• 『バイオハザード:デスアイランド』脚本家が語るジルが〈主役〉になった理由
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2023.07.07

『バイオハザード:デスアイランド』脚本家が語るジルが〈主役〉になった理由

(C)2023 CAPCOM / DEATH ISLAND PARTNERS ALL RIGHTS RESERVED.


★ジルの葛藤と成長を軸に★

――「オールスター映画」を目指す中、本作では主にジルにスポットが当たることとなります。

深見 プロデューサーから「ジルも出していいですよ」という話が出て、「ジルを出すなら主役にするしかないな」と思いました。
というのも、ゲームの場合はコントローラーで操作していることもあって「キャラクター=自分」という感覚が自然に生まれますが、映画では客観的に主人公の行動を追うことになるので、観客が「彼らがどうなろうが知ったこっちゃない」という気分にならないために感情移入させることが何より大事なんです。そのためにはストーリーやドラマのメリハリが必要になりますし、登場人物にもある程度の心理的な葛藤がないと間が持ちません。

ネタバレにならないように『バイオハザード:ヴェンデッタ』(2017年公開のCG映画、深見氏が脚本を担当)の例で説明すると、あの作品ではレオンとクリスに感情移入してもらうことが大事でした。時間軸的にはゲーム『バイオハザード6』の大きな事件を経た直後だったので「この二人は疲れていることにしよう」と考えました。

クリスは対バイオテロ組織BSAA所属、レオンは大統領直轄のエージェントとそれぞれ特殊な仕事ではありますが、広い意味で「仕事に疲れた人間の気持ち」は誰にでも理解できるじゃないですか。つまり「仕事に疲れる」「気持ちが疲れる」……そういう万人共通の心理を描くことで登場人物に共感してもらおうとしたわけです。

――本作のジルでも、同様のアプローチをされたわけですね。

深見 はい。今回は時系列的に『ヴェンデッタ』の後の話にするということが最初に決まっていて、そこにジルを出すとなるとゲーム『バイオハザード5』で描かれた事件(注:『バイオハザード5』でジルは、精神を操作されてバイオテロに加担し、クリスたち仲間にも襲いかかった)や、彼女のその後の心理に焦点を当てないわけにはいかないわけです。ならば、そのジルのドラマで観客の感情移入を促したいと考えました。
まあ、世の中に「敵に洗脳されて仲間を襲ってしまった」という経験をした人はそれほど多くはないと思いますが……(笑)。

――それはそうですね(笑)。

深見 でも、そんなジルの立場を「仕事で大きな過ちをした後、しばらくして現場復帰しました」という風に捉えれば、程度の差さえあれども同様の経験をした人も少なくないんじゃないかな、と。観客には、そんな彼女の葛藤や心理的な成長に寄り添ってもらいたいと思いました。
その他にもジルを軸にすることで、付き合いが長い戦友のクリスとの関係性や距離感みたいなものも併せて描こうと考えました。
▲仲間への想いが強いクリス(右)。悩めるジルにどんな言葉を掛けるのか?

>>>インタビュー後編 『バイオハザード:デスアイランド』脚本家がド派手なクライマックスを激賞!

>>>新たな恐怖に備えよ!『バイオハザード:デスアイランド』場面カットを見る(写真5点)

(C)2023 CAPCOM / DEATH ISLAND PARTNERS ALL RIGHTS RESERVED.

アニメージュプラス編集部

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