• キャスト9人が熱唱「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」制作秘話 
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2022.12.12

キャスト9人が熱唱「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」制作秘話 

「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」を収録した「暴太郎戦隊ドンブラザーズ EP vol.4」ジャケット (C)テレビ朝日・東映AC・東映


★挿入歌から見えるスーパー戦隊シリーズの伝統★

――ちょうど話題が出てきたところで、本題の「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」についてのお話に入っていきたいと思います

穴井 松浦さんからは、ストレートに「9人で歌う曲が欲しい」とのことでした。「月ノミゾ知ル。」もそうでしたが、僕らはどうしてもヒーローはヒーロー、敵は敵という固定概念があるんですよね。そんな中、プロデューサー視点で「ドンブラザーズも脳人も別に一緒にいてもおかしくないですよ」と言ってもらえたので、「そうなんだ!」という驚きと発見がまたひとつありました。

松浦 いつも無理をお願いしてばかりなので、そこは(イヤそうな顔をして)と入れておいてください(笑)。

穴井 いやいやいや!(一同笑) ゾックスのBGMの話からもお分かりの通り、松浦さんはとても音楽に理解の深い方なんですよ。今回も作曲が大石さんに決まり、次は歌詩の話になるわけですが、そこで松浦さんのほうから「詩先とメロ先、こういう場合はどっちですかね?」とご相談いただきました。

――歌詩ありきで作曲するのが「詩先」、作曲してから歌詩を付けるのが「メロ先」ですよね。昨今のJ-POPではメロ先が主流です。

穴井 そうです。今回はバッチリ詩先でもなくてもいいから、ある程度、主要なワードはあった方がいいかも知れません、とお話ししたところ、ある程度どころか、一発目からみっちり書いて来てくださって。

松浦 この複雑怪奇な曲の作詩を他の方にお願いするのが忍びなさ過ぎて(苦笑)、言い出しっぺの自分が、「八手三郎」としてやるしかないなって。

穴井 そこはスーパー戦隊シリーズの伝統ですよね。昨年、「合体魂~昭和・平成・令和 スーパー戦隊シリーズ ロボットソング大全」というCDを出した際に、歴代のプロデューサーや監督、脚本家の方々に寄稿していただいたのですが、そこで白倉プロデューサーのコメントにすごく胸熱くなるものがあったんです。『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の1号ロボの歌の作詩について触れられていたのですが、その後に『五星戦隊ダイレンジャー』のED主題歌も手掛けられています。今回、『ドンブラザーズ』の主題歌制作に際して話し合っていたのが、ちょうど『五星戦隊ダイレンジャー』や『忍者戦隊カクレンジャー』の主題歌でした。

松浦 2曲ともちょっと変わっているけど、それがまた斬新な主題歌なんですよね。

穴井 そうなんです。当時、「おお、こんな感じの主題歌が来るんだ!」とけっこう驚きがあったと思うのですが、『ドンブラ』ではあの衝撃の2022年バージョンをやりたいと意識していた部分がありました。なので、今、白倉プロデューサーの下で、APを務められている松浦さんにお願いするのは、何かすごく繋がるものがあるなと思いました。『ドンブラ』では、その前に「出陣!ドンオニタイジン」と「燃えろ!虎龍攻神!」の2曲の作詩も松浦さんにお願いしていましたが、これがまた僕が言うのも何ですが、実に上手い!

松浦 いえいえ、恐縮です……。一応、主題歌の歌詩を書いていただいた、作詩家の及川眠子先生の『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』とかを読んで勉強したりはしたのですが、まだまだです。
ちなみに及川先生の作詩で、山下康介先生に曲を書いていただいた桃谷ジロウのテーマソング「君のヒーロー」も好きな曲なんですけど、「運命」と書いて「ほし(星)」と読ませるというのがあって、そこは「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」のジロウのパートでも踏襲しました。

穴井 「燃えろ!虎龍攻神!」は特に秀逸ですね。この場合は「誰それのキャラクターの感じを書いてください」ではなく、ドンドラゴクウとドントラボルトの2面性を描く必要があるので、共通を持たせつつも違いを出さないといけないので、難易度が高いんですよ。

松浦 あれは「出陣!ドンオニタイジン」の後でした。特撮監督の佛田洋さんとロボソンについて話したことがあるんですけど、佛田さんが「白倉さんの『ドラゴンシーザーのうた』は良かった」としみじみ仰ってたんです。だから悔しくなって(笑)「燃えろ!虎龍攻神!」では、追いつけ追い越せじゃないけど、「ドラゴンシーザーのうた」をちょっと意識したところがありました。擬音の繰り返しを入れたりして……。「出陣!ドンオニタイジン」は理屈優先で書いてしまったという反省もあったので、何か口にして気持ちがいいワードを入れたいという気持ちもありましたね。

穴井 その2曲を経ての「アバターパーティー!ドンブラザーズ!」ですが、メロ先と詩先だと全く違う頭を使うので、歌詩もどう来るのかと思ったら……。これは是非大石さんに第一印象を語っていただきたいですね。

大石 いや、めちゃくちゃ歌詩がちゃんとしているというか(笑)。韻もきちんと踏まれているし、「こことここが繋がるのか」とすごく練られていると思いました。それからプロデューサーだからこそ分かる視点と濃さ、仕掛けの多さ。

松浦 色々とくすぐったつもりです(笑)。

大石 劇中で描かれる要素だけでなく、ちょっと外側からもネタを引っ張ってきているところが面白いですね。犬塚翼とか(笑)。

松浦 「またしても何も知らない犬塚翼」ですね。ネットミームにすり寄っていると言われるけど(笑)、元々、東映の番組公式HPに書いたのは自分なんですよ。だから自分で言い出して自分で回収した形。まぁ、大泉洋さんにはすり寄っているけど(笑)。

大石 それから同じメロに対して、違う言葉でも同じ母音になるようになっているんですよね。そういうのが歌う上での気持ち良さに繋がるものなんです。

松浦 そこはちょっと意識していて、自分で歌詩を書きながら自分で歌っていました。

大石 おお、そうですか。詩先でもらう際にはいつもどういうメロを想定していたのか気になるんですよ。

松浦 今はもう大石さんメロに染まっちゃっているから、どう歌っていたかは忘れちゃいましたけど(笑)、大石さんには「まさにこれでしょ!」と思える素晴らしいメロディを付けていただきました。

――楽曲は9人揃ったパーティーソングとのことですが、どういった意図でこのコンセプトが決まったのでしょうか?

松浦 エンディングの「Don't Boo!ドンブラザーズ」が「ハッピーエンド」+「?」で終わっていたので、こんなハッピーエンドになればいいなというアンサーソングにしたいと思ったんです。後はふざけつつも、『ドンブラ』本編とリンクさせ、なおかつそれぞれのキャラクターの人柄の良さを織り交ぜて、時折しんみりもさせ、またふざけるみたいな。そのバランスでしょうか。ドンブラと脳人の9人の歌ならそういう感じなのかなって。

――桃井タロウから始まり、9人全員のキャラクターが盛り込まれているのも特徴で、大石さんが仰ってたようにまさに「特濃」の中身ですが、歌詩はスムーズに決まりましたか?

穴井 歌詩を受け取った時点で、曲自体が長くなるんじゃないか、というのはありましたね

松浦 第一稿は歌詩がめちゃくちゃ長くて……。

大石 現在の約1.5倍はありました。とりあえず歌詩をいただいた時点で「全部メロを付けておきます」と穴井さんにはお伝えしたのですが、どう考えても7分くらいにはなるだろうなと。

穴井 確か7分40秒くらいでしたかね。

松浦 尺の計算までできてなくて申し訳ないです(笑)。

大石 いや、そこは難しいと思いますよ。もちろん、長くてもラップっぽくすれば、それくらいの分量でもギュッと入れることはできるんです。でも、キャストの皆さんがラップに精通しているわけでもないですし、9人それぞれに独自のメロを付けて、バランスよくいくためには調整が必要かなと思いました。

穴井 最終的に各キャラクターから1行くらい削っていますよね。

松浦 例えばジロウの「熱烈歓迎」のくだりなんかももっと長かったんです。

大石 ちゃんと意味が通るようになっていたんですよね。

松浦 「それじゃなかったら処刑!」みたいな。しっかり文章になっていましたね。

大石 でも、逆に圧縮した感じが良かったですよ。

穴井 それに合わせて大石さんにメロの感じを調整してもらいましたね。

松浦 それから1番の最初が桃井タロウなんですけど、僕のほうからお願いして、歌詩にある「桃井タロウ」を5人のコールにしてもらいました。最初は樋口幸平くん本人に歌ってもらうつもりでしたが、イメージしていたのは、キャストやファンの皆さんが、カラオケをしている感じだったんです。それで、全員で叫ぶことが出来るワードはここしかないなと思いました。
(後編に続く)

>>>1曲にこだわりぬいた穴井さん、松浦さん、大石さんの鼎談風景を見る(写真8枚)

(C)テレビ朝日・東映AC・東映

アニメージュプラス編集部

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