• 『閃光のハサウェイ』TVエディションで味わう「ビターな大人のガンダム」
  • 『閃光のハサウェイ』TVエディションで味わう「ビターな大人のガンダム」
2023.02.02

『閃光のハサウェイ』TVエディションで味わう「ビターな大人のガンダム」

(C)創通・サンライズ


村瀬監督は先に手がけた劇場アニメ『虐殺器官』(2017)で、ドローンやウェアラブル化された兵器が投入される近代的な特殊部隊の戦闘状況を、登場人物の一人称視点などを織り交ぜながら、アニメーションだからこそ描ける近代戦争の状況を描いた。『閃光のハサウェイ』においてもその手法は継承されており、これまでのガンダム作品と比較してみても、ある意味ドライな描写が特徴となっている。
アニメーション的な芝居を排して抑制を効かせるストイックで実写映画的な演出、セリフではなく表情や仕草で見せるキャラクターの心情表現、ケレン味に振らず臨場感や没入感を重視して見せる戦闘描写。その映像の手触りは、アート映画を観るような感覚を感じさせてくれるだけでなく、ハサウェイが胸に抱える答えの出せない問い、思い悩む心情の「揺れ」を同時に伝えてくる。

このような視点を置いて考えてみると、演出や描写を含めて、本作は初めて本格的に一般性を獲得したガンダム作品を目指していることがわかる。作品の背景やキャラクターの心情がしっかりと説明がされない本作はある種の「わかりづらさ」があるが、だからこそ何度もの鑑賞に耐えうる深みを湛えているとも言えるだろう。
今回初めて鑑賞する人は美しい映像や圧倒的なモビルスーツの戦闘シーンに、そして劇場で楽しんだ人は改めて演出とセリフに散りばめられた「大人のガンダム」の味わいにぜひ注目してもらいたい。いよいよ次回はTVエディション最終話の放送だ。今回のTVエディションでより本作が持つビターな深みを味わうことができるはずだ。

>>>クライマックス直前!『閃光のハサウェイ』第3話までを名場面でプレイバック(写真23点)

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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