• 『アークナイツ【冬隠帰路】』監督が語る「没入感」へのこだわりと今後の見どころ
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2023.11.10

『アークナイツ【冬隠帰路】』監督が語る「没入感」へのこだわりと今後の見どころ

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──お二人が作業中、特に難しいと思ったところは?

渡邉 キャラクターに感情移入してもらうため、原作のどのセリフを残すかがとても重要なポイントだったんです。それこそ13話の回想シーンの入れ方もそうなんですが、尺の問題があってどうしても原作どおりにすることが難しく、そこは細心の注意を払いながら作業を進めましたね。

西川 ゲームテキストだと大丈夫でも、それをアニメで描くと間延びする映像になっちゃう場合があるんですよ。併せて、原作ファンに失望されないチョイスにしないといけないという至上命題もあり……。

渡邉 他にも難しいところがいっぱいありすぎる作品で、本当に毎話数大変な思いをしました(笑)。

──渡邉監督は『黎明前奏』アフレコ前に、キャストに向けてキャラクターを理解してもらうための講座を開いたらしいですね。

渡邉 声優の皆さんには世界観やキャラクターの設定を理解した上で演じてほしかったんです。非常に繊細な演技が要求されるため、「そのニュアンスだと違うんですよ」とこちらが伝えても、キャラクターへの理解がないと納得してもらえないと思ったんですね。
そうした齟齬が起こらないよう、今回もそれはやらせていただきました。

──渡邉監督は音響監督も兼任されているわけですが、キャストの皆さんの演技についての印象はいかがですか。

渡邉 いや、もう素晴らしすぎますね。やっぱり声が入ると全然違うんですよ。絵として見せない物語を感じさせるという部分に関しては、やっぱり声の演技がとても重要なので、セリフだけでなく吐息や細かい息遣いにも「情報」を入れて演じていただきました。

西川 「声優=命を吹き込むお仕事」ということを改めて感じましたね。この作品はそうしたお芝居だけでなく効果音とか音楽など、音周りについては本当に細部まで気配りが行き届いています。

渡邉 そうなんですよ。音にはメチャクチャこだわって作っていて、まさにヘッドフォン推奨といった感じです。細かい息遣いを感じていただくことで、キャラクターの心情により感情移入していただけると思いますね。

──これから『冬隠帰路』はいよいよ終盤戦に突入していくことになります。

西川 ここからはお話的に「あれ……? 雲行きが怪しくなってきたぞ」みたいな感じになっていくはずですね(笑)。

渡邉 群像劇ということで主役が移り変わっていくところが『冬隠帰路』のポイントの一つだったりします。メフィスト、ファウスト、そして『冬隠帰路』の注目キャラであるフロストノヴァもそうなんですけど、これからは視聴者の皆さんはアーミヤたちロドス側の視点から敵であったレユニオンの方に感情移入していくようになると思います。

西川 その変化のために必要なものというと、僕は「納得感」だと思っているんですよ。敵だと思っていた側に感情移入していくわけですから「そりゃ、そういうことをされたらそうなるよね」という説得力なしに視聴者の作品への没入は難しいと思いましたので、そこはかなり気を遣いながら物語を構築していくことになりました。

それと『アークナイツ』という作品は、原作ゲームもそうなんですが、徹底的に仕込んだものを最後一気に放出するみたいな手法でファンの心を掴んできたところがあると思うんです。今回の終盤に向けての流れもそんなシナリオ構成になっていまして、映像的にも前半は仕込みの要素を強くしていろいろ積み上げています。これからの後半戦で、それを一気に爆発させていきたいと考えていますので、そこはぜひご期待ください。

──最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

西川 クライマックスに向けてお話がどんどん収束していくことになります。現時点でアニメ『アークナイツ』で語ることが可能な結論、答えみたいなところがさらに明確に見えてくることになると思いますので、ぜひそれを見守りながら楽しんでいただければ嬉しいです。

渡邉 前半戦で敵として描かれていたレユニオン側の過去や素性が、段々と明るみに出てくるのにも注目してほしいですね。その時視聴者の皆さんがどう思うか、どう感じるかがとても気になっています。
それとこの作品ですが、配信で一気観をしていただくことを念頭に入れて作っているところがあります。特にアーミヤの感情の部分については、『黎明前奏』第1話から『冬隠帰路』最終話までを通して観ることでその変遷をより強く感じ取れるようにしてあります。
あと『黎明前奏』から端々に散りばめられていた細かすぎる伏線も、そこかしこで回収されたり細かいセリフで拾われているなど、改めて観ることで発見出来ることも数多くあると思います。

西川 まだ未回収の謎や、言っちゃいけない部分もあったりはするんですが(笑)。

渡邉 サブタイトルを最後に持ってきて、予告を本編と直結させなかったのも、各エピソード一つひとつを大事にしつつ、全体の大きな流れやキャラクターたちの変遷を観てほしいという思いがありました。
そういうことを念頭に残りの話数を最後まで観ていただき、その後で改めてシリーズを通して観てもらえれば、また新しい発見があると思いますし、物語の全体像がよりクリアに、かつダイナミックに感じてもらえるのではないでしょうか。

>>>登場キャラの鮮烈な生き様に震える!『アークナイツ【冬隠帰路】』場面カットを見る(写真26点)

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アニメージュプラス編集部

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