• 『サイボーグ009 超銀河伝説』を生み出した2つのブーム【日曜アニメ劇場】
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2023.05.20

『サイボーグ009 超銀河伝説』を生み出した2つのブーム【日曜アニメ劇場】

(C)石森プロ・東映


本作を語るにあたり、公開前の1979~1980年に放送されたTVアニメ『サイボーグ009』の存在を欠かすことはできないだろう。
2作目のTVアニメシリーズとなるこの1979年版、制作スタジオは日本サンライズ(後のサンライズ、現・バンダイナムコフィルムワークス)で、後に『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』というリアルロボットアニメを手掛けることになる高橋良輔が監督を務めた。

原作の雰囲気を現代的にアップデートしてやや高年齢に向けた作品は、1977年に公開された劇場版『宇宙戦艦ヤマト』から盛り上がった、いわゆる「アニメブーム」の波に乗って多くのファンを獲得。それだけに、主人公の009=島村ジョー役の井上和彦を筆頭に、“『009』といえばこのキャスト” というイメージは今なお強い。
ちなみに004を演じる山田俊司とは、後に『ちびまる子ちゃん』のナレーターでお茶の間にも知られることになるキートン山田のこと。そして、005を演じている田中崇は、『機動戦士ガンダム』ギレン・ザビ役が有名な大ベテラン・銀河万丈だ。

その後新たに東映動画(現・東映アニメーション)で制作された『超銀河伝説』は、TVアニメ第2作のキャストが一部を除いてそのまま続投しているものの、前作の世界観を直接引き継ぐことのない、オリジナルドラマが描かれることとなった。その背景にはアニメブームに加え、並走するように大きく盛り上がった「SFブーム」の影響も垣間見ることができる。

日本ではスティーブン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』、そしてジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』(「エピソードIV」)という世界的な大ヒットを記録したSF映画が、78年に続けて公開。その勢いを受けて日本でも様々なSF作品が生まれることとなる。石ノ森もまた、東映が製作した78年公開の映画『宇宙からのメッセージ』(深作欣二監督)で原案/コミカライズを担当し、SFブームを支えた一人であった。
先に述べたとおり、『サイボーグ009』は時代性を取り込んで新たな物語を紡いできた。つまり、宇宙を舞台にした本作はそういった「時代の空気」の影響下で作られた作品と言えることができるだろう。

数多く作られた『009』アニメの中でも異色のムードをまとう作品として印象付けられているのは、それだけが理由ではない。
例えば公開当時に物議を醸した、物語終盤で描かれる004=アルベルト・ハインリヒを巡る展開。アニメ誌などでいち早く喧伝されていた大きな見どころであり、当時のファンに大きな衝撃を与えることとなった。
また、航海の途中で訪れるファンタリオン星の王女・タマラと009、003が繰り広げる三角関係(?)のドラマも当時、多くのファンの心をかき乱したはずだ。
この作品でしか楽しめない、そんな009たちのスケールの大きな活躍をぜひ楽しんでもらいたい。

>>>サイボーグ戦士が宇宙を駆ける!『超銀河伝説』名場面を見る(写真4点)

*「石ノ森」の「ノ」は小さい「ノ」が正しい表記

(C)石森プロ・東映

アニメージュプラス編集部

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