• 『ぼっち・ざ・ろっく!』少女の成長に寄り添ったライブアクト6選
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2023.04.11

『ぼっち・ざ・ろっく!』少女の成長に寄り添ったライブアクト6選

アルバム『結束バンド』ジャケット(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス

アニメーション制作をCloverWorksが担当し、2022年10月から12月にかけて放送となったアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。
放送開始から徐々に人気を集め、放送終了後に発売された劇中バンド・結束バンドのアルバム『結束バンド』は、オリコンの週間アルバムランキング首位を記録するに至った。

本作が人気を集めた要因は何だったのか? そこにはアルバム『結束バンド』にも収録された、劇中歌の魅力、そしてそれを演奏するライブシーンの表現力にあった。

本作の主人公・後藤ひとりは人と話すことを極度に苦手とする女子高生。中学時代に見た音楽番組をきっかけに独学でギター演奏の技術を磨き続け、インターネット上では高い評価を得ているものの、友達がいないために憧れのバンド活動を実現できないまま数年を過ごしていた。

そんなある日、ひとりは劇中に登場するバンド・結束バンドにメンバーにスカウトされる。
最初は人前に出ることにすら抵抗を感じていたひとりだったが、バンド活動と周囲の仲間との交流を経て変わっていく。人とコミュニケーションを取るようになり、これまで自分とは縁遠いものと捉えていた“青春”とも自分なりに向き合う。そして、仲間と共にバンドとして更なる高みを目指すようになるのだ。

そんなひとりの成長は、作中に登場する楽曲、そしてライブシーンでも表現されていた。物語にあわせて、曲の歌詞が、サウンドが、そして演奏の描かれ方が変化していったのだ。
結束バンドの演奏をドラマに沿って振り返ることで、魅力的な楽曲をより深く味わってみよう。

◆◆第1話「カバー曲(タイトル不明)」◆◆
ひとりが結束バンドと出会い、最初に演奏したのはインスト曲だった。
曲名も明らかになっておらず、演奏シーンも序盤しか登場しないが、本人たちの感想からは思い通りのパフォーマンスができなかったことが伺える。

突如ギターに欠員が出てしまい、ひとりにサポートギターを依頼することとなった結束バンド。その依頼を受けたひとりは、ネット上の評価を信じ、自分には高クオリティの演奏ができると過信する。
しかし、現実は思うようにはいかない。周囲とのコミュニケーションを避けてきたひとりの演奏は、一緒に演奏するメンバーと歩調が合わない、独りよがりなものだったのだ。

バンドメンバーとしての演奏技術を向上させるためには、人見知りを克服する必要がある。そんな高いハードルがひとりの前に立ちはだかった瞬間だった。

◆◆第5話「ギターと孤独と蒼い惑星」◆◆
ひとりの加入の後、さらなる新メンバーとしてギター/ボーカルの喜多郁代を迎えた結束バンドは、オーディションを受けるべくオリジナル楽曲の制作にとりかかる。その最初の1曲である「ギターと孤独と蒼い惑星」は、後藤ひとりが初作詞に挑戦し、作曲をベースの山田リョウが担当した曲だ。

緊張の初オーディションで披露したこの曲には、人前に自分自身を曝け出すことへの葛藤がメッセージとして織り込まれている。これまで目立つことを避け、自分自身を誰かに曝け出すこともなく生きてきたひとりが、バンド活動を通して人前に姿を晒すことになり感じるようになった抵抗感と、その裏腹の恍惚感。そんな相反する感情を荒々しく言葉になっているのだ。

サビに登場する「“ありのまま” なんて誰に見せるんだ」というフレーズは、彼女の胸中に感じている生の叫び。それが、曲のラストでは「なりたい なりたい 何者かでいい」と葛藤を振り切る言葉に変化していることにも注目してほしい。
また、結束バンド結成後、実力を発揮できずにきたひとりが、始めて本来の演奏力を見せたのもこの曲を演奏した時だった。ひとりのパフォーマンスに驚きと羨望の眼差しを向ける結束バンドメンバー、山田リョウと伊地知虹夏の表情も要チェックだ。


(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス

アニメージュプラス編集部

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