【小宮さんの第一印象は「顔が小さい」】――お互いの印象を教えてください。小宮 作品愛に溢れていて、作品のことをしっかり考えられている方だという印象です。現場でも勉強になることばかりで、すごく背中を押されました。おかげで、どんどんのめり込むように浩一を演じることができたと思っています。
あと、今回が初めての共演だったのですが、すごく気さくに話しかけてくれて。最初は敬語だったのですが、「敬語じゃなくていいよ」と言ってもらえたので、今みたいにおちゃらけられるようになりました(笑)。
――井上さんは?井上 第一印象は「おお、顔小さいな!」でした。しかも、背が高くてスタイルもいい。あとは、すごくキラキラしているなと思いました。
撮影が始まってからは、本当に元気だなという印象です。お互いかなりハードなスケジュールで、移動などの空き時間は寝ていることもあったのですが、起きている間はずっとニコニコしているんですよね。その明るさに僕も元気づけられました。
【撮影では、自然とみっちゃんへの思いの強さが出てきた】――交通事故に遭って脈も鼓動もないけれど「生きて」いる浩一と、その矛盾を受け入れる満。難しい役どころだと思いますが、どのように役作りされたのですか?小宮 1回死んでみる……ことはできないので(笑)。そういう自分が経験していないことを表現するのは、すごく難しかったですね。なので、「死体になった」というところよりも、浩一の気持ちを小説や台本から読み解いていくことに集中しました。
浩一は死体になってしまっても、「全然痛くないから気にしねえよ」という感じだったのですが、どんどん生命力が失われていることを実感していて、心の中では「怖い」と思っているんです。そんな浩一の気持ちを持って撮影に臨んだので、本番では自然とみっちゃんへの思いの強さが出てきました。
――井上さんは満という人物をどのように掴みましたか?井上 僕は満を演じるということを考えながら小説も台本も読ませていただいたので、「満は人と話すことに慣れていないから、声のトーンが低くなっているんじゃないかな? 相手もそこが怖いから、話しかけにくいなと感じているんじゃないかな?」「満は人と関わるのが苦手だから、自然と猫背になっているんじゃないかな?」「満は内に秘めた思いが強い人間じゃないかな?」と、いろいろ想像することができました。そのイメージを本読みやリハーサル、撮影に活かしていきました。
――演じられた役と自分の共通点はありますか? それとも真逆の存在なのでしょうか?小宮 どうだろうな。浩一はクラスの人気者で、誰とでも仲良くなれるような性格の持ち主ですが、僕はちょっと違うかなと思います。
自分の学生時代を振り返ってみると、人とすぐ仲良くなれるほどのコミュニケーション能力は持ち合わせてなかったと思います。なので、浩一のそういうところはすごく羨ましいですね。
井上 僕は部活しかやっていなかったので、満とはタイプが違うと思います。でも、共通点もあって。この業界に入るまでは、自分から主張することは少なかったんです。自分のことをあまり話さない性格だったので、そこは満と似ているなと思っていました。