• 宮崎駿が語った大いなる〈転換点〉『紅の豚』【金曜ロードショー】
  • 宮崎駿が語った大いなる〈転換点〉『紅の豚』【金曜ロードショー】
2022.01.14

宮崎駿が語った大いなる〈転換点〉『紅の豚』【金曜ロードショー】

(C) 1992 Studio Ghibli・NN


劇場公開時に発売されたムック『ジブリ・ロマンアルバム 紅の豚」に収録されたインタビューで、宮崎監督はこんな発言をしている。

「自分が今まで作ってきた『ナウシカ』や『ラピュタ』や『トトロ』などは、自分への手紙なんです。自分のさえなかった子供時代や、さえなかった高校時代や、さえなかった幼年時代に対する、ああいうふうにしたかったけれどもできなかった自分自身の全世代に向かっての手紙。それが『トトロ』が終わったときに真四角になって、全部出し終えてしまった。(中略)全世代への手紙を書き終わったときに、これからどうやっていくんだと迷っている中年時代の自分にいくんじゃないのと、『紅の豚』で現在形の手紙を書いてしまった」

当時、宮崎監督は51歳。
前作『魔女の宅急便』の大ヒットで世間に名を知られるようになったが、現在のような「巨匠」というイメージにはまだ至りきっていない時期だった。
リアルタイムの自身を投影して作ったこの『紅の豚』は、結果として宮崎監督にとって次なる段階へ進むターニングポイントと位置づけられる作品とも呼べるのではないだろうか。
上記インタビューでの発言に続けて、宮崎監督はこう語っている。

「(これからはどんな作品を?という主旨の質問を受けて)ずっとやらなければいけないなと思いながら、どうしてもやれる自信がないまま放置していたやつをやるしかない。それは本当にできるかどうかわからないけれど、そういう岐路に立つ。(中略)制約があるのなら制約の壁を突破しよう。枠を広げてしまおう。そういうエネルギーが、才能が自分にあるのか、それもよくわからないけれども。もう残っているのはそれしかないと感じています」

そんな決意のもとに宮崎監督が挑んだ次の長編監督作こそが、あの『もののけ姫』だ。


(C) 1992 Studio Ghibli・NN

アニメージュプラス編集部

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