• 『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』アニメーションの快感が詰め込まれたスリリングなドラマ
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2022.03.12

『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』アニメーションの快感が詰め込まれたスリリングなドラマ

(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011


●アニメーションの快感に満ちた映像●
そして何よりこの映画を魅力的なものにしているのが、全編にわたって繰り広げられる “活劇” としてのアニメーションだ。
公開当時、一部の観客からは「ジブリ風」とも評された本作だが、より正確には『未来少年コナン』や『ルパン三世 カリオストロの城』といった宮崎駿監督作品の魅力に近いと言うべきだろう。

本作の監督の村田和也とキャラクターデザイン・総作画監督の小西賢一は、ともにスタジオジブリ出身(二人はジブリに同期で入社している)。
また、作画面で重要な役割をはたしたアニメーションディレクターの押山清高も本作以前に『借りぐらしのアリエッティ』、『パン種とタマゴ姫』(短編)などに参加している。
“ジブリ的” な方向性で『鋼の錬金術師』をーーというアイデアは押山から出たもので、それに村田や小西が応える形で映画制作はスタートしたようだ。
実際、小西のキャラクターデザインや劇中の日常芝居の雰囲気、また “動く絵で楽しませる” といった根本の姿勢の部分には、ジブリとの共通性を見出すことが可能だ。
だが本作の映像を観れば、けっして “ジブリっぽく作った『鋼の錬金術師』” といった狭い枠にとどまることのない、新鮮な魅力があふれ出ていることに気付くだろう。
躍動的でアイデア溢れるアクションシーンから、丁寧で繊細な感情・表情芝居にいたるまで、とにかく全編が見どころだらけ。
最先端のアニメーションの先鋭的な迫力だけでなく、昔懐かしい “マンガ映画” 的な楽しさも兼ね備えた映像世界は、この映画の最重要ポイントとなっている。

絵が動くことで生み出される快感と、その絵を通して語られる物語の感動。
『鋼の錬金術師』の世界をさらに広げる作品としてはもちろんのこと、アニメーション映画の根源的な魅力を体験させてくれる貴重な映画として、今回の放送をぜひ多くの人に楽しんでほしい。


(C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011

アニメージュプラス編集部

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