結成50周年を迎え、今なお精力的に活動する伝説のロックバンド「頭脳警察」。魔導書が生み出す「書の魔獣」を操る少女魔導士たちの活躍を描く新本格ダークファンタジーコミック『赫(あか)のグリモア』は、その楽曲に強い影響を受けて生まれた作品なのだという。
ドキュメント映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』のDVD発売、並びに『グリモア』5巻(完結)発売を記念して、頭脳警察・PANTAさんと『グリモア』の原作者・A-10(エーテン)さんの対談が実現、ディープなクロストークを全2回でお届けしよう。
――PANTAさん、アニメやゲームがかなりお好きなんですよね。PANTA(以下P) そうなんですよ。それこそマンガなら子どもの頃、雑誌の「少年」に連載されていた『鉄腕アトム』『鉄人28号』、「週刊少年サンデー」の『サブマリン707』なんかに夢中になったし、アニメだと『機動戦士ガンダム』は最初のテレビシリーズから観ていた。
A-10(以下A) ええっ、本当ですか?
P うん。でも特にビックリしたのは『新世紀エヴァンゲリオン』だな。観始めたのは(テレビ放送の)割と初めの頃でしたよ、まだ絵がちゃんとしていたから(笑)。自宅の二階にスタッフが住んでいたんだけど、ある日彼がダダダと階段を下りてきて「大変です! 今すぐテレビを点けて下さい。セフィロトの樹が映っています!」「え~!」って大騒ぎになってね(一同笑)。
※セフィロトの樹=旧約聖書創世記に記された「生命の樹」から発展した、ユダヤ教のカバラ思想における世界の概念
A そこが入り口でしたか!
P 頭脳警察で「セフィロトの樹」という曲を出した時は「こんなもの誰も知らないだろうな」と自己満足で書いていたんだけど、それがテレビ画面にバーッと映って。あとで「死海文書」とかも出て来たし、いやー驚いた! キャラの名前が全部軍艦から来てたのも面白かったね。俺、駆逐艦マニアだから(笑)。ストーリーの謎ときにもずいぶん振り回されましたよ。

▲映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』より、左から頭脳警察のメンバーPANTA、TOSHI(石塚俊明)。 (C)2020 ZK PROJECT
A ああ、「セフィロトの樹」が入っている「歓喜の歌」は本当に大好きなアルバムで、全曲ソラで歌えます(笑)。セフィロトの樹と言えば、94年に発売された「真・女神転生Ⅱ」というスーパーファミコン用ソフトのフィールドマップにセフィロトの樹が使われているんですが、ご存じですか。
P ああ、そうなの!
A 先に頭脳警察の曲とそのゲームを楽しんでいたせいで、その後に放送された『エヴァ』テレビ版を観て「うん、良い目の付け所だけど、ちょっと遅いね」って思ってしまったという(笑)。
P ハハハハ、庵野(秀明)さんもああいうの、好きなんだろうね。