• 『ぼくらのよあけ』脚本家・佐藤大が明かす原作愛と執筆現場の裏話
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2022.10.22

『ぼくらのよあけ』脚本家・佐藤大が明かす原作愛と執筆現場の裏話

(C)今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会


【原作者・今井哲也さんも参加した脚本打ち】

――佐藤さんが『ぼくらのよあけ』に参加された経緯を教えてください。

佐藤 企画が動き出した2019年にプロデューサーから声を掛けていただいたのが始まりなのですが、実はもともと作品は存じ上げていました。
というのも、僕が所属する団地好きトークユニット『団地団』のメンバーである大山顕さんから「こんな作品があるよ!」って、原作が刊行された2011年に教えてもらっていたんです。

――団地きっかけで作品を知った訳ですね。

佐藤 出張先で買って東京へ戻るまでの間に読んでみたら、これがすごく面白くて! さっそく団地団のメンバーと「原作者の今井哲也さんを僕たちのトークショーに呼ぼうよ」という話になり、それがキッカケで、今井さんも団地団のメンバーになっていただくことになって。そこから友人として、ずっとお付き合いさせてもらっています。

――聞いていると、まさに運命的な出会いとしか思えませんね。

佐藤 そうなんです。その頃から「『ぼくらのよあけ』がいつかアニメになったら、自分も作品に関わりたいな」という夢を持っていたんですよ。正直それが現実になるなんて思ってもいなかったので、話がきた時は「もちろんやります!」という気持ちでした。

――本作へ参加することが決まってから、原作者である今井さんとはどのようなやり取りをしましたか?

佐藤 今井さんと “原作者と脚本家” という立場でお会いすることは初めてだったので、めちゃめちゃ緊張しました。というのも、普段のアニメの現場では原作者から「これはない」と言われたらそのアイディアは無しになりますし、「(セリフを)一字一句変えるな」と言われたらそうするしかありません。ですが、こちらとしては、原作を120分の映像に収めるには、いろいろな部分をかなり短くしていかないといけない、という前提がありました。
そこで、私と監督の共通認識だった「上の世代のエピソードを短くする」「カタルシスを生むために、後半に新しい要素を入れ、映画の盛り上がりを作る」という構成案を、おそるおそる今井さんに提案したところ、「分かります」と共感していただけました。そこからは今井さんにご参加いただき、チームとして一緒に脚本を作っていくことになりました。

――打ち合わせの際に、印象的だったエピソードはありますか?

佐藤 今井さんは原作者ならではのドライさをお持ちで、先程の原作者の話とは真逆に「作品のテイストと雰囲気に合っていれば、セリフは変えてもいい」というスタンスだったんです。時には今井さんのほうから「このセリフ、変えましょうよ」と提案されて、原作ファンである僕や監督が「これはいいセリフだから変えません!」と止めることもありましたね(笑)。

寺林 沙樹

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