――演じられているキャラクターの印象をお聞かせください。まずは今井さん演じられる仁淀ユウヤから。
今井 タイトルにもある通り、仁淀はクズという部分が大きく取り上げられがちですけれども、自分の欲に真っ直ぐで、嫌なことは嫌と言えるこの性格は、ちょっと羨ましいなと思います。
東山 そうだよね、ノーと言える日本人になりたいよね。
今井 この現代社会において、そうしたブレない芯がちゃんとあるところは魅力ですし、そこは演じる際も意識しているところですね。
――ちなみに東山さんと堀江さんは、仁淀をクズだと思いますか?
東山 クズですね!
今井 あれ東山さん(笑)!?
東山 大丈夫です、看板に偽りなしです。
堀江 (笑)
東山 でも、仁淀くんのクズっぷりは、すごく人間味があっていいなと思います。怠惰ですけれど、そこを隠しもしないところに、ある意味嘘はないから信頼できる……みたいな。
今井 いいですね~、嘘をつかない男!
堀江 確かに憎みきれないクズですよね。でも、序盤の吉野くん側で考えると、やっぱり最低だと思うかな。吉野くんの頑張りの影に隠れて、自分は楽して稼ぎたいというのは、どうしようもねぇクズだなって……。
今井 何で僕を見ながら言うの(笑)!
堀江 ま、それでも性格が悪いクズじゃないですから。外道ではないから、愛せるなとは思いますね。
東山 わかった、害のないクズなんだね!
今井 そろそろ仁淀のことを許してやってください(苦笑)。
――東山さん演じられる最上アサヒと、堀江さん演じられる吉野カズキはいかがですか?
東山 アサヒは本当に太陽みたいな子で、アイドルに人生の全てを捧げている女の子です。猪突猛進で周りが見えなくなるところがありますけれど、そうした完璧じゃないところも可愛らしい。きっとアサヒが生きていた頃、ファンの皆さんはそういった我武者羅で一生懸命な彼女から勇気をもらって、彼女のこれからの成長を楽しみにして応援してくれていたんだろうなと思います。だから志半ばで不慮の事故で亡くなってしまったのは、冷静に考えればすごく悲しいことですよね。でも、この作品はそういう影の部分はそこまで大きくは描かず、明るく見せているというか、きっとアサヒの持ち前の明るさで周りを照らしているのかなと感じています。
堀江 吉野くんって、周りからは前向きに頑張るキラキラしたアイドルというように映っていると思うんですが、実際はアイドルであるがゆえの葛藤や、「僕なんかが」といった消極的な気持ちを抱えているんですよね。そうした「アイドルも一人の人間なんだな」と感じさせてくれるところが、彼の魅力の一つだと感じますし、その部分があったからこそ、すごく演じやすくもなりました。
――仁淀と吉野は売り出し中のアイドル “ZINGS” として活躍していきます。この二人の関係性について、どのように捉えていますか?
今井 言い方がちょっと悪いかもしれないですが、「仁淀がいるから吉野くんの良さが見える」みたいな部分があると思います。吉野くん自身もすごく魅力的なキャラクターですけれど、仁淀がいることでいろいろな面が見えるし、仁淀も仁淀で憑依してくれるアサヒちゃんがいるからいろいろな表情が見える。お互いの良いところも悪いところも魅力になる、そんな関係性だなと感じています。
……でも、やっぱり「仁淀がいるから吉野くんの良さが見える」というのは、すごくクズな発言に聞こえますね(苦笑)。
東山・堀江 (笑)
今井 「俺がサボっているから、サポートするお前が輝けているんだぞ」とか、決してそういう意図で言ったわけではないですから! 吉野くんがいなければ、仁淀はとてもじゃないですけれどステージに立てませんからね。
ただ、吉野くんとのアンバランスさ、ギリギリのところで保っているそのバランスが彼らの魅力の一つであることは間違いないです。アサヒちゃんが仁淀に入った状態の “神仁淀” と、普段の仁淀と、今日のステージではどちらが見れるのかというガチャ感も、ファンにとっては楽しみの一つ。そういう風に、自分の中で仁淀のクズさを納得させながら演じている部分はありますね。
堀江 クズの言い分みたいになってきた(笑)。
東山 そうそう、途中からクズな自分のことを全肯定しようとしていて(笑)。
今井 あくまで仁淀くんの話ですよ、お二方! でも、こうでもしないと、僕も演じながら仁淀のクズさに罪悪感が生まれちゃうんですよ(笑)。
堀江 まぁ、吉野くんの視点から言っても、仁淀がいるから輝けるというのは本当のことだと思います。今井さんの言葉通り、仁淀だけがステージに立っても駄目だけれど、多分吉野くんだけが立っても駄目。一見すると全く噛み合わなそうな歯車が、すごくいい具合にハマっているのがこの二人なんでしょうね。
作中で、ライブグッズがたくさん売れ残っていて、それを見たスタッフさんたちが「売れ残りましたね」「でもこの二人には頑張って欲しいんですよね」みたいなことを言っているシーンがあるんです。そこにZINGSの親しみやすさというか、チグハグに見えながらも「頑張ってほしいな」と思わせる何かを周囲に与えられているんだなと、僕は感じたんですよね。
今井 もともとそういう魅力は持っているんでしょうね。そこが無かったら、そもそもZINGSは続かなかったというか、第1話も始まっていなかったでしょうし。
堀江 そうなんですよ。で、物語がスタートしてからは、そこにアサヒちゃんが加わるので、より魅力が加速していくのかなと。
今井 でも、それって単純にアサヒちゃんが仁淀の中に入ってパフォーマンスをするから、だけじゃないんですよね。仁淀がアサヒちゃんと触れ合うことで、自分の気持ちや価値観に変化が生まれて、それがファンの人をよりハマらせたり、新規ファンを作ったりするきっかけになっているんですよ。仁淀とアサヒちゃんが触れ合うことで生まれる、化学反応みたいなものがすごく大きいなと思います。
東山 ま、触れられないんですけれどね(笑)!
今井 出た! 幽霊ジョークだ(笑)!
――東山さんからはZINGSの二人はどのように見えますか?
東山 ZINGSは二人でなければ駄目なんだろうなと思います。アイドルとしてはすごくいいものを持っている原石みたいなもので、その二つの原石がぶつかり合って荒削りなところを切磋琢磨していって、輝きをどんどん増していく、そういう存在なんじゃないかなと。
福岡大生監督から「東山さんにとってZINGSは何ですか?」と聞かれたときも、秒速で「運命ですね!」と答えました。この二人じゃなかったら成立しないというか、もし吉野くんみたいな子が二人いたとしても駄目だったと思うので、巡り合うべくして出会った二人なんだろうなと思っています。
今井 吉野くんが二人だったらまだしも、仁淀が二人だったら……それは……。
東山 うん、地獄だね!
今井 あえて言うのを止めたのに(笑)!
(C)いそふらぼん肘樹・一迅社/「神クズ☆アイドル」製作委員会