独創的なキャラクターデザインとストーリー展開で、1985年の連載スタート以来多くのファンに支持され続けている高屋良樹原作のSFヒーローアクションコミック『強殖装甲ガイバー』(KADOKAWA)。この度、主人公・深町晶がユニットを殖装した姿である「ガイバーI」が1/6サイズのアクションフィギュアとして発売決定、現在予約受付中だ。あらゆる面において「究極」と言い切れる仕様で登場する本アイテムは、完成までにいかなる道のりを経てきたのか。長きに渡り『ガイバー』と関わり続けて、本アイテムの元原型、彩色を担当したマックスファクトリー代表・MAX渡辺さん、本製品原型制作を担当したマックスファクトリー・小林義仁さん、そして監修を担当した原作者高屋良樹さんにお話をうかがった。▲1/6アクションフィギュア「ガイバーI」
――マックスファクトリーさんと『強殖装甲ガイバー』の縁は長きに渡るものですよね。渡辺 まずは何を差し置いても「レモンピープル」(1982年~1998年まで刊行されていた久保書店の美少女コミック誌)ですよ。可愛いエッチな漫画ばかりが載っている誌面に高屋さん(当時のペンネームは「ちみもりを」)がいて、突然ロボット漫画(『冥王計画ゼオライマー』)を描き始めるわけです。
友達が「この漫画、ロボットのデザインがすごいんですよ!」って教えてくれたんですが、見たら本当にすごくて! で、しばらく経ったら「あの先生、別の雑誌で違うマンガ描き始めたっ!」とまた情報が飛び込んできた。
――それが『ガイバー』だった。▲MAX渡辺さん
渡辺 最初はゼオライマーを作らせてもらいたくて、当時の掲載誌だった『月刊少年キャプテン』編集部に電話をかけたんですが、話がとんとん拍子に進んでいく中で「今作るならガイバーだな」というハナシになり。フルスクラッチで製作したガイバーIを「ホビージャパン」に掲載してもらうことになるんです。
その時、高屋さんはわざわざ設定をくださったり、カラーイラストを描き下ろしてくださってね。それがすべての始まりです。
――最初からガッツリのタッグぶりだったわけですね。渡辺 さらにマックスファクトリーで1/6ガイバーIのソフビキットを出したら大ヒットしたので、調子に乗ってガイバーIII、IIと出していって。ちょうどその頃にOVAアニメ(89年・92年)で高屋さんと一緒に監修の形で関わらせていただくなど、関係がますます密になっていくんです。
その後、僕の念願だったコンパクトな1/12サイズで展開する彩色済みのソフビキットを「BFC(バイオ・ファイター・コレクション)」というシリーズで展開させて頂いたり、とにかくずっと『ガイバー』と関わり続けて……誤解を恐れずに言うなら、マックスファクトリーは『ガイバー』のキャラクターを作りながらメーカーとして成長してきたんです。
――高屋さんは、そんな渡辺さんのお仕事をどんな風にご覧になられていましたか。高屋 私は怪獣のソフビ人形が大好きで「いつか自分のキャラがそうなったら楽しいだろうな」みたいな夢は持っていたんですが、いつの間にかBFCでどんどん出ましてね(笑)。
渡辺 一時期毎月出していたこともあって、30種類くらいのラインナップが出ていますね。
高屋 もう本当に嬉しかったんですが……ゾアノイドはカッコいいポーズを決めているのに、ガイバーは棒立ちのポーズなんですよ。ウルトラマンなんかのソフビとかも基本そうなんですけれど、どうもそこが不満でして。
渡辺 可動という点でいえば、後のBFC MAXシリーズで実現はするんですけれどね。
高屋 昔、1/6ソフビのガイバーIをバラバラにして中に針金や素体を入れたりして自前で可動フィギュア化していたりしたんですよ。それで遊びながら、やっぱりこのサイズのアクションフィギュアは良いな、欲しいなと思っていたんですが「まあ、無理なんだろうな」と諦めて。そしたら、まさかのタイミングでこんなことになりまして(笑)。
▲高屋良樹さん
(C)高屋良樹/KADOKAWA