ディズニー公式の動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」が、日本のアニメ作品などを含めた幅広いラインナップを取り揃えた新たなコンテンツブランド「スター」を加え、大幅にパワーアップしたのは2021年10月27日のことだ。
それから約1年半の時が流れ、ラインナップもさらなる充実を見せているディズニープラスでアニメを観るということが、日本のアニメファンにとっての選択肢のひとつとして大いに認知を高めてきている。
そんな中で、ディズニープラスのアニメーション責任者として活躍する八幡拓人氏はどのような考えを持って日本のアニメ、そしてそのファンに向けて発信しようとしているのか。インタビュー後編をお届けしたい。
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八幡拓人氏プロフィール
2021年にウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。エイベックス・ピクチャーズやワーナー ブラザース ジャパンでアニメ作品の宣伝・企画プロデュースに携わってきた経験を活かし、ディズニープラスのアニメーション責任者として手腕を振るう。
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――たとえば『スター・ウォーズ:ビジョンズ』のようなアンソロジー式の作品は象徴的ですよね。『スター・ウォーズ』というベースがあって初めて成立するものでありつつ、独自の色を出すことに成功しているという。同様のチャレンジングな作品は今後も企画されるのでしょうか。▲『スター・ウォーズ:ビジョンズ』(C) 2023 Lucasfilm Ltd.
神風動画、キネマシトラス、サイエンスSARU、ジェノスタジオ、スタジオコロリド、トリガー、プロダクションI.Gと、日本を代表するアニメスタジオが『スター・ウォーズ』の世界観をベースにそれぞれオリジナルストーリーで制作した9編から成る短編アニメーションアンソロジー。
ディズニープラスで独占配信中
八幡拓人氏(以下、八幡) 可能性はあると思います。『スター・ウォーズ:ビジョンズ』は、ルーカスフィルムが主導した企画で、「スター・ウォーズ」にとって創造のルーツとなった日本とのプロジェクトで、日本のアニメクリエイターたちの “ビジョン” を通して、「スター・ウォーズ」の新たな物語が描かれています。さらに、日本だけでなく世界各地のアニメスタジオが参加した『スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume 2』が5月4日より独占配信スタートしています。
▲『スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume 2』(C) 2023 Lucasfilm Ltd.
ディズニープラスで独占配信中
――日本のアニメファンとして考えると、ああいったアンソロジー作品はやはりOVA的で、本当に好きな人がパッケージを買うというイメージですけれども、今回のように配信であることで、誰でも観られるアクセスの良さによって可能性が広がりますよね。八幡 せっかくいい作品なのに、特定のターゲットに向けた作品だと思われてしまって、視聴機会が限定されてしまい、裾野が広がらないとうこともこれまであったかと思います。しっかり観てさえもらえれば、こんなにも感動できるものがあったのかと思ってもらえる可能性が本当はもっとたくさんあったりします。そういうある種のハードルに対しては、我々は見放題のサービスですので、何の気兼ねもなくいつでもどこでも観られる環境をご提供できる。いったん観始めて、面白いと思っていただければ、それが新たな出会いになります。お客様に対して、これまでになかった可能性を提供していきたいというのは、私たちが常に思っていることですね。
――『四畳半タイムマシンブルース』も、劇場公開と並行して毎週1話ずつ配信されるという形式で、配信限定エピソードもあり、劇場版を映画館で観るのとはまた違った体験の形を提供されていたと思います。八幡 もちろんタイムリーに観ていただきたいという思いはありますが、いつでも何度でも観ることができるのが配信サービスの強みなので、繰り返し視聴したくなる作品を提供していきたいと常に思っています。視聴体験は様々あると思いますが、1回の配信で終わりというのではなく、ふと思い出してもう一度観たくなるとか、10年後に観てもまた感動できたとか、人々の心の中に残る作品を届けていきたいですよね。
▲『四畳半タイムマシンブルース』
イラスト:中村佑介 (C) 2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会
ディズニープラス「スター」で独占配信中