• 入江泰浩監督が新作『エデン』で描き出す3DCGの世界とは?
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2021.05.27

入江泰浩監督が新作『エデン』で描き出す3DCGの世界とは?

『エデン』入江泰浩監督


川元キャラを3DCGに

ーー今作のキャラクターデザインは川元利浩さんです。川元さんは、本格的な3DCGキャラのデザインははじめてだと思います。

入江 そうですね、自分が知る限りは、はじめてだと思います。ゲーム関係などで原案的なことはやられたことがあるかもしれませんが。

ーー川元さんとは、どのようにキャラクターを作り上げていかれたのでしょうか。

入江 もともとジャスティンが川元さんと知り合いで、一緒に仕事をしたいと熱望していたので、ジャスティンからオファーしました。私自身も、川元さんとは『カウボーイビバップ』などの頃から知り合いでしたので、川元さんがあげてくださるキャラクターならば何の心配も不安もないと待ち構えていたのですが、あがってくるともう、9案もの膨大なパターンを提示していただいて。その中からジャスティンと相談して「この方向かな」と選んでいきました。

ーー3DCGにしてみて、川元さんのキャラクターはいかがでしたか。

入江 やはり鉛筆で描く時とは違うので、カメラで画角がつくとキャラクターの印象は変わってきてしまうのは仕方ない部分もあります。ですが、CGCG側も川元さんのデザインがもともと持っている魅力を最大限、表現できるように、キャラ表にピッタリ合うような表情を試行錯誤して表現しようとしてくれました。それは、話数を経るごとに実現に近づいていくように感じました。

ーーそこもやはり、蓄積されていくわけですね。

入江 そうですね。たとえば、顔を上げた時の下から見た表情などで「正しい立体としてはこうなるけれど、デザイン上はもう少し顎の形や目の見え方を調整したい」と指示すると、3DCGでそれを反映できるように作り込んでくれて。それが後の話数になると「この角度の時にはこういう感じ」と、最初から提示してくれるようになりました。だから、表情づけなどもさらに、先まで突き詰められるようになる。

ーー手描きアニメでも、長いTVシリーズの途中で作監修正集が現場に回って、新しい表情が生まれるようなことがありますよね。それと似ているといえば似ていますね。

入江 確かにその通りだと思いますね。『鋼の錬金術師 FLLMETAL ALCHEMIST』の時に感じましたが、手描きアニメでも話数を経るごとにアニメーターがキャラクターをものにして、より魅力的な表現をみつけて、実現して、発揮していくということがあります。

ーーそれをたった4話のシリーズで実現できるというのは、CGの強みかもしれませんね。

入江 はい、そういったことをしっかりアーカイブして次に活かすシステム、作業の進め方というものが確立されているのだなと感じました。

ーーでは最後に、配信を観るみなさんへのメッセージをお願いします。

入江 広い世界や重いテーマも内包してはいますが、基本的にはエンタテインメント=娯楽としてどんな方が観ても楽しめる作品になっているという確信があります。とにかく楽しんでもらえればと思います。また、マニアックな部分で言うなら、今もお話ししたように、表現が話数を経るごとにどんどん変化して、さらにいいものになっていく。尻上がりにおもしろくなっていくアニメーションという部分にも、注目していただけるといいかなと思います。
入江泰浩
いりえ・やすひろ/アニメーション監督、アニメーター。『KRAU Phantom Memory』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、『CØDE:BREAKER』、『灼熱の卓球娘』などを監督。

>>>【画像】『エデン』場面カットと入江泰浩監督写真(写真8点)

アニメージュプラス編集部

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