◆散りばめられた “仕掛け” ◆――放送された第3話までで、印象に残っているシーンを教えてください。蕨野 やっぱり第1話の池袋サンシャインシティでの撮影はいい思い出ですよ。夜を徹しての撮影でしたが、第1話は初めて観た人たちを引き込む大事な映像だから、それだけ時間をかける必要があったと思います。僕は田口(清隆)さんに、現場で「どれだけ時間がかかっても絶対に田口さんについていきますので、やれるところまでやりましょう」と言っていたんです。キャストもスタッフも疲弊していましたが、出来上がり(完成した映像)を観て「やってよかった」と実感しました。そんなシリアスなスタートから、ブレーザーが魚釣りのような動きをしたり、コミカルなところを混ぜていくのが絶妙なバランスなのかなと。
――第1話からの雰囲気の変化は驚きましたが、田口監督が公言していた“明るく楽しいウルトラマン”らしさを感じられて、今後への期待が高まりました。特に第2話の隊員たちを集めるシーンはコミカルなやり取りが楽しくて。蕨野 第2話の隊員たちに招集をかけるシーンのセリフはアドリブなんです。物語が進むと物語の核が出てきて、ああいう遊べるシーンは少なくなっていくんですよね。僕たちがわちゃわちゃとやれているのは、もしかしたら今だけかもしれない。間違いないのは、この先は見ている人たちをグッと引き込むストーリーとなっていること。ぜひ見届けていただきたいです。
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京
――ウルトラマンブレーザーのスーツアクターと声を担当する岩田栄慶さんと、現場でコミュニケーションを取る場面はありましたか?蕨野 撮影が始まってからご挨拶はさせていただきましたが、密にコミュニケーションを取ることはしませんでした。ゲントが変身した後のブレーザーは、ゲントの人格だと考えがちですが、今作はそこにも仕掛けがあるんです。第1話でブレーザーに変身したときに、ブレーザーが自分の手を見る芝居があったから、変身後のブレーザー=ゲントと捉える人も多いと思うんですが。
――ゲントとブレーザーの関係も、注目のポイントということですね。蕨野 そう、ブレーザーの掛け声を僕ではなく、岩田さんが演じていることにも意味があるんです。
――第1話のロケ地になった池袋サンシャインシティで開催される『ウルトラヒーローズEXPO 2023 サマーフェスティバル』にも出演されますが、イベントで楽しみなことは?蕨野 どういった人たちが来てくれるのか、今はそれがわからなくて緊張しています。はたしてお子さんが多いのか、大人が多いのか。第1話が放送されたときに返ってくるリアクションで、どういう方たちが視聴されているのか見えてくるのかなと。(※取材時は放送開始前)
――素敵なイベントになることを願っています。最後に『ブレーザー』のファンに向けてメッセージをお願いします。蕨野 第3話までを観て好きになっていただいた方、ありがとうございます。活字では伝わりづらいところですが、この後は凄まじい展開となっていきます。みなさんが “当たり前” だと思っていたことが、実は伏線だったなんてこともあるかも……。今後は物語の中の謎が少しずつ解き明かされ、まさかの展開が待っているので、その過程を楽しんでいただきたい。この謎が解ける時、あなたたちは驚愕する!
<Profile>
わらびの・ともや1987年8月4日生まれ。宮崎県出身。代表作に『仮面ライダードライブ』(ハート)、『最高のオバハン 中島ハルコ』(若杉慎之介)など