• ずとまよ×『雨を告げる漂流団地』挿入歌「夏枯れ」PVメイキング秘話
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2022.09.18

ずとまよ×『雨を告げる漂流団地』挿入歌「夏枯れ」PVメイキング秘話

ずっと真夜中でいいのに。× 映画『雨を告げる漂流団地』 「夏枯れ」PVより (C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ


――今回の作業で印象に残っているのは、どんなことですか?

三皷 水彩タッチにするには、線画がラフすぎると切り抜きが大変なのですが、コロリドさんの線画はきれいだったので、作業しやすかったです。やればやるほどいい感じの水彩感が出せました。

山下 今回は先行カットや文字情報を組み合わせて作るPVというよりは、音楽を聴かせるという点でMVのようだし、90秒という尺はOP映像的な要素もあって、あまりスタンダードな作り方ではなかったかな。

三皷 画面の下に歌詞も入りますしね。

山下 ちなみに線撮を分解するなど、通常のPV制作よりも手間をかけて作ってます(笑)。線撮をあえて使っていることがわかるように演出することにも気を使いました。

――完成した本編映像もところどころ使われていますが、PV全体のテイストに合うように加工していますね。

山下 線画と本編映像が共存できるように、映像に色を加えたり、エフェクトを足したりして、映像全体をなじませる作業をしています。

――本編スタッフや音楽スタッフから映像についてオーダーはありましたか。

山下 音楽サイドからは、「夏枯れ」がかかるシーンは使ってほしいと要望がありました。

三皷 石田監督には原画やイメージボードのイラストの使用許可をいただいて、制作を後押ししてもらいました。あと、団地が漂流しているシーンの、海の波が送られていく姿がきれいにできているから使ってほしいというオーダーもありました。

山下 海の波を見せることについては、完成した本編の映像や原画をもらって、アニメが完成していく工程を見せるような演出にしました。

――PV映像の中盤、航祐、太志、譲の3人が歩くバックのフェンスにさまざまな絵がポンポンと映し出されるシーンもオシャレで印象に残っています。

山下 ここにも原画や石田監督が描かれたイメージボードを盛り込んでいます。このシーンは無色のフェンスにこれから子供たちに起こることを予告するように映し出しているイメージです。

――お二人は団地について何か思い出はありますか。

山下 上京当時、自宅の近くに団地がありました。現在では取り壊されていますが、誰も住まなくなって段々と朽ちていく姿に、怖さや寂しさを感じました。陰があるというか。

三皷 わかります。私も小さい頃「団地の窓から手を振る女の人を見たら死ぬ」という怖い話を聞いてから、怖くて夕方の団地を見ないようにしてました。

山下 今回のPVにも団地が持つはかなさを盛り込んだつもりです。

――本作の中で、お二人のお気に入りのキャラクターは誰ですか?

三皷 のっぽと安次おじいちゃんが好きです。のっぽという存在はこの作品の旨味部分だと思っています。そして、これから壊されてしまう存在、なくなってしまう存在であることから漂う哀愁感も彼は纏っていて。それがこの物語の魅力にもつながっています。あと、おじいちゃん子だった身としては、安次おじいちゃんも捨てられない(笑)。

山下 僕もおじいちゃんかな。それと漂流を終えて、少し大人になって帰ってくる子供たちも好きですね。完全に親目線ですけど(笑)。

「スタジオコロリド公式ファンブック『雨を告げる漂流団地』」には、ハイパーボールのインタビューに加えて、豪華キャスト&スタッフが、本作の魅力を多面的に紹介。さらに設定画、美術ボード、初期スケッチ、原画など貴重なビジュアル素材がふんだんに掲載されている。

ハイパーボール
山下敏幸(やましたとしゆき)・三皷梨菜(みつづみりな)によるアニメーションに特化した映像制作会社。これまで手掛けた作品はTV アニメ『東京リベンジャーズ』OP ・ED、映画『バブル』劇場OP ・ED、YOASOBI『怪物』MV など多数。

>>>『雨を告げる漂流団地』映像素材の魅力も楽しめる「夏枯れ」PVの場面カットを見る(写真28点)

(C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ

アニメージュプラス編集部

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