• 関係者30名登場の濃厚インタビュー本で迫る「必殺シリーズ」不変の魅力
  • 関係者30名登場の濃厚インタビュー本で迫る「必殺シリーズ」不変の魅力
2022.09.15

関係者30名登場の濃厚インタビュー本で迫る「必殺シリーズ」不変の魅力

高鳥都『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』(立東舎)書影


インタビューは、シリーズ発足時まだ32歳の若手キャメラマンだった石原興をはじめ、照明、録音、編集、効果、殺陣、記録、演出部、製作部ほか、当初の予定を上回る30名の関係者が改めて必殺シリーズを振り返ることとなった。緒形拳や藤田まことら出演者との思い出、深作欣二や工藤栄一ほか名匠たちの演出についてなど、各作品の舞台裏に迫る内容となっている。

「当時のスタッフが若かったからこそ、これだけの取材が可能となりました。さらにご高齢で取材が叶わなかった方のご家族からは、貴重な資料をお借りすることができました。
残念ながら取材中の7月に元朝日放送の仲川利久プロデューサー、松本明監督がお亡くなりになってしまいましたが、故人となった方々の逸話も追加取材をふくめて、なるべく残そうと思いました」

取材時の印象的なエピソードを伺うと……。

「いざ取材を始めると、みなさん予想以上にサービス精神旺盛でした。だいたいみなさん関西人なので話に “笑い” を入れてくるんですよ。そのあたりは、まとめるにあたって大事にしようと思いました。あと定番のキーワードとして、何人もの方が『遊びやから』と仰っていましたが、あるスタッフは『こんなしんどいのは仕事じゃなくて、遊びじゃないとやれへんな』と言っていたのも印象的でした(笑)。
『告白録』というタイトルは担当編集のアイデアだったのですが、まさに『告白録』と呼ぶしかない内容になりました。個々による視点の違い、ある種ミステリ的な要素もあると思います」

本書ラストを飾るスペシャルインタビューには俳優の山﨑努が登場、『必殺仕置人』『新必殺仕置人』で演じたシリーズ屈指の殺し屋 “念仏の鉄" について語る貴重な内容となっている。

「最初からレギュラー俳優陣で取材するなら山﨑さんだけと決めていたのですが、ご快諾いただけてよかったです。取材当初はガチガチに緊張したのですが、とても物腰柔らかい方で、最終的にはリラックスしてたっぷりインタビューすることができました。撮影の石原興さん、亡くなられた照明の中島利男さんを中心とした京都映画の現場がいかに自由だったか、『役を壊したかった』という当時の心境や撮影のトラブルまで、にっこり笑いながら話されるのだからたまりません。
別れ際に嬉しいお言葉をいただいたのですが、そのあとTwitterでも『楽しかった。聞き手がよかった』と呟いてくださって、びっくりしました。あのツイートで本が出ることを知った方も多かったと思います」

最後に、本書を通じて読者にどんなことを伝えたいかを訊ねた。

「特にこれといって伝えたいことはないです。いま流行りの無責任な言い方ですが、読者の方それぞれの受け取りに委ねたいです。もちろんまったくないわけではありませんが、それは内緒にしておきます。
最近は『読めば人生の役に立つ』という実用性が映画本にも求められるみたいですが、そんな内容にはまったくなっていません。まぁインタビューしたみなさんの言ってることもバラバラですし、必殺シリーズという作品自体も『仕掛人』や『仕事人』など時代によってバラバラですから、そういう意味では多様性に富んだ、どこか偏屈で時代に逆行している本かもしれません。
もし『役に立ちました』『勉強になりました』と読者の方に言われれば、それはそれで感謝するしかないんですが。どんな反響があるか怖くもあり、楽しみでもあります」

高鳥都(たかとり・みやこ)
1980年生まれ。2010年よりライターとしての活動をスタートし、『映画秘宝』『昭和の謎99』『昭和の不思議101』などに執筆。編著に『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』、共著に『漫画+映画!』『完全版アナーキー日本映画史1959-2016』ほか多数。

>>>貴重な資料も充実!『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』の内容見本を見る(写真7点)

『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』
2022年9月16日(金)発売
著者:高鳥 都
発売:立東舎
販売:リットーミュージック
定価:2750円(税込)
仕様:A5判 / 384ページ
>>>立東舎 書籍紹介ページ

アニメージュプラス編集部

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