• BLUE ENCOUNTが奏でる『コードギアス』、そして【次】への決断!
  • BLUE ENCOUNTが奏でる『コードギアス』、そして【次】への決断!
2022.11.11

BLUE ENCOUNTが奏でる『コードギアス』、そして【次】への決断!

『BLUE ENCOUNT』左から田邊駿一(Vo・G)、江口雄也(G)、高村佳秀(Dr)、辻村勇太(B)


――カップリング曲の『青』は、BLUE ENCOUNTにとって、どんな曲ですか?
田邊:BLUE ENCOUNTというアニメが存在したとしたら、もう真っ向から主題歌になるっていうくらい。自分たち4人の、いまの気持ちを代弁して書いたのと、この曲をリリースした6月は、新生活を始めた人たちが、ふと気が緩む一番辛い時期だと思うので、その人たちの背中を押せるような感覚で作りました。そういう人たちへの主題歌でもあります。「青」にはポジティブな言葉も、ネガティブな言葉もありますが、その全ての「青」を受け入れて、抱きしめて、前に進んでほしいなと。

江口:この『青』は、聴いてくれた方々と自分たちが一致して「BLUE ENCOUNTっぽい」と言える曲だと思います。このブルエン印になった『青』という曲は、この先、ライブで長いこと活躍してくれる曲になったので。僕らにとって、とても大事な一曲になりました。

高村:僕たちBLUE ENCOUNTの、いままでの活動に対するアンサーであり、これからの活動への意思表示が、この『青』でできました。これから作る曲で、いろいろなことにチャレンジしても『青』があるからブレない。そんな軸となる曲ができたと思っています。

辻村:この曲は、日本国民全員に刺さる曲だと思っています。情報や選択肢が多く、何を信じたらいいか分からない世の中で、自分の意見を大事に「青に染まれ」という強いメッセージが、『みんなのうた』と同じぐらい深みのある言葉で、この曲にはあると感じています。



――現在、ツアーやライブが予定されてますが、意気込みを教えてください。
田邊:今回は、自分たちのツアーの中でも一番いいものが届けられてると、バンドの歴史上、最もそういう感覚がします。楽曲のセットリストと演出が相まってそうなっているんですが、いま4人が伝えたいものを、しっかり伝えられていますね。というのも、ひとりひとりが、それぞれに気持ちいいと思う瞬間を集めて届けているんです。
いままでは無理に4人でひとつのスクラムを組んで、全曲熱量バンバンでお客さんに届けようぜ! みたいな感じでしたが、経験すればするほど、本当に正しいのかなって自問自答することがあったんですよね。
ライブって、観る側もやる側も、デトックスの場所じゃないといけないのに、なぜか一番大事な場所で首を絞め合っていたので、ベクトルが違っていてもいいから、ひとりひとりが最高の瞬間を作ろうと。それが合わさったときにBLUE ENCOUNTになっているから、いままでの強い絆とキャリアがあるから絶対に大丈夫だよって。実際にやってみたら、初日からめちゃくちゃいいものができて、デトックスの場所になっていると感じました。パンデミックの影響で、ライブなんて不要不急だと言われてたので、本当に不要不急なのかを問う、そんなツアーになりそうな感じがしていますね。

辻村:自分らが伝えたいことが明確になってから、とにかく楽しいですね。ライブ後に、毎回反省も出てくるのですが、スタッフさんを含めてチームで共有できているので、いまはとてもいい状態だと思います。2月11日の武道館まで、いまから計算しても成長できることがたくさんあるので、そのときに、どんな感情になっているのか、どんな気持ちで『青』を演奏しているのかワクワクしてますね。

高村:自分の生活の中で、ライブをやることの大きさを改めて実感しています。
良い意味でも悪い意味でも、そのときの自分の全てがライブに出るので、100%楽しいわけではないし、悔しいとか、辛いとか、やる気だったり、がむしゃらな感じだったり、いろいろなものが詰まっていて、ライブをやらなくなったら、自分はダメだと思うんですよね。
ライブで自分の存在意義を高めていきたいですし、音楽を続けて行く上でも重要な指針になっていて、大きな存在なんだなと、このツアーで思い知りました。だからこそ、全力でぶつかっている姿を見てほしいですし、それをどう思うかは見た方にお任せしますっていうスタイルでやっています。

江口:今回はホールツアーなので、お客さんの顔がライブハウスのときよりも、ちゃんとひとりひとり見えるんですよね。この曲ではこんな表情をするんだ、とかまで見えるので、みんなの顔を見ながら演奏するのが楽しいです。
多分ですが、久々にライブに来たのかなって感じで泣いてる人を見ると、こっちまでグッときますね。そんなひとりひとりの物語があって、その日のライブに来てるわけなので、そんなことを考えながら一公演一公演を噛み締めながらやっています。

――辻村さんが2023年より活動拠点をアメリカに移すことが発表され、公式メッセージも公開されていますが、改めてその経緯や今後の活動について教えてください。
辻村:音楽は作品を残せる貴重な職業だと思うので、いろいろな方々と可能性を広げて、より多くの作品を生涯残したいという思いがありました。
そんな気持ちがある中で、メンバーに向き合ってBLUE ENCOUNTの活動をしていたのですが、何度かひとりでNYに行く機会があり、自分の中の概念や価値観がガラリと変わっていきました。
そんな矢先、騒音性難聴と診断されて、病院にも通っていたのですが聴力が戻ることがないと言われ、聞こえなくなったときに、どこに居たいかを考えたとき、海外で揉まれてる中、聞こえなくなったら後悔しないと思いまして、メンバーに気持ちを打ち明けました。
はじめはBLUE ENCOUNTを辞めようと思ったんですが、メンバーと何度も何度も話し合った結果、海外で活動しながら今後もBLUE ENCOUNTを続けて行きたいと。僕の夢の中では、どちらもやれると思ったので、今回の決断になりました。

――メンバーの皆さんはどう感じられましたか。
田邊:辻村は、最初は辞めるって言ったんです。そのときは、たぶん選択肢がそれしかなかったんだと思うんです。それを言われたのが2019年で、まさに「4人ひとつになって行こうぜ」って、雁字搦めになってるときだったので、だから「辞める」しか選べなかったんだと思うんです。

辻村:100%向き合えてない自分が申し訳ないという思いがありましたね。

田邊:けじめをつけるっていう意味で言ってくれたんだと思いますが、正直「何でだよ」という思いで、最初はずっと反対をしていたんです。反対をすればするほど、何で俺は反対をしてるんだろうって思いになってきて。BLUE ENCOUNTをやりたいから反対してるだけじゃないかって思ったんです。
ひとりの人間の背中を押すためにバンドをやってるはずなのに、親しい人間の背中さえ俺は押せないのかって思ったときに考えが変わってきて。それで「行って来いよ」という感じになってたんですが、去年久々にツアーをやって、やっぱり彼のベースがすごく好きだな……って思って。どうしようか考えたときに、こんな時代なんだから、離れていても何でもできるんじゃないかなって思ったんです。
やっと渡航が解禁されましたが、またパンデミックが起こり渡航できない日々がきたら、海外に親しい人や家族がいる人は、また離れ離れになってしまうかもしれない。だったら、その人たちに捧げる曲ができるんじゃないかなって。そういう意味でも人生の経験を辻村もできるし、僕らも辻村と一緒にいることで、いろいろな景色が見られるんじゃないかと。
海外でライブができる機会も増えるだろうし、海外のエンジニアの方に出会って、その人と曲作りをしていけるかもしれない。そういう意味で選択肢が増えることを何で辞めさせようとしてたんだろうって。そのとき「めっちゃおもろいやん」って思って、すぐに関係各所に「どちもやります! やらせてください」って伝えました。
辻村にも「お前がまだBLUE ENCOUNTでいたいと思ってくれるなら辞めなくていいよ」と伝え。辻村は向こうで活動しながら、変わらず参加できるやり方をみんなで探そうよっていいまして。『青』や『終わり日』など今年リリースした楽曲は、辻村がアメリカにいるのを想定して全部データのやり取りだけでレコーディングをして完成させたものばかりなんですよ。だから、まだまだ100%整ったということではなく、むしろトライアンドエラーの最中ですが、ワクワクする感覚がありますよね。
お客さんがいないインディーズ時代に、どうやったら振り向いてくれるか、フロアに10人しかいない中で10人にCDを買わせるためにはどうしたらいいんだろうって考えてた、あの頃にちょっと戻ってる感じがするので。いまはバンドマンとしての原点に帰れて、未来を見据えることができている日々なので。すごく勉強になっています。

江口:基本的には田邊が言ったのがほとんどではあるんですが。まあ、やっぱり辻村の意志がものすごく堅かったので。僕も最初は反対をしたんですけど、本人の意思の堅さに、これは説得するのも違うなって途中から思ってきました。途中からは応援することを中心に、いろいろな可能性を考える中で、田邊が言ったような、「どっちもやれるんじゃないか」という答えにたどり着きました。

高村:BLUE ENCOUNTは4人というチームでやってるんですが、僕はどちらかと言えば個人としてどう生きたいか、どう人生を歩みたいかを重視する方で。辻村は海外に行っていろいろな人と演奏してみたい、ベースを上手くなるために、もっといろいろな人と触れ合いたいと、ずっと昔から言ってたので。ずっとブレてないんです。僕には、そのブレてない姿が輝いて見えて、純粋に心の底から応援したくなっちゃって。だから海外に行くって言われたときは、最初から手放しで応援する気持ちでいたんです。
でも、紆余曲折があって、いまの形に落ち着いたんですけど、辻村のことを尊敬する気持ちと、応援したい気持ちは変わらないまま、辻村の姿を見ていたいなと思います。それが僕にとっての幸せでもあるし、自分が格好いいと思った人は、いつまでも格好いいんだって、格好いいと思う感覚が正しかったんだって思いながら、これからも見ていきたいと思います。

――最後に、今後の活動を含めて、ファンの方へメッセージをお願いいたします。
田邊:今回、BLUE ENCOUNTが出した決断や、これからの方針が、いろいろなバンドやアーティストの勇気になってくれればいいなと思います。縁あって世界展開をしてるレコード会社に入っていたことや、いままでの出会いが僕らの人生になっていて、誰かの人生の後押しになってるのかなと思うと、まさに人間としての原点に帰れてるのかなと思います。いろいろな新作を作っている最中なので、辻村が海外にいても当たり前のように、4人が揃っていると思わせるような活動をしていきたいです。
パンデミックでライブも満足にできない時代になって、より楽曲の大切さが分かったんですよね。シンガポールのアニメフェスに出させてもらって、初出演なのにトリをやらせてもらったこともあり、アニメの主題歌になって楽曲が世界に広がっていく景色も見せてもらいました。まさに奇跡的なことができるのは、楽曲、音楽が持っている底知れない可能性だと思います。
これからも4人で楽曲を作りまくって、世の中に出しに出しまくって、「早くライブをしてくれよ!」っていう渇望を最高潮に喉を乾かせて。辻村が日本に帰ってきたときにツアーをやって。ひとりひとりが一番気持ちいい人生を歩んでいるんだけれど、4人の音楽になったときに、「これがBLUE ENCOUNTじゃん」って、みんなが頷くものを世に出していく。自由という名のもとにやらせてもらうからこそ責任があると思うので、気合を入れていかないといけないと思います。その気合をもとに、論より証拠で楽曲を叩きつけて、「次」にいったBLUE ENCOUNTを見せるために、来年からの動きにつなげていきたいですね。

江口:付け入るすきがなかった(笑)。
田邊:異論があれば。
辻村:何もないです(笑)。
田邊:みんなの頷きだけ入れていただければ。
(一同頷く)

櫻井靖之

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