• 『彼女、お借りします』EDを手がけるMIMiNARIに聞く「言えない」秘話
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2022.09.05

『彼女、お借りします』EDを手がけるMIMiNARIに聞く「言えない」秘話

MIMiNARI『言えない feat.asmi』

第2期がスタートし、波乱含みの展開にドキドキが止まらないアニメ『彼女、お借りします』。4人のヒロインが美しく描かれたエンディングの映像は「尊い」と評判で、キャラクターの心情を巧みに表現したエンディングテーマ「言えない feat.asmi」を手がけるMIMiNARIにも注目が集まっている。MIMiNARIは「消えない feat.春茶」「見えない feat.natsumi」などがネットで話題の2人組クリエイターユニット。8月31日に「言えない feat.asmi」を収録したCD『言えないEP』でデビューする。MIMiNARIのnariとshamに、『彼女、お借りします』の印象や、「言えない feat.asmi」の制作秘話を聞いた。

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「言えない」は、RをLに打ち間違えたことがきっかけ

――アニメ『彼女、お借りします』第2期エンディングテーマ「言えない feat.asmi」が話題です。

nari:第2期と言うと第1期と比べられてしまうものなので、ある程度は覚悟していたんですけど、作品とともに皆さんに聴いていただけているようで安心しました。エンディングの映像が本当に素晴らしくて、映像に助けていただいた部分もすごくあると思います。

sham:halcaさんが歌った第1期のエンディングテーマ「告白バンジージャンプ」とは曲調がガラリと変わったので、どんな風に受け取ってもらえるか最初は不安がありました。第2期になったことで、各キャラクターに対する理解やキャラクター同士の関係性が深まっていて、その部分が僕たちの切なさのある楽曲と重ねて聴いていただけたのかなと思います。ファンの皆さんの温かい反応をいただけてほっと一安心した感じでした。

――原作漫画を読まれ、アニメ第1期を観て制作されたとのことですが、『彼女、お借りします』という作品のどんなところに魅力を感じましたか?

nari:やはりキャラクターの圧倒的なかわいさですね。主要なヒロインが4人もいるのに、性格的なところでかぶっているところが一つもない。それに漫画で描かれている女の子の表情が絶妙で、それがしっかりアニメでも再現されていて、そこには感銘を受けました。

sham:かなりしっかりとしたラブコメでありながら、要所要所でしっかり泣かせてくる部分もあって、ドラマ性がめちゃめちゃ高い作品だと思います。

――「言えない feat.asmi」は透明感があって、今の若い世代がよく言う“エモさ”が、音やメロディの中に巧みに落とし込まれている印象です。楽曲はどのように?

nari:「言えない」に関しては、きっかけが僕だったんですけど、サビがまるまるドンッと降りてきて、そこから一気に作っていきました。歌詞は「恋愛」という文字をアルファベットで打とうとした時に、Rを間違えてLで打っちゃって、「ぇない」と出た文字が「言えない」に見えたんですね。そこから、「確かにキャラクター全員、“言えてない”ことがあるな〜」と思って。主人公の木ノ下和也だけじゃなく水原千鶴にも、七海麻美にも「言えない」ことがある。そういったところから、全員の言えていないことを考えて作詞を進めていきました。

――打ち間違えがきっかけだったとは、面白いですね。

nari:それに第1期で「君がいい。でも言えない」といったようなセリフもあったので、すぐに「これだな!」と思いました。それと同時に〈“言わない”ままでいいの。〉という言葉も降りて来ていたので、それを着地点として書いていった感じです。

sham:歌詞にはほかに〈オセロ〉や〈ゼロ距離〉というワードも出てくるのですが、ファンの方が初めて聴いた時に「あのシーンだ!」と思っていただけるように、作中に出てくる要素も積極的に取り入れていきました。あと〈高嶺の羽〉というフレーズは、千鶴をイメージして〈花〉じゃなく〈羽〉にして、和也の千鶴への気持ちを表現しました。

オファー前からasmiをイメージし作曲

――ボーカルはMAISONdesの「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」などのヒットで、今をときめく女性ボーカリストのasmiさんです。

sham:曲が先にできていたんですけど、透明感と切なさを持ち合わせている女性ボーカリストは誰かいないか考えた上で、asmiさんしかいないと思ったので、ぜひasmiさんに歌ってほしいとオファーさせていただきました。

nari:「言えない」は、曲の始まりがファルセットなんですけど、実はまだオファーもしていないうちから、asmiさんがいいなと思って彼女のキー設定を想像しながら作っていたんです。asmiさんが僕らのオファーを、引き受けてくださって本当に良かったです(笑)。

――また、これまでに「消えない feat.春茶」と「見えない feat.natsumi」を配信しています。春茶さんとnatsumiさんは、どういうところに魅力を感じてオファーしたのですか?

sham:「消えない」に関しては、MIMiNARIとして1曲目の楽曲になるので、疾走感や切なさ、青春感といった、その後の楽曲にも通じる、いわゆる“MIMiNARI印”のような楽曲を目指しました。その上で春茶さんは、“終電間際≦オンライン。”としての活動もあれば、YouTubeではカバー楽曲も数多く投稿されていて、振り幅の広さが魅力だと思いました。その振り幅の中で僕らの「消えない」も、きっと魅力的に歌っていただけるんじゃないかと思いました。実際に春茶さんに歌っていただいて、結構高い音程も出てくるのですが、声を張り上げることなく語りかけるように歌ってくださって、MIMiNARIにとってのベンチマークとなるような楽曲になったと思います。

――「見えない」は変拍子の楽曲で、natsumiさんのボーカルも少しハスキーがかっていて、「消えない」とは違ったタイプの曲になりました。

sham:natsumiさんは、「イージーゲーム feat. 和ぬか」のように、遊び心を感じられるような楽曲を歌いこなせるのが魅力だと思いましたので、8分の6拍子によるミドルバラードの「見えない」も、きっと素敵に歌いこなしてくれるんじゃないかと思ってオファーさせていただきました。

――レコーディングで印象に残っていることはありますか?

nari:春茶さんのレコーディングで覚えているのは、「消えない」のことを「すごく好きな曲です!」と言ってくださったことです。レコーディングが終わった時も、「めちゃくちゃ歌いやすかったです」と言ってくれました。僕ら的にはちょっと難しい曲かもと思っていたんですけど、きっと春茶さんのスキルがすごいのもあるだろうし、曲との相性も良かったのかなと思いますね。

sham:natsumiさんも、彼女なりに歌い方をいくつも考えてきてくださって。臨機応変だし職人的な部分を持ち合わせていらっしゃって、それが僕らの音楽性とマッチしたなと思います。

――改めて聴くと「見えない feat.natsumi」は、和也からあまり気にされていない桜沢墨の気持ちと重なったし、「消えない feat.春茶」は、更科るかの言葉や温もりが和也の頭から消えないとか、いろいろ想像させられました。

sham:特定のキャラクターに対して作ったわけではないですけど。「言えない」を作る時に、『彼女、お借りします』の原作コミックを何度も読み込んでいたので、ストーリーから何かしらの影響を受けていたかもしれないですね。そうやって作った僕ら側の想像を超えて、いろいろに感じてもらえるのはうれしいです。

nari:どんどん考察してください!



アニメージュプラス編集部

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