• 新海誠最新作『すずめの戸締まり』、その注目すべきポイントを分析!
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2021.12.16

新海誠最新作『すずめの戸締まり』、その注目すべきポイントを分析!

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会


製作発表会見に登壇した新海監督は、本作について3つのキーワードを提示した。
そのひとつが「ロードムービー」だ。
あらすじからもわかるように本作の主人公・鈴芽は、災いが訪れるという扉を閉じるために、日本各地を旅することになるようだ。
新海作品の大きな魅力といえば、やはり風景描写。
身近な風景に深い情感を込めて美しく描き出す手腕は、日本のアニメ全体にも大きな影響を与えてきた。
今作では、日本各地が舞台となるということで、これまで以上に多彩な風景が描き出されると期待できる。
また、本作発想のきっかけには、舞台挨拶等で各地を廻った際に見たという過疎化した土地の風景や、コロナ禍で人のいなくなった新宿の風景などがあったという。
そこで感じた寂寥感、終末感ーー公開された廃墟のようなビジュアルからも感じ取れるような、寂しくもありつつ、どこかシュールな美しさも漂わせる風景が、映画にどんな彩りを与えるのか、注目したい。

ふたつめのキーワードは「扉を閉じていく物語」。
「何かをはじめるよりも、終わらせることのほうが難しい」と新海監督。
新たな土地に住む際に行われる「地鎮祭」など、何かを始める際に行われる儀式はあるが、たとえばその土地を離れる時に行われることはあまりない。
新しい何かをはじめるために、それまでの何かをしっかりと終わらせるーーそんな物語を今、人々は求めているのではないかと新海監督は感じたという。
実は新海監督はこれまでの作品でも、「終わりの風景」を描いてきた。
それは人と人との関係の終わりであったり、平穏な日常の終わりであったり、成長によって訪れる幼年期・少年/少女期の終わりであったり……。
そして、その終わりの悲しさの向こうにある「新しい始まり」の輝き・希望を、祈りのように描き続けてきた。
そんな新海監督が、あらためて「終わらせること」に向き合った時、どんな物語が紡がれるのだろうか。
とはいえ、会見にゲストとして登壇した上白石萌音(『君の名は。』)と森七菜(『天気の子』)は、Vコンテを観て「ギャグシーンが楽しかった」とも語っており、単なる寂しく悲しい物語になることもなさそうだ。

そして3つめのキーワードは「映画館に足を運ぶ理由になる映画」。
動画配信が主流となりつつある昨今だが、やはり映画館で映画を観るという体験は格別のものがある。
新海監督が重視するのは「没入感」だ。
大きなスクリーンと豪華な音響で、映画の世界に浸る快感。
新海監督作品は、何よりもその美しいビジュアルで観客を引き込む。
そして『君の名は。』と『天気の子』では、その映像とRADWIMPSの音楽とが有機的に結びつき、何度も何度も身を委ねたくなるような空間を、映画館に作り出していた。
本作もきっと、映像と音響の圧倒的な没入感で、多くの観客を映画の世界に誘ってくれると期待したい。

アニメージュプラス編集部

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