• 『アークナイツ【冬隠帰路】』監督が語る「没入感」へのこだわりと今後の見どころ
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2023.11.10

『アークナイツ【冬隠帰路】』監督が語る「没入感」へのこだわりと今後の見どころ

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Yostarより配信中のアプリゲーム『アークナイツ - 明日方舟 -』を原作としたテレビアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』が現在好評放送中だ。
『【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』に続く本作は、天災がもたらした謎多き鉱石「源石(オリジニウム)」の影響によって鉱石病(オリパシー)という病が発生した世界を舞台に、人々を助けようとする組織「ロドス・アイランド」と、感染者救済を謳うテロ組織「レユニオン・ムーブメント」の戦いが描かれていく。

前シリーズに続いて本作を手がける渡邉祐記監督、西川将貴副監督に、制作の裏側やいよいよ近づくクライマックスの見どころなどについて語ってもらった。

──『冬隠帰路』は、前作に引き続きシリアスで陰影のある世界観とストーリーが描かれていますね。

渡邉 原作の『アークナイツ』というゲームは、鉱石病に冒されている人たちが強い差別や迫害を受けていたり、世界のあちこちで紛争が勃発しているなど、とても重い設定が根底にある作品です。この作品をアニメ化するならば、やはりキャラクターの「命」というものをちゃんと扱わなければいけないし中途半端なことは絶対に出来ない、という強い思いが僕たちにはありました。

西川 実際にゲームのストーリーを読み進めていくと、この世界に生きる人たちの解像度をかなり高くして描いている印象を受けました。それだけに、アニメ化の話をいただいた時は「映像化するの、大変だな……」って率直に思いました(笑)。

──それほど大変な原作の世界観をアニメ化するにあたり、どのようなアプローチをされたのですか。

渡邉 とにかく「没入感」を大事にしたいと思いました。アニメを観ている視聴者の皆さんが様々な出来事を登場キャラと一緒に体感できるような、そんな臨場感のある映像を目指して、画面テロップを排除するなど様々な演出の工夫を施しています。

西川 原作ゲームで主人公たちは防衛側として戦略を考えたりキャラクター配置する形でストーリーが展開していくんですが、アニメだと逆に主人公側が攻め込む側として話が進んでいきます。
なので、ゲームにある演出やセリフを拾いながら、ゲームと異なる部分を違和感なくアニメに落とし込むよう渡邉監督と細かく打ち合わせをしていました。

──ゲームのプレイヤーキャラクターであるドクターとアーミヤをダブル主人公にした理由は?

渡邉 アニメでは、口数が少なく記憶喪失であるドクターだけで話を引っ張っていくことがどうしても難しかったからです。そんなドクターにアーミヤを付き添わせることで、視聴者に世界観を理解してもらおうという意図がありました。
あとはドクターのキャラクターをいわゆる「傍観者」として扱えなくなったということも大きかったですね。

西川 原作ゲームと違ってアニメはひとつの物語として完結させる必要があり、今回ドクターの設定は世界の謎に密接に絡んでいるんです。

──では、『冬隠帰路』はどういったテーマを持って制作を進められたのでしょうか。

渡邉 『黎明前奏』はアーミヤの目線で物語が展開し、彼女が「ロドスのリーダーだから頑張らなきゃいけない」と奮闘するも、ミーシャを巡る悲劇によって潰れてしまうまでを描きました。
続く『冬隠帰路』は、視点のスケールを組織や世界にまで広げていった感じですね。「個人」と「組織」の対比をフィーチャーして、アーミヤやチェン、フロストノヴァといった立場やあり方の異なるリーダーたちを中心とした群像劇として仕上げていきました。

西川 ロドス、レユニオン、龍門――それぞれの組織は同じように「世界を良くしたい」という思想を持っているのですが、アプローチの違いでお互いを攻撃して排除しようと争っているわけです。個人では歩み寄れる余地があるはずなのに、世界や周囲の空気に振り回されてしまい、大きな流れを止めることが出来ません。
そんな中間管理職のような立ち位置にあるリーダーたちが「組織の中にいる個人」として何を考え、どう行動を起こすのかという部分にも焦点を当てています。

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アニメージュプラス編集部

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