場アニメ化、 2023年1月27日(金)より全国劇場公開される。完成した本作を観て、原作者の岩本ナオは「エンディングまで観終わったあと、びしょびしょに泣いてました」と語るまでに感激したという。そう、本作からは原作の魅力を映像に落とし込もうという作り手の熱量が伝わる。観る者の心を揺さぶるキャラクター、そのドラマはいかにして描かれたのか。原作へのリスペクト溢れるスタッフのアプローチに迫ってみたい。
100年に渡って国交を断絶している二つの国があった。誰からも相手にされないおっとりした<金の国>の第93王女・サーラ、そして貧しいが家族思いである<水の国>の建築士・ナランバヤルは、それぞれ国の思惑に巻き込まれたことから “偽りの夫婦” を演じることになる。
敵国同士の身でありながら惹かれ合う二人、そしてナランバヤルのある決意が二つの国の運命を大きく揺るがせていくことに……。
本作の監督/絵コンテ/演出を担当した渡邉こと乃は「マッドハウスで原作を一番愛しているのは間違いなく自分」と公言する。
「ささやかな愛、寄り添うような愛、家族愛とか色んな愛の形で問題を解決したりしていくのがこの作品の面白いところなので、そこを上手に一定時間の中で魅せられるように考えてやりました」と本作の演出プランを語る渡邉監督だが、その最も重要なパーツは何と言っても本作を支えるキャラクターたちの魅力に他ならない。
キャラクターデザイン/作画監督を務めた高橋瑞香も、原作コミックに魅了された熱烈なファン。他の仕事依頼を全て断り、本作に全力で臨んだという。
「とにかく “岩本先生の描く『金の国 水の国』” をアニメ化したい、という情熱でデザインをしました」(高橋)
「高橋さんには、原作を読みこんだ上でデザインをかなり整理してもらいました。キャラクター数も多いし衣装も2国分ありますので、かなり大変だったと思います」(渡邉監督)
原作を徹底リスペクトした結果、キャラクター設定は半年以上の時間をかけて開発。アニメ的なリデザインではなく、あくまでも原作のタッチを重視して作業を進めた。
▲サーラ ルクマンとのお散歩時の衣裳設定
▲サーラ 表情ラフ
「絵を見るとすぐ『あっ! コレ、岩本先生だ』と分かってしまう雰囲気や、先生の持つ世界観が表情やデザインに現れているので、それを再現出来たらなと思いました」(高橋)
▲ナランバヤル 金の国衣裳(ヒゲ付き)設定
▲ナランバヤル 表情ラフ
ちなみに、原作者である岩本からは、「皆さんのやりやすいようにやってください」と言われていたという。
「本当に作品と同じように優しい方で、先生の佇まいが作品そのままだなと思いました」(高橋)