――さて、今回は巨大ロボ「銭湯巨神・純烈王」も大きな見どころです。佛田 (デザイナーの)野中剛さんが好きな「伝説のロボット」系デザインですね。超特急で作業してもらって、当初はパルテノン神殿そっくりのデザインだったんだけど、プロデューサーの塚田(英明)君に「『キン肉マン』にそっくりの超人(パルテノン)がいますよ!」と指摘されて没になった(笑)。あと、肩にステージを作るのも塚田君の案でした。ロボの構造的には嘘になるけど、『大鉄人17』みたいに神殿モードからロボモードへの変型も見せたりして、面白いでしょう?
▲シロクマジンと純烈王の激しいバトル!
――最高でした! あと純烈がお世話になった、昨年閉館した「東京お台場 大江戸温泉物語」の地下に隠れていたという設定も泣かせますね。佛田 あれもたまたま脚本の打ち合わせ中にニュースを聞いて、本格的なクランクインをする前に純烈のラストライブを撮りに行ったんだよ。勿論続編の情報なんか出ていない時だったから「DVDの特典映像を撮りに来ました」と嘘の言い訳をしてね。
――そういうファンへの目線も大事にされて作業をされているわけですね。前作・今作共に純烈と女神のドラマが中心になっているのも、そういう意識があるわけですか?佛田 うん、誰よりもまず純子さん(純烈の女性ファン)たちに喜んでもらいたい作品ですからね。今回で言うと「ふせ(えり)さんになりたい!」と思ってもらえるように作ろうと。オフロディーテの存在は実在してるのか幽体なのか何なのか……実は設定をカッチリ作っていないんだけど、今回は白川君となぜかアパートで同棲しているというね(笑)。
――銭湯に行ったり日常風景がいちいち古いのも、マダム目線を意識してなんですね(笑)。▲赤のオフロディーテ(ふせえり)との甘い日々は突然終わりを告げて……。
佛田 そうそう、令和の世だけど割り切って昭和の青春に(笑)。窓際でギターを弾いてるのは『時間ですよ』の天地真理さんのイメージね。ふせさんは浅田美代子さんの「赤い風船」を歌ってたけど(笑)
――今回のバトルシーンは前作のスーパー戦隊オマージュと違って、楽曲とのリンクが強いミュージカル的な演出が印象的でした。佛田 あれは竹田(道弘)さんが頑張りました。前作は4人のアクションを個性的に見せたけど、「それと同じじゃつまらないよね。曲を先に貰えたら、ミュージックビデオ風に演出するから!」と言ってくれたので、酒井君が曲を用意してくれてね。まあミュージックビデオというか、昔のスーパー戦隊のED映像みたいだけど(笑)。
――そこが良いんですよ!佛田 うん、面白いものね。あと竹田さんがこだわったのが「女神にもアクションをやらせたい!」と。本当はラスト近くの純烈が工場で変身するところでも一緒に戦わせたかったらしいけど、スケジュールがパンパンだったから、撮影所内でやってもらって。しかし、中島(ゆたか)さんに銃を撃たせたりした時はビックリしたけど。
――そういうところも含めて、『純烈ジャー』の特撮界での立ち位置はつくづく異色ですね。佛田 仮面ライダーやスーパー戦隊を撮っている若い監督はアメコミヒーロー映画の影響が強いと思うんだけど、この映画に関しては僕と竹田さんの狙う方向は真逆なんですよ。同じことをやっても仕方ないし、そこは酒井君とも一致した。
――ちなみに、本作以降の今後の展開などは考えていらっしゃいますか?佛田 まだ3作目ができるかどうかはわかりませんが、やっぱり純ブルーの交代劇があるんでしょうね。小田井君にはNASAかインターポールにでも行っていただいて、代わりに純烈のヨーロッパ支部から新たな純ブルーがやって来る……みたいなね。
――ちょっと待ってください、「純烈の海外支部」ってどういうことなんですか!佛田 それはこれから考えるんだよ!(笑)
佛田洋(ぶつだ ひろし)1961年10月10日生まれ、熊本県出身。特撮研究所代表。特撮監督としての主な作品に現在放送中の仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズほか、映画『男たちの大和/YAMATO』(2005年)、TVドラマ『美少女戦士セーラームーン』(2003年)など。前作『スーパー戦闘 純烈ジャー』(2011年)に続き、本作を監督。
>>>『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』場面カットを見る(写真36点)(C)2022 東映ビデオ