• 『ルパン三世 セブンデイズ ラプソディ』はお笑い開眼の五ェ門に注目【日曜アニメ劇場】
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2023.06.30

『ルパン三世 セブンデイズ ラプソディ』はお笑い開眼の五ェ門に注目【日曜アニメ劇場】

原作:モンキー・パンチ (C)TMS

7月2日(日)19時よりBS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉にて『ルパン三世 セブンデイズ ラプソディ』が放送される。
本作は2006年に初放送されたTVSPで、2000年代中盤~後半に盛り上がった「お笑いブーム」の空気を反映したコメディ演出が大きな注目ポイントだ。

全米最大の競馬レースの売上金を狙って、華麗なる必勝プランを着々と進めるルパン三世と次元大介。ところがそのヤマに挑む1週間前、ルパンは偶然出会った生意気な美少女・ミシェルの依頼を受けて、ひと仕事するハメに。
時を同じくして、次元はかつての傭兵仲間ライアットが持ち込んだ仕事を引き受け、石川五ェ門は峰不二子とコンビを組んで宝飾フェアのダイヤを奪取する計画を立てていた。

バラバラで行動することになったルパン一味だが、それぞれの抱えた仕事は意図せず絡み合っていくことに。そしてその裏では、巨大ダイヤモンド “女神の涙” と国際総合警備会社「MIX」が絡んだ陰謀が蠢いていた――。

ストーリーのベースには新兵器開発や世界秩序を脅かす陰謀というハードな背景があったり、立場上ルパンと次元が敵味方に分かれて激突することになるドキリとする展開もあるが、全体的な演出は軽快でコメディ寄り。「気軽に楽しく観られる娯楽編」の魅力にあふれている1作だ。

本作が初放送された2006年は、何度目かの〈お笑いブーム〉の真っただ中。『爆笑オンエアバトル』(1999〜2010)や『エンタの神様』(2003〜2010)といったお笑い・バラエティ番組が隆盛を極め、2001年にスタートした『M-1グランプリ』も2005年の第5回大会からより華やかにリニューアルされ、大きな注目を集めるようになっていた。

そんな時代の空気を反映したかのように、本作は一般層に浸透した “ボケ”  “ツッコミ”  “ノリツッコミ”  “スカシ” といった〈お笑い〉メソッドの要素を感じさせる演出を各所に見ることができる。
本作の中で、その影響を強く受けているのは五ェ門だ。定番である「クールで無口な凄腕用心棒」というキャラクターは「天然ボケの朴念仁」と読み替えられており、決めゼリフの「またつまらぬモノを斬ってしまった」がたびたびスカされたり、時には不二子の激しいツッコミに振り回されてタジタジになる様子も。
最後には次元に「おめぇ、今回ギャグに目覚めたか?」と指摘されるほど。他の作品ではほとんど見られない五ェ門のレアなボケっぷりを、ぜひお見逃しなく。

元々『ルパン三世』は、大人っぽいジョークやスラップスティックコメディ的な要素を含んでいる。しかし、テイストの異なる “お笑い” スタイルが導入されても「水と油」にならず、『ルパン三世』として成立するのはやはり凄いことではないだろうか。
あらゆる要素を飲み込み、作品のトータルな魅力に変える懐の深さ。それこそが『ルパン三世』が長く人気を誇り、愛され続ける理由なのかもしれない。

原作:モンキー・パンチ (C)TMS

アニメージュプラス編集部

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