ーー 『ウルトラセブン』はご存知でしたか?
真夏 観てましたよ。そんなに熱心ではなかったですけど。初めて森次さんに会った時、「セブンだ」って思いましたもん。
ーー 初めてあったのはどのタイミングでしたか?
真夏 ロケでした。
森次 大島のロケだったよな。
真夏 「君がレオをやることになった真夏くんか」。くらいで、すぐに撮影になっちゃったから。
森次 スケジュール厳しかったんだよな。ロケもあんまりのんびりしていられなかったし。予算も厳しかったと思うんだ。
真夏 鳥取砂丘まで3日間、日帰りでバスで行ってたよね。
森次 だからMACが全滅した時に、『レオ』は終わったんだと思っていたのよ。だいぶ後になってから、あの後ホームドラマみたいなシチュエーションで続いたんだって聞いて。
真夏 そうなんだよ、MACが全滅して翌週、満面の笑みで「いただきまーす!」って、食卓でご飯食べてるの(笑)。あれはないよな。
森次 恋人もみんななくなっているんだぜ、そりゃないよね(笑)。
ーー 当時はどんな思いで演じていたのでしょうか?
真夏 戸惑ったよ(笑)。せめて思い出して涙流すくらいはあってもいいと思った。自分自身もMACにいたんだし、仲間を思って落ちこむとかさ。でもそれ以降の台本には、そういう感情が邪魔になっちゃうんだよ。「いただきまーす!」だもん。でもまだ俺は新人だったからさ、従うしかないと。だけど(梅田)トオルが残ったんだよね。だからトオルと話したよ。「台本には書いてないけど、俺たちだけは、百子さんやカオルさん、いなくなった人たちのことを、心の隅に置いて続けて行こうな」って。そうしたら小学生のトオルを演じていた新井(つねひろ)くんが、目にいっぱい涙をためてて。だからそれ以降、楽しくしているシーンでも、一瞬さみしい表情を込めて演じたことはあったよね。どこのシーンだったかはっきり覚えていないけど、そんなところを感じ取ってくれると嬉しいね。その後『ウルトラマンメビウス』でおおとりゲンとして出ていただけませんかと言われたので、レオから数年後、MACのみんなへの思いを、どこかに出したいという話になって、托鉢僧になっていたんですよ。台本を何度も直していただいたんですよ。具体的には役者が言っちゃいけないことだと思うので、とにかく『ウルトラマンレオ』を51話やった後、何十年も経って、おおとりゲンが出てくる意味、亡くなったみんなへの思いを背負って出てこないと、ファンの方も納得いかないんじゃないかとお話ししたんです。そうしたら、『レオ』の最終回の後、修行僧となって全国を弔いの行脚をしていたんだと、そういう設定にしていただいたんです。
ーー 29話について教えてください。
森次 台本には「ダンとアンヌの再会」ってあったけど、実際には観ている人がどう受け取ってくれるのか、ということだと思ったんだよ。でも俺的には、顔はアンヌだから、最後まで「アンヌだ!」っていう芝居をしたほうがいいと思って芝居しましたよ。でも結局は去っていくわけだから、どこかに、アンヌだったのかなぁ? っていうのがないといけないと思って演じたかな。
ーー アンヌだと最後まで認めなかったですよね。
森次 俺はアンヌだって言うんだけども、アンヌは認めない。ギャップがあるほうがおもしろいんだよね。もしかして本当はアンヌじゃなかったかもしれない。似た顔の人だったのかも。
真夏 そう考えるとおもしろいね。
ーー 見ている方は、「いやアンヌだろ」と思いつつも、あんなに否定すると、もしかして違うのかとか、色々考えちゃって、あのやり取りは今観てもおもしろいです。
森次 思わせぶりでね。ひし美くんも上手く演じていたよね。着物を着てるし、もしかしたら銀座のママだったのかも(笑)。
ーー この写真はいい写真です。
森次 いいよね。これはスチールではないね。本番かリハーサルなのか、写り込まないように遠くからシャッター押してるんだよね。顔が芝居している顔だよ。
ーー ひし美さんと会うのはどれくらいぶり?
森次 『セブン』の最終回以来だったね。他の現場では顔を合わせたことなかったからね。
ーー 現場でお会いしたときはどんな感じでしたか?
森次 向こうは「あらダン! 久しぶりね〜」みたいな。「元気だった〜」みたいな感じだったと思うよ。着物着てたからか、なんか変な感じだったのを覚えてるよ。この写真はモノクロなところがいいね。
ーー 劇中でもちょうどこのシーンはモノクロでした。この写真に、ひし美さんのサインをいただきに行くので、ひし美さんはどう言う気持ちで演じていただのか、うかがってきます。
森次 そうだね、ひし美くんはどう思っていたのか、興味深いね。