• 【マガデミー賞2022】審査員が語るコミックベストキャラ選出の裏側
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2023.03.24

【マガデミー賞2022】審査員が語るコミックベストキャラ選出の裏側

2022年のコミックシーンを盛り上げたキャラクターを讃える第2回「マガデミー賞2022」が決定! Sponsored by BookLive


■新人賞
ルド(『ガチアクタ』裏那圭)

――今回から主要4部門と<審査員特別賞>に加え、新たに<新人賞>が設立されました。それぞれ審査員の皆さんの中でキャラを一名推薦して討議していくという形で進められたそうですが、これはまた別の大変さがありそうですね。

すず木 はい。それぞれ全員違うキャラを推薦して、しかも各人のプレゼンを聞いていると「なるほど!」といちいち納得してしまうという(笑)。

三宅 ルドを推薦されたのは三省堂書店の方なんですが、私も元々『ガチアクタ』はすごく好きな作品で、もっともっと売れていいと思っていたので「これをきっかけに、みんなに読んでほしい!」という気持ちが、最終的な総意になったんだと思います。

――先ほどのお話にあった「どん底から這い上がってくる」という意味では、まさにドンピシャのキャラクターですよね。

小磯 本当にどん底( ※作中で「奈落」と呼ばれる場所)に落ちますしね(笑)。

すず木 そこから上を目指していく、少年漫画の王道と同時に新しさも感じる作品です。

三宅 私は1巻が店に来た時に初めて作品を知ったんですが、一目見て「これは売らないといけない!」というインパクトを感じました。個人的には『炎炎ノ消防隊』の系譜にある、新しいものが来たな、と。

荻野 でも皆さんに挙げていただいた作品とキャラクターは、どれをとっても納得でした。

すず木 ほかにも『しあわせは食べて寝て待て』の主人公さとこさんと『クジマ歌えば家ほろろ』のクジマが推薦されました。
どちらも当たり前の日常を大事にしたいと思わせてくれるキャラクターで、現代を生きる多くの人に作品を読んで知ってもらいたいですね。

■審査員特別賞
ちいかわ(『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』ナガノ)

すず木 新人賞と同じように審査員特別賞も、各人のプレゼンを経て決めるのですが、小磯さんから『ちいかわ』が挙げられた瞬間に「あ、これだ」と。

荻野 2022年は『ちいかわ』の年だったので、すごく納得の受賞ですね。

三宅 実は自分も『ちいかわ』を推薦したかったんですが、どうプレゼンしていいかわからなくて……きっと「最高です、唯一無二です」としか言えなかったと思うので、小磯さんから挙げていただいて本当によかったです(笑)。

――不思議なテイストの作品ですよね、絵柄からは想像がつかないというか。

小磯 「可愛い」だけで済まされない世界観なのに、キャラクターがこれだけ人気があるって、ちょっと驚きですよね。マンガも、ちいかわたちに癒やされる内容かと思って読んでみたら、過酷な労働をこなしてささやかな報酬を得るという、結構可哀そうな目にあっていて衝撃的です。

すず木 そういう意味でも、キャラクターだけ知っている人には是非この機会にマンガをちゃんと読んでもらって、自分たちの生きる世界を振り返ってほしいなと思います。

――今回、芸人のハナコさんが特別審査員を務めていますが、どういった形で参加されたのですか。

すず木 オンラインで行われた審査会で、3人の中で各部門担当を決めてプレゼンされていました。

荻野 主演男優賞では岡部さんが宮本大を推していて、その理由が「自分の名前も『大』で、同じ東北出身なので思い入れも強くて(笑)」と。でも、他の皆さんの評価とも一致していて、(芸能人としての仕事もお忙しい中で)作品をしっかり読んで臨まれているのだなという印象がありました。

――新人賞と特別審査員賞は何を推されていたんですか。

三宅 新人賞は『光が死んだ夏』の光だったと思います。

すず木 ハナコさんのマンガについての冠番組で、同作が紹介されたのをきっかけにハマったとおっしゃっていました。恐怖や愛・友情という概念について描いたホラーで、マンガ好きほど支持している作品なので、これを「面白い」と思われるのはさすがだな、と。
あと、菊田さんがこのマガデミー賞をきっかけに(主人公の岩倉美津未が主演女優賞にノミネートされた)『スキップとローファー』を読んで、生まれて初めて「日常モノ」にハマったそうです。

三宅 声のトーンをグッと上げて、美津未ちゃんをめちゃめちゃ推してましたよね。

すず木 マガデミー賞がそういう素敵な作品との出会いの場になって嬉しかったです。

――今後のマガデミー賞で「こういう部門ができたら面白いんじゃないか」というアイデアはあったりしますか。

すず木 こっそり思っていたのが、その年を騒がせたヴィランを選ぶ「最強悪役賞」。

小磯 私も同じことを考えていました! 『東京卍リベンジャーズ』では、(主人公・花垣武道の宿敵である)綺咲鉄太を推していましたし、悪役は主役以上に複雑な背景やドラマを背負った人が多くて魅力的だと思います。

荻野 キャラクターの人気投票でも、絶対上位に入ってきますからね。

三宅 悪役が良いかどうかで漫画の出来や売れ方も結構変わりますし、大賛成です。

すず木 でも感謝を伝えたいとか応援したいかって言われると、ちょっと違うのかな(笑)。

三宅 私は『スキップとローファー』に出てくる、(一見相容れないふたりが徐々に心を通わせて友人同士になっていく)誠と結月の関係が素敵だな、と思ったので、そういう賞ができても面白いかな、と。

すず木 ベストパートナー賞、良いですね!

小磯 また票が分かれそうですけれど(笑)。

荻野 めちゃくちゃ面白そうですね。

小磯 あと、ベストペット賞とかいいかもしれないですね。キャラクターじゃなくて、コミックエッセイでリアルに飼われているペットも登場することがありますから。

――では最後に、今回のマガデミー賞を応援してくれたファンの皆さんに一言戴けますか。

すず木 今回いろいろなキャラクターに投票していただいた皆さん、本当にありがとうございました。ぜひ次回以降も、皆さんの推しキャラをどんどんアピールしていただきたいです!

三宅 マンガが好きな人はぜひキャラクター愛をどんどん高めていただきたいですし、いろんな方の「好きなキャラクターを応援したい、行く末を見守りたい」という思いを共有したいです。これから第3回、4回と続く中で皆さんの推しが変わっていくのか、また一貫して同じ推しキャラを推し続けるのか、楽しみにしています。

荻野 まだ賞としても2回目ということで、これからどんどん大きくなっていく賞かなと思います。また来年しっかり推薦していただきたいと思いますので、これから1年、推しキャラをしっかりと愛でてあげてください。

小磯 キャラクターはただ偶然そこにいるわけではありません、どんなに小さな役割でも、どんなに嫌な奴でも、その作品に絶対必要があるから存在しているわけです。大好きなマンガの作品とキャラクターを共に長く愛していただけたらなと思います。

「マガデミー賞2022」
>>>公式サイト

アニメージュプラス編集部