• 『イヴの時間 劇場版』福山潤×佐藤利奈×田中理恵14年ぶりの邂逅
  • 『イヴの時間 劇場版』福山潤×佐藤利奈×田中理恵14年ぶりの邂逅
2022.08.26

『イヴの時間 劇場版』福山潤×佐藤利奈×田中理恵14年ぶりの邂逅

(C)2009/2010 Yasuhiro YOSHIURA/DIRECTIONS, Inc.


田中 劇場版って聞いて、すごく重みがある感じがしました。それと私、全部で6話あったことを忘れていて(笑)。というのも、自分が出演していた話数と出てない話数があったので。

佐藤 あれ!? そうでしたか!

福山 確かにそう。サミィが出て来ない話も割とあるので。

田中 「6話もやってたんだ!」って。パッケージになった時に、「そういえばそうだった!」って初めて知ったみたいなところがあったので。それが劇場版として一気に観られる形で凝縮された感じがあって。それで今回の『THE PLAYBACK』のお話を頂いて、改めて観返したんですけど、「10年以上前の作品?」という気持ちがありますね。絵の感じも、最近の作品といっても全然通じますし。でも自分のお芝居だけは、なんともしがたいものが……(苦笑)。

福山佐藤 (笑)

佐藤 それは10年以上も私たちを苦しめてますよね!(笑)

福山 でも、それを言い出したら……ね!

田中 いや、もう最初の一言で芝居の拙さに「ああ!」って悶絶ですよ(笑)。そういうところに目がいってしまうのは、いわば職業病ですよね。まぁ、そういうところはありましたけど。ずっと見ていくうちに、今同じような感じで出来るかな? っていうのも、自分の中であって。すごくナチュラルに演じているところもあったりして。今の自分がやったら、変に癖がついちゃって、「前の方が良かった」って観た人にいわれちゃうかも? なんて、客観視もしてました。とにかく劇場版になった時は、「すごいな! 嬉しいな!」って思ったのと、いつか『イヴの時間』の続編作品をやれたら素晴らしいのになって(笑)。そんな風に思いながら、観直してました。

──AIの感情というテーマに関しては、むしろ現代の方がより「リアル」な感じがしますが、そこはいかがでしょうか?

福山 恐らく当時AIをどう描くかについて、監督たちは相当悩んだと思うんです。作品を観る人たちは「そう遠くない将来にアンドロイドやAIが現実になるかもしれない世界」に生きているわけなので、そこでロボット然とした形にすべきなのか、みたいな線引きの部分は、かなりデリケートなものですから。

その結果、『イヴの時間』で出しているアンドロイドの喋り方ややりとりが、Siriやアレクサが定着したお陰で、思わぬ親和性を作ってくれるようになったんじゃないかと思ってます。

田中 私としては、もっと早く進化したAIが一般家庭に導入される世界が来てほしいなって思ってる方なんです。ただ、そうなると「人間の存在価値」と抵触する部分が出てくるのかなって。自分たちの職業でいえば、AIのボイスが滑らかに喋るという話を聞くと、「それって、私たち声優のお仕事がなくなっちゃうのでは? それは困っちゃうなぁ」なんて考えちゃうこともありますし。

佐藤 10年前の段階では『イヴの時間』のようなAIは、年代設定は近未来だけど「まだまだ先の話だろうな」って思ってました。でもここ数年で、一気にグッと近づいてきたなぁっていう感じがあって。そういう世界観を構築された吉浦監督、すごいな!って。

と同時に、私個人は完全にドリ系(『イヴの世界』での、アンドロイド愛好者を指すスラング)で(笑)、全ての機械には何かしらの感情があるのではないか、と思っているタイプなんですね。現代のSiriやアレクサたちには、そこはまだないのかもしれない。でも今後、そういうのが出てきた時は、ちょっと怖いなっていう怯えもありますね。その時に私たちは一緒に過ごしていけるのかしらって。

──改めて観直して感じた、作品の魅力についてお聞かせください。

福山 この作品でなぜ多様性や人権問題が起こるのかについて客観的に受けとめられるかといえば、その対象が「人」ではないからだと思うんです。ストレートに人種差別問題を描くとなると、観る側にフィルターがかかったり送り手の「目的」が見えてしまうんですが、AIという設定の中でなら誰もが偏見なく観られる。アニメーションでこういう世界を描くことって、とても重要なことだと僕は思うんです。

田中 うんうん。

福山 この作品は時間が経てば経つほど、シンプルにそうした人権や差別問題が分かる作品として取り扱われる可能性もあるし、語っていく意味のある作品になっているんじゃないかと思っています。と、難しいことを言いましたけれど、人の心に訴えかけるものがたくさん入っている作品でもあるので、素直にエンターテイメントとして観た方それぞれが感じたことを思って頂いて良いですし。そういった「余白」もかなり楽しめる作品です。

田中 素晴らしい!

佐藤 「アンドロイドも人間も区別しません」っていう世界を目指してる話ですもんね。それはつまり、国とか人種とか関係なく、思いやりを持ってお互いのことを知っていこうねっていう普遍的なテーマで。どうやって仲良く生きてくかが描かれているということですよね。もうすごいの一言です。あとは、吉浦監督のキラリと光るピンポイントでの笑い(のあるシーン)。

田中 そうそう!

佐藤 本当に吉浦監督にしか出来ないセンスですよね。『イヴの時間』以降の吉浦監督の作品にも、ちょこちょこそうした笑いのテイストが入っていて。そこがもう堪らなく素敵なんですよ! ぜひ『イヴの時間』と共に吉浦監督の作品を観て頂けると、すごく楽しめると思います。今後作られるであろう、吉浦監督の未来の作品を、私も楽しみにしています。

田中 いやぁ、私ボキャブラリーがなくて上手く言葉にできないんですけど(笑)。でも本当に『イヴの時間』をもう一度観返して頂きたいです。また若い世代の方が初めて観た時に、この作品をどう感じたかをすごく聞きたいですよね。

──つまりU-NEXTでぜひ観てもらいたいと?(笑)

田中 そういうことなんですよ。ですから、観た時に感想をぜひ呟いてほしいですし、面白いと感じたら友達にもちょっとお勧めしてほしいなって。もうみなさんがインフルエンサーになって頂いて(笑)。そこでまた人気や注目度が上がれば、続編が出来るかもしれないですし。そうなったら良いなと思っています。

>>>福山潤さん、佐藤利奈さん、田中理恵さんのトーク収録風景を見る(写真7点)

(C)2009/2010 Yasuhiro YOSHIURA/DIRECTIONS, Inc.

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事