――今回の劇場版は、各キャラの新たなダンスが見どころになっていると思いますが、それぞれにどのような味付けをされたのでしょうか。KAORI ヒナノは「ダンスでどれだけ人を楽しませるか」というテーマを持って踊っているんですね。少しずつ技も成長しているんですけれど、それよりもみんなを巻き込んで観ている人に元気を与えるダンスに集中してもらった感じです。
リリアとスバルはダブルスをやっているんですけれど、これは2人の「仲間」であるというお互いの信頼感を、手を握ることだったり、同時にアクロバットな技をやったりっていうところで見せています。
ミオは相変わらずマイペースなんですけれど、この子は踊れなくても自分の世界を表現することに長けているんです。だからあまりポールはしなくてもよかったんですが、「人魚」っていう足が閉じた状態で踊るすごく難しい表現に挑戦していますので、そこはぜひ見てほしいです。
あとノアは刀を持っていて、ポールを回りながらそれを振り回すんですけれど、片手で魅せる技を考えるのは、すごく苦労しました。
ユカリに関しては、すごく深掘りしたんですよ。彼女って絶対王者なのでずっとプレッシャーと戦っているはずなんです。あの強さや冷静さは、それを超えるだけの練習をこなしているからあるものなんだ、と考えて、不安を潰していくような大きな動きのアクロバティックな技で表現しました。
そんなユカリと彼女に憧れるサナのペアは、もう宝塚(歌劇)という感じ(笑)。観ているこちらがフワッとなれるような雰囲気の場面を作りたかったのと、アニメサイドからの依頼もあってリリアとスバルのパフォーマンスとは真逆の方向で、二人が綺麗に見える技を多めに取り込みました。
ノアは……キャラ設定に「八方美人」って書いてあったんですよね。でも私、本当は芯の強い子だと思っていて。なので、今回は自分の本来の強さを表に出そうとして、邪念や迷いを断ち切る強さを技で表現しようと心がけました。
――なるほど。各ダンスシーンで、キャラクターの性格や成長がしっかり表現されているのですね。KAORI 勿論スタッフのみなさんの意向も含めて技は作っていますし、CGで表現することが難しいこともありますので、そういう部分のすり合わせも必要でした。
――ああ、そういう部分も出てくるのですね。KAORI 先方からダンスのイメージをテキストで戴いて、まず私とダンサーで考えたものを映像として提出して、そこから何回かやり取りを交わして、ようやくモーションキャプチャーに入るんですが、そこからも大変で。作業の際にはスーツが滑らないようにシリコンの巻いてあるポールで演技をするんですよ。踊りづらいし、しかもスーツを着ると体の動きがちょっと制限されるところもあって、慣れるまで時間がかかりました。
スーツの下の肌は擦り傷だらけだし、動きが激しすぎるとセンサーが抜けたり、本当にトライアンドエラーを繰り返して……完成した映像を観た時は思わず泣きました。
――結果としては大満足?KAORI 大満足ですね。本物のショーを観た時と同じくらい感動しましたから。私はスタッフが頑張ってくれた裏側を知っているのでやや増しに観ていますけれど、多分それを知らない人が観ても胸がギュッとすると思うんですね。
――本作を観ると、練習は勿論大事なんですけれど、人間関係を含めてすごくメンタル面も大事なスポーツなのだということを改めて感じました。KAORI ええ。ただ決められたことをやっていく競技ではないので。そんな彼女たちの心の内側にも触れている内容になっていると思いますので、そこも是非観て頂ければと思います。
――劇場版で本作は1つの区切りを迎えると思うのですが、KAORIさんはここからの新たな展開などを期待されていたりしますか。KAORI まずはこの作品を観て頂いて、ポールダンスに対する理解や興味を持ってもらえると嬉しいですね。そして今後は、性別や年齢なんかに縛られないポールダンスを描く作品があっても良いんじゃないかな、なんて考えています。男性のポールダンサーも本当に素晴らしいんですから!
>>>少女たちの努力と笑顔が眩しい!『劇場版 ポールプリンセス!!』場面カットを見る(写真13点)(C)エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ / ポールプリンセス!!製作委員会