実際の制作に関しては、どの程度学生がかかわっているのか、田中さんにうかがった。
「作画のほかにも、ストーリーのアイデアを出してくれる学生もいれば、作画や制作進行をやっている学生など、アニメーション制作に近い役割分担を学生の中で作っている状況です。正直、絵の統一感や、キャラが途中で変わってしまったりしましたが、最終的には学生でどうしても力量的にまかないきれないところを、映像でいろいろな加工していただいたり、画面を少し動かしていただいたりいろいろ変化を付けていただくことで、見られるようにしていただけるという状況です。本当にありがたい経験をさせていただいているなと思いますし、クリエイターを育てていこう、学生たちをいい方向に成長させようという、あたたかい気持ちもすごく感じています。おかげさまで学生は今回のプロジェクトの中でものすごく成長していると思います。」テレビでの放送とは別に、8月24日には朗読劇『ななし怪談LIVE』も開催される。アニメでは語られないオリジナルストーリーとあるが、どういった企画なのだろうか。村椿さんにうかがった。
「子ども目線の “あるある” をベースにした怪談が、『おはスタ』で放送するお話。それとは別で、もう少し大人向けの怪談とかホラー的な方向も元々同時に作っていました。最初にいただいた大人のキャラクター、このダークファンタジーな怖い感じを、アニメとは違う場所で、パラレルに動いている世界があったら面白いねっていう話があったんです。同じキャラクターなんだけど別の時間軸なのか、キャラクターのデザインや年齢層を変えたりすることによって、テーマを変えつつ話の作り方も変えるけど、大枠のベースはシンクロしている。それを朗読劇の形でイベントでやりましょう、ということになりました。内容的には、アニメよりはダークな雰囲気になります。とは言え、アニメを観てくれた子どもたちが観に来てくれても大丈夫なように、そこは意識して作っています。」アニメと朗読劇がどのような世界観で展開されるのか、期待が膨らむ。
最後にお二人におススメのコメントをいただいた。
「学生さんと一緒に作っていますので、アニメとは言いませんが、優しい気持ちで見てもらえれば、多分キラッと光る1カットは必ずある気がします。そこをみなさんに見つけていただき、この絵いいよねっていう楽しみ方をしていただけると嬉しいです。」(村椿)「学生にとっては、なかなか経験できないことにチャレンジさせていただいて、その中で成長していき、人に観ていただくということがやっと理解でき始めたところなのかな、という感じです。精一杯輝こうとしている若者の現在地をみていただけるとありがたいなと思います。」(田中)怪談をテーマにしたアニメやドラマはたくさんあるが、子どもから大人まで、それぞれに向けたコンテンツがリンクしているところがおもしろそう。また制作に学生が携わっているのも楽しそうな要素だ。
まずは8日から『おはスタ』で放送されるアニメを、大人も楽しんでほしい。
▲『おはスタ』のプロデューサー・村椿拓郎さん(右)と、東京アニメーションカレッジ専門学校の学校長・田中道信さん(左)。
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