• 『夏へのトンネル、さよならの出口』田口智久&CLAPの新しい挑戦
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2022.08.09

『夏へのトンネル、さよならの出口』田口智久&CLAPの新しい挑戦

(C)2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会


――あと、先程のお話ですと背景美術もこだわっているのではないかと思うのですが、どういった方向性を持って取り組まれているのですか。

田口 そこはもう、こだわらざるをえないというか(笑)。狙ったのは写真のようなリアルさでもなければ、抽象的なものでもなく……観ることでいろんな記憶が想起されていく風景、とでも言えばいいんでしょうか。「空」「海」と聞いてパッと思いつく色彩だったり、雨に濡れたアスファルトの質感とか……見ることで感覚を刺激されるようなものを目指しています。

――田舎が舞台ということで、自然描写も見どころになっていきそうですね。

田口 本当に自然は大変なんですよ。何度もやり取りをくり返しながら、こちらのイメージに近づけている感じです。

――本作のストーリーに関して、監督はどういった部分に魅力を感じられていますか。

田口 先ほども言った通り、いろんなジャンルが重なっているところがひとつ。あと複雑な家族の問題がカオルとあんずの関係を結び付けることになる、という卓越したアイディアでしょうか。原作にはいろんな要素があるものの、尺の問題もありまして、最終的にはカオルとあんずの物語、ということでまとめさせていただきました。

――主人公となる二人、カオルとあんずの印象はいかがですか。

田口 あんずは、いろんな部分で自分の意志をストレートに表現するので比較的に掴みやすいキャラクターでしたが、カオルは難しかったですね……原作の中でも実際のセリフとモノローグの間に微妙なキャラクターの差異があって「どちらが本当のカオルなんだ?」と悩みながら脚本を書いて、絵コンテ作業の途中でようやく人物像が掴めたような気がしました。さらに鈴鹿(央士)さんの声が入ったことで、やっと「カオルはこういう奴なんだ!」という確信が持てて、そこから作画の修正を行ったりしましたから……相当時間をかけて理解していった感じですね。

――そういう複雑な人物像も含めて、本作はいろんな見どころがありそうですね。では最後に改めて、田口監督から本作の見どころをお教えください。

田口 カオルとあんずに焦点を当てた構成なので原作とは手触りの違う物語の楽しみ方ができると思いますし、難しい日常芝居の作画も逃げずに正面から取り組みました。あと、トンネルの描写など3DCGも変わった使い方をしていますので、そういう部分も是非チェックしてみてください。

(C)2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会

アニメージュプラス編集部

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